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タキイ種苗株式会社発行 園芸新知識 9月号掲載(2001)より

 
JA紀の里ファーマーズマーケット「めっけもん広場」
〒649-6445 和歌山県那賀郡打田町豊田56-3
TEL0736-78-3715
JR和歌山線打田駅から約3km
出荷者:JA紀の里組合員1,180人
開設者年月日:2000年11月3日
売場面積:1,350u
駐車場:90台
営業時間:9:00〜17:00
定休日:毎週火曜日、盆、正月
従業員数:18人(アルバイト含む)
来店客数:平日1,500人、日曜祭日2,000〜25,00人



小さなIT革命で、
直売所の理想を追求
好調なスタートを切る

 「めっけもん広場」は、JR和歌山線打田駅から約3qの田園地帯に立地します。全国的に有名な「あら川の桃」はJA紀の里管内の特産果実です。「あそこは果実の売り上げが大きいからいいよね」と、これまで取材した直売所でも一目置かれていました。しかし、桃の販売時期にはまだ間があるというのに、「めっけもん広場」はめっぽう元気でした。

「めっけもん広場」は2000年11月にオープンしました。これまでJA紀の里管内の5つの町に「ふれあい市場」的な施設はあったものの、駐車場や品ぞろえに限界があり、売り上げは1億円規模でとどまっていました。これをなんとか打開したいという声がJAの組合員から高まり、青果物、米、地域加工品などを中心に、生活必需品や手芸品なども取りそろえた大型の直売所が完成したのです。

 「計画ミスといわれているんですよ。5月だけで売り上げ目標4000万円が1億2000万円も売れてしまいました。4月からの平成13年度は5億5000万円と計画したのですが、この調子だと10億円は超えるかもしれません」。

 川原義史店長はうれしい誤算にホクホク顔です。なぜスタートダッシュできたのか。川原店長の分析をまじえて見ていきましょう。
めっけもん広場の愛称は公募で決定した。「新鮮なものがめっけられるはず」という主婦のアイデアが店名になった
「めっけもん広場」が元気なわけ
 まず、地域そのものが直売所向きであったということです。市場出荷している品目が多岐にわたり、「売れる商品づくり」を追求してきたノウハウが商品に生かされています。

 キャベツや青ネギなど洋菜類や果菜類の野菜は数多く市場出荷されていて、この直売所でも売り上げの約3割を占めています。果物は年中何かしら出回り約2割、花も種類が豊富です。販売個数では野菜が55%と半分以上を占めています。全体の品質が高く、各自が自信をもって出荷しています。他人の優れた点を見習ってさらに頑張るという相乗効果が出ているそうです。ですから、生産者同士の目に見えない競争意識もよい効果をもたらしています。

 よいものを出荷すれば高く買ってほしい。だが、消費者は一貫してよいものを安く買いたいと願う。その微妙な兼ね合いが直売所の売れ行きに響きます。ここは生産者と消費者がお互いの事情を知り、理解し合うという交流の場としても有効です。
レジ付近のスペースが広いのは、休日に来店客が行列するため
 もう一つ、「めっけもん広場」の特徴は、ここが市場流通と併用して、市場外流通の拠点基地になっていることです。JAの販売部が運営する店なので、生産者が直接持ち込む以外に、JAの選果場から市場出荷している品物と同じ品質のものがこの店に入ります。品物が不足してくれば電話で注文し、10分もすれば入荷する態勢になっています。このほかにニンジンやメロンなど、地域で作られていないものについてはJAが仕入れて品ぞろえしています。

 直売所に出荷する生産者はJA組合員の1180人が登録しています。毎日約300人が出荷し、月2回精算、販売手数料は15.5%になっています。JAで現在仕入れている品物もやがては地域の生産者でまかなうことを目標にしています。
 
 「市場流通ではどうしても外観のよさや耐病性、高収量などが基準になりますが、ここではあくまでも味のよいものを多種類作ってくれと頼んでいます」(川原店長)
 味のよいものを作っている効果はてきめんです。
野菜の中でも、トマト部会が造る「桃太郎」トマトは何箱も遠方に送る人がいるほど高い人気
畑から売上げを確認
 ところで、生産者たちの熱意にこたえるPOSシステムがちょっとユニークです。POSシステム自体は特に珍しくはないのですが、ここでは音声応答システムと組み合わせて、組合員自身で出荷した商品の販売状況を知ることができます。仕組みを少し詳しく見ていきましょう。

 
 生産者は、出荷するときにラベル発行機でバーコードが印刷されたラベルを出荷数に応じて発行します。まず生産者台帳から自分の生産者コードをバーコードスキャナで読み込みます。続いて、商品台帳から品種の下に貼り付けてあるバーコードを読み込み、発行する数量と価格を発行機のテンキーで打ち込むとラベルが印刷されて出てきます。この操作をすることにより、種類・数量・価格が直売所のPOS管理用コンピュータに自動的に入力されます。購入された商品は、レジを通過した時点で販売データとしてPOSシステムにより管理されます。

 ここからが、直売所独自のシステムになります。
 POS管理用のデータは、音声応答システム用のデータベースサーバに発行されます。このデータベースサーバは、モデムを介して通常の電話回線に接続されています。

バーコードが印刷されたラベルを発行

 生産者は携帯電話、PHS、一般の電話を利用して、問い合わせ用の電話番号に電話をかけます。生産者が電話のテンキーからID番号を入力すると認証され、合成音声で出荷した商品の種類と販売点数が読み上げられます。「ホウレンソウ4、オイシイナ10」といった具合。販売データは30分ごとに集計されるので、かなり最新の販売量を反映しています。

 このシステムのポイントは通常の電話回線を利用しているので、畑で農作業中でも、どこからでも電話をして販売状況を知ることができる点です。特殊な端末も不要なので誰もが簡単に利用できます。

 生産者からの電話の最初のピークは昼前です。これで午後にどれぐらい追加すればよいか見当をつけます。続いて午後5時前に、売れ残りを確認するための電話が多くかかります。売れ残っていれば日もちする商品以外は下げなければならないからです。運用は24時間行われ、専用回線が2回線用意されています。

 このシステムは、直売所開設の準備段階で、いちいち直売所に出かけなくても販売状況が分かるようにしてほしいという、生産者からの要望を実現させたものです。

 生産者の評価も高く、納品に必要な量が畑で作業中に分かるので、無駄にとりすぎたりすることがなくなり、売れ残りの廃棄処理も少なくなったと好評です。

 「めっけもん広場」の快進撃はこれからも続きそうです。今後は、インターネットでの注文や生協のイベント用などの予約注文など、卸的な機能を備えた直売所にしていくことを視野に入れています。