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タキイ種苗株式会社発行 園芸新知識 8月号掲載(2001)より

      
有限会社グリーブ
農産物直売所グリーブ
〒270-1604 千葉県印旛郡印旛村山田1783-8
TEL:0476-98-2566
FAX:0476-98-2567
ホームページ:
http://www.grebe.co.jp/
営業時間:9:00〜19:00
定休日:年末年始を除き年中無休
役員:当初6人、現在4人
従業員:45人(パート、アルバイトを含む)
支店:1店(佐倉店)
売上高:約4億円


「顔の見える農業」をめざす


ログハウスの直売所

 「みっちゃんのニコニコトマト」「とまとや八兵衛」「いわさんトマト」「栗さんの早起き野菜」など、農産物直売所グリーブには生産者名がそのままブランドとなっている個性あふれる野菜が所狭しと並びます。
 この直売所は千葉市の中心街から約15km、千葉県佐倉市に隣接した、印旛沼で有名な、印旛郡印旛村にあります。周辺も宅地化が進み、近隣には千葉ニュータウンなどの大きな団地ができています。

 グリーブは農産物直売所として、近隣地域のパイオニア的存在です。ここが成功したために、農産物直売所が次々にでき、いまや過当競争気味なのだそうです。
 建物は「ログハウスの直売所」というだけで通じるほどに知名度十分です。直売所といえば、JAや生産者グループが取り組む例が多く見られますが、グリーブはやる気のある生産者が法人化し、ビジネスとして運営している点がユニークです。

 毎朝7時すぎには生産者が直売所の裏にある倉庫に荷を搬入する光景が見られます。ここで品物の値段を自己申告し数量の確認をして、納品伝票のチェックを受けます。品物は開店前に社員が直売所に運び入れ、陳列していきます。野菜の生産者は、市場出荷をしている人もいれば、直売所数ヵ所をかけもちしている人もいて様々です。

 直売所は1996年にオープン以来、順調に歩んできました。生産者も後継者世代が多く、「儲かる農業」を模索しています。その推進役が藤代弘之社長です。仲間15人と泣Oリーブを設立し、その経営手腕には小売店勤務などの経験が生かされています。「直売所の運営も企業努力なくしては生き残れない」という藤代さんに直売所運営のノウハウをききました。


実践的アドバイス

 ―生産者たちが直売所を開設するうえで何が大切ですか。
 「資金がなくてもできると簡単に考えがちですが、それでは成功しない。最初から箱(建物)とシステムをきちんと作るべきです。うちは県や村の補助金も活用したけど、やる気のある人が出資してスタートした。農事組合法人でなく有限会社にしたのは、不測の事態で理事がすべての責任を負う必要がないからです。また、有限会社だとすばやい意思決定ができる。それで資本金420万円で会社を設立し、やる気のある人が役員になりました」

 ―もう軌道にのりましたね。
 「なぜ成功したかというと、この地域が産地形成されていなかったことが大きいですね。佐倉界隈は、昔から農家の人が野菜を多品種作って軒先販売したり、行商に出かけたりしていた。いわゆる担ぎ屋としての伝統があり、自分たちで価格をつけて販売するのに慣れていました。
 それと、かつて仲間と朝市をしたことがありますが、田植えや稲刈りなど畑仕事が忙しくなると、商売を休んでいました。ところが、休んでから再開するとお客さんはもう来てくれない。だから、この店は正月以外無休。営業時間も午後7時までと他の直売所よりも長くしました。
 会員証を発行して約5000人を顧客管理していますが、遠くから来る人が多いですね。ここが成功して、近隣にたくさん直売所ができたものだから、消費者は直売所をはしごしている(笑)」

 ―直売所は、新鮮で、安くて安全が売り物とされていますが。
 「安いことが手柄ではない。自信のある商品はそれなりの価格で売らなければいけないと思う。現在のようなデフレ傾向の中では、低価格にしたほうが換金しやすいのは確かですが。うちが直売所を開設したころは、地域で一番高値の八百屋って言われ、みんなで値段のつりあげ競争をしていました(笑)。メーカー希望価格は堂々とつけるべきです。
 農家のいけない点は、作りすぎると自分のところで生産したものを人にあげることですね。電気製品や自動車などの工業製品は、作りすぎたといって人にただであげたりはしないでしょう。作物は商品です」

 ―生産者との取り決めとか、指導していることはありますか。
 「この農法がいいよとか、この作物が儲かるよとかすすめて、みんなが横並びではおもしろくないじゃないですか。各農家にとって農法は企業秘密ですから、思いきり自信のあるものを持ってきてよと頼んでいます。いいものをつくってくれさえすれば、一生懸命販売します。
 生産者への支払いは1週間に1回、日曜日に締めて翌日払いです。手数料は20%とこの地域では一番高いと言われていますが、入会金も会費もとっていませんから、それほどほかと変わらないんですよ」

 ―生産者との出荷の連絡は。
 「基本的に価格・荷姿・出荷数量など何もかも自由です。だから農家の努力次第。自分の商品をどれくらい納入すればよいか、売れ筋情報は何かを自分からきいてほしい。それが農家のマーケティングなんです。よいものを作っただけの見返りはあると思いますが、生産者も慢心してあぐらをかいているとすぐに落ちますし、反対に最初だめでも頑張ってはいあがる人もいます。
 うちの店はトマトの旬には店の中が真っ赤っか。ナスの時期になると真っ黒けになる。こんなとき、お客さんは『品物がない』と文句を言うけれど、とんでもない、こんなにいっぱい地域の旬の野菜があるんですよ、と言うと納得されますね」

直売所を近隣に知ってもらうためにどんなことをしましたか。
 「新聞が一番効果がありましたね。こちらからもどんどん情報を流しますが、来店客がくつろげる広場をつくり、ゲートがオープンしたというだけで一般紙が掲載してくれました。CATV(ケーブルテレビ)、ラジオ、電車吊り広告などを利用し、販売促進費はかなりかけていますよ。まずはここまで来てもらい、対面販売で商品をアピールするのが一番だと思います」

 ―直売所ができて生産者は変わりましたか。
 「ええ、価格を研究し、新しい野菜への取り組みも見られるようになりました。こまめに市場調査する夫婦もいます。秤をもってきて、ライバル商品を量って値段をチェックしていくんですよ(笑)。ここにはうまい野菜がいっぱいあると思います。うちのおかげで休耕田がずいぶん掘り起こされたそうです」
生産者の写真が壁に貼られ、消費者との距離も縮まる 

 近隣だけでなく、全国から生産者の荷が届くと聞きましたが。
 「最初ロケットスタートだったので、この調子では品物が間に合わないと思い、農業雑誌で『全国の農業従事者は皆友達。趣旨に賛同者求む』と呼びかけたんです。その結果、300件以上もの契約農家から果物、シイタケ、山菜など旬の農産物が送られてくるようになりました。だいだいは近隣の生産者と競合しない作物です。でも、オンリーワンになってはいけないから競合する品目も時には入れます。競争と切磋琢磨がないと商品レベルも上がっていかないし、消費者の選ぶ楽しみが少なくなってしまうでしょう。
 地方の人は収穫時期がくると連絡してくれるので、できた分は全量送ってもらい、買い上げています」

 ―野菜が最も売れる月は。
 「4〜5月です。気候がよくなると野菜を食べたくなるので、急に売れ始めます。でも6月に入り、気温が30℃を超えると食べなくなる。気温15℃と30℃を境に人の動きががらりと違いますね。集めたデータをパソコン等で分析してみると、様々なことがわかります」


自信をもって農業経営を

 グリーブでは、遠方の客にこちらから近づく戦略をとり、ここ数年は多店舗展開をしてきました。現在は近隣地域に支店1店、デパートのスポット的な売り場は8ヵ所です。

 これだけ攻めの経営をしていると、儲かっているのだろうと思われがちですが、実際のところはまだ先行投資の色合いが強いそうです。

 「農業は生命維持産業。生産者は食料生産メーカーなのだから、自信を持って作り、販売してほしい。そして、もっとコスト意識を高めていかなければいけない」

 儲かる農業経営のために、藤代さんはそうアドバイスしています。
藤代弘之社長

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