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タキイ種苗株式会社発行 園芸新知識 3月号掲載(2001)より

 
JAマインズ
西府支店直売所
〒183-0033
東京都府中市分梅町3-65-1
TEL042-360-8911
営業時間:7:00〜20:00
商品構成:野菜50%、果実20%、一般食品30%
スタッフ:1名、パート32名
府中市農産物直売会:84人

 


野菜の直売+コンビニ店で運営

 12月最初の土曜日、今日はJAマインズ西府支店(東京都府中市)のお得意さま感謝デーです。JAの職員たちが、丹精こめて栽培したダイコンをお客様自ら収穫することができます。

お得意さま感謝デーで農業を身近に
 招待客は、JAマインズに一定金額以上預金をしている人たち。この催しは1992年から年2回行われ、春はジャガイモが5株、秋はダイコンを5本ずつ持ち帰ることができます。これらはJAマインズの職員が、手のあいたときや休日に畑へ出て農作業を行って育ててきたものです。畑は4ヵ所、全部で25aの広さがあり、今回は1万本のダイコンがお客さまを待ち受けていました。生産者でなく、職員が作り育てたというのがみそです。職員のなかには農家の子弟もいて指導を担当しています。
 受付や、ダイコン掘りのコツを教えるのもJAの職員で、「あっ、それじゃ抜けないですよ」「葉っぱの付け根をしっかり持って、真上にまっすぐ抜かないと……」と指導をしています。年配者のために抜いてあげたり、葉は要らないという人たちのために葉を切り落としたり、まとめて縛ったりと大忙しです。ダイコンを抜いたところから土を覆っていたマルチを片付けていきます。「これが終わると春のジャガイモの準備を始めなければ」と言いながらも楽しそう。野菜を作る楽しさを一度覚えると病みつきになるようです。
 直売所で販売をしている生産者も見物にきて、生産者同士挨拶を交わしたり、JAの職員と話をしたり、招待者の作業を手伝ったりしています。
 「この季節はやはり煮物にするのが一番おいしいね、葉っぱは刻んで塩もみするとご飯がすすむよ」と生産者が教えていました。
 都市近郊では宅地化が進み、畑のそばにも住宅が建ち並んでいます。耕うん機の音や、施肥する時のにおい、最低限の農薬の散布、土ぼこりなど、住民とのトラブルにならないように気を遣う、と生産者は言っていました。一般の人に、農業を少しでも身近に感じてもらいたいと始めた催しです。
コンビニ店を併設して若い人をとりこむ
 JAマインズ西府支店は東京のベッドタウン、府中市にあり、直売所の管理運営もしています。国道20号線、府中市内本宿で鎌倉街道へ曲がり、JR南武線に陸橋をくぐった本宿1丁目の交差点そばにあり、JAマインズの建物に隣接する格好になっています。
 交通量が比較的多い道路に面していて、店舗の裏側に駐車場があります。買い物客のほとんどは自転車で必要な量を買っていきます。どちらかといえば近所の八百屋さんへ買い物に行くという感覚のようです。
 従来の野菜直売所ではどうしても年齢層が高くなるので、若い人も取り込みたいと、業態を一新して2000年4月に再オープンしました。一般にコンビニ店では野菜は取り扱われませんが、コンビニ店のスタイルで野菜を販売するというとてもユニークな形態の直売所です。
 野菜以外には、一般的なコンビニエンスストアと同じ品揃えがしてあります。店内の約3分の1に野菜の陳列棚を並べて、府中市農産物直売会に所属する生産者が販売します。
 棚には地元で生産されたものが一目でわかるように、「府中産野菜」というPOP広告が貼ってあります。朝8時ごろから商品の陳列を行います。
 商品には管理用のバーコードのほか、生産者の名前、電話番号が印刷されています。消費者が気に入った生産者に電話をかけ、こんな野菜がほしいとか、あんな野菜はいつごろ入手できるか?といった問い合わせもあるそうです。
 イモガラのようになじみの少ない野菜は、消費者同士で調理法などを情報交換する姿も見られ、いわゆるコンビニエンスとは少し違った雰囲気があります。
 生産者も市場出荷はせずに、直売所への出荷のみが多いそうです。後継者がいなくて、夫婦2人で営農している農家にとっても直売所は便利な存在です。
 消費地に近いことを最大限に活用できる場にもなります。直売所への出荷以外に、庭先販売も自由に行われています。JAでは庭先販売用ののぼりを用意しています。販売の規制は一切なく、生産者の収穫物が少しでも多く売れればよいという考え方です。
 4月にチェーン店の指導を受けるようになってからは、仕入れのムダがなくなりました。若い人が立ち寄るついでに、野菜を購入するケースも増えてきました。また、野菜を買いに来た人も一回りして野菜以外のものも購入してくれるので、客層が広がりました。
 将来的には、仕入れて販売しているお弁当も、地元の野菜などを使って独自のものを販売していきたいそうです。
ナシのシャーベットで特産のナシをPR
 JAマインズの店舗には、ここにしかないという商品があります。それは、2000年9月に発売したナシシャーベットです。
 府中はナシの産地で28戸が生産し、大半が直売でさばけています。しかし、ナシの知名度は稲城市のほうが高く、多摩川ナシといえば、地元の人にさえ稲城のナシと思われがちでした。
 開発にあたったのはJAマインズ西府支店・経済組織指導部門課長の大木精次さん。
 「ナシの知名度を上げて、生産者の励みにしたもらうため、特産品を作りたかった。ナシのアイスクリームを試作してみたが、牛乳を加えるとナシの風味がなくなり、ただのアイスクリームになってしまう。いろいろと検討した結果、ナシの風味が生かせるシャーベットになりました」。
 原料は生産者3戸から提供されたナシを使い、加工は武蔵村山市にある、アイスクリーム製造工場に委託しています。ナシの季節には毎日とれたてのナシを直送し加工してもらいます。
 ナシシャーベットの特徴は、ナシの収穫時期に応じて原材料のナシの品種が変わることです。8月下旬より収穫順に「幸水」「長十郎」「新高」と微妙な味わいの違いを楽しむことができます。シャーベットを口に含むと、ナシ独特のシャリシャリ感があり、みずみずしいナシの甘さが広がります。
 JAマインズ西府支店の特徴は、直売所で販売するだけではなく、どうしたら都市の生産者が農業を続けていけるのか、地元産の生産物をどうしたら地元消費してもらえるのか、生産者がいかに農業で利潤を上げられるかなど、都市農業のあり方や生産者の生活を様々な方法で支援する態勢をとっていることです。
 また、野菜の直売をドッキングしたコンビニ店というスタイルは、JAが直営する新業態の実験モデル店としても注目されています。

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