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タキイ種苗株式会社発行 園芸新知識 12月号掲載(2001)より

  ハローベジタブル/鈴木農場  福島県
ハローベジタブル
〒963-8041 福島県郡山市富田町字町内47
TEL:024-952-1081
営業時間:10:30〜18:00
定休日:なし(冬季期間に限り休業日あり)
売場面積:約40u
鈴木農場
〒963-0201 福島県郡山市大槻町北寺18
TEL024-954-1814
営業時間:9:00〜18:00
売場面積:約33u



生産者が提案するこだわり野菜

 

30代の生産者たちが中心となって運営されるハローベジタブル。
鈴木光一さんの経営する自宅の隣の直売所
地元の生産者に元気を与える
 東北自動車道、郡山インターから国道49号線を郡山市中心部へ向かって車で数分走ったところにハローベジタブルはあります。郡山の駅からは約7kmほど。小さなプレハブの建物なので、うっかりすると見落としてしまいそうです。

 ここは郡山農業青年会議所に属する生産者14人が資金を出し合って2000年7月にオープンした直売所です。減反などが続き、元気がなかった地元の農業を野菜作りで活気づけたいと張り切る若い生産者が中心となり、年間を通じて約40人が出荷しています。

 資金節約のため、敷地は生産者の自宅の一角を借り受け、建物は中古のプレハブ倉庫を購入しました。内部はすべて手作りで、陳列台には、不要品や廃品を有効に活用しています。早く安定した収益が見込める直売所にしたいと、やる気十分です。
 開店は朝10時半で、生産者が当番制で店番をします。当番の人が店内の整理をしていると、ほかの生産者が野菜を運んできます。今朝とれたての野菜を並べ、昨日売れ残ったものと交換していきます。店の片隅にバーコードの発行機があり、その場で価格を決めてラベルを貼っていきます。店番の担当者はこの間にレジの点検や釣り銭の手配などをしています。ここでは原則として、カボチャなど日もちのするものを除き、昨日の売れ残りはすべて下げてしまいます。下げた野菜類は、生産者の食卓に上ります。「収穫の多い野菜が残るので、食べ方を工夫しないと飽きてしまうんですよ」と生産者の一人が笑っていました。

 旬の野菜が多いのはもちろんですが、「ちりめん細長うり」のように直売所ならではの珍しい品種があったり、ズッキーニやカラーピーマンのようにまだなじみの薄い野菜もあるので、手作りのPOPを用いて食べ方を積極的にPRしています。

 この地域では、天候と気温が客足に影響を与えます。夏は30℃を越えると売上げはガクッと下がり、冬は風が強くて体感温度が下がるとやはり売上げに響くそうです。車で5分以内の範囲から来店する客がほとんどだけに、県経済連の直売所施設が市内にできて売上げが半減する憂き目にあいました。しかし、両方の直売所に出荷している人もいます。

 「生産者それぞれの野菜にファンがつきました。いろいろなイベントを実施して活性化させていきたい」と安田良裕代表は張り切っています。

←ズッキーニなどのなじみの薄い野菜は食べ方もPR

 

 

 

↑ハローベジタブルには40人が登録しているが、常時15人前後が出荷。基本的な野菜のほか、ズッキーニ、ちりめん細長うり、カラーピーマン、水なすなど変わった野菜もお目見え。ズッキーニなどのなじみの薄い野菜は食べ方もPR。写真は安田良拾代表。根菜類や葉物類を出荷している。
↑養蚕農家の猪腰有雄さんはこの日4品目をもってきた。
手作り漬物も人気商品。→

 

 

 

 

←地方への新鮮野菜の発送にも応じる
市場流通にのらない野菜が中心
 野菜生産面でリーダーシップをとっているのは生産者の一人、鈴木光一さんです。ハローベジタブルに出荷する一方で、自身でも自宅の隣に鈴木農場という直売所を開いています。そして、興味深いのは生産者でありながら野菜の種苗も販売していることです。ですから、変わった野菜やこだわりの品種については、自分で作ってみて、その結果を販売につなげていくという相乗効果につながっています。

 「どれも一応作ってみるんですよ。春にこれを作ってみようと品種を選び、当たると最高の喜びですね。品種選びの基本は味です。多少作りづらくとも自分でおいしいと思ったものを作ります」

 15年ほど前に直売所を始めたころは、品目も少なかったのですが、毎年新たな品種を作るのを楽しみにしているうちに、年間100品種以上の野菜が並ぶようになりました。鈴木家の野菜が9割を占めますが、市場でしか買えないものもあるため、地方市場で仕入れています。10年前に売り上げ約200万円だった野菜の直売部門は、約2300万円になりました。ハローベジタブルや生協に出荷する分を加えると15倍ほどの伸びになっています。

 「利益が上がる野菜というと果菜類ですかね。大変ですけど毎日実ってますから(笑)。うちの場合は少量多品目の生産なので、トータルで利益が出せるかどうかを考え、この時期にこれだけの量を売りたいというのがまず前提で、そのために生産量を逆算するやり方をしています。だから、カラーピーマンなんかは儲からないのに作っているんですよ(笑)。あれは色がつくまでが大変で、甘いから病害虫がつきやすい。うちは露地栽培なので、品種選びも難しいですね。

 夏野菜の販売はナス、トマト、キュウリ、エダマメ、トウモロコシの5大品目を中心にしていますが、これらの基本野菜がしっかりしていると、コールラビとかサボイキャベツ(タキイ)などの野菜が引き立つんですよ」

 収穫で忙しい夏から秋にかけて鈴木さんの一日はこうです。畑は3カ所あり、朝4時過ぎに地方市場に行って仕入れた後は、野菜を収穫します。その後、出荷調整作業に入って10時までに近くの生協に出荷、その後ハローベジタブル向けの出荷をします。種苗も販売しているので、できるだけほかの生産者と重複しないように気を遣うそうです。

戻ってきてからは鈴木農場の陳列をします。こうしている間に午前中が終わってしまいます。

 「数年前までは鈴木農場でしか売っていないものもありましたが、みんなにも作ってもらってスーパー等のコーナーに出荷できるようにと、茶豆やサボイキャベツなど4品目を検討しています」
 「生産者としておいしいものを消費者に提供したいという気持ちもあり、タネ屋として生産者に喜びを味わってもらいたいとも思う。そのためにも自分が先頭を切って野菜のことが分かっていないといけません。それと、野菜作りはこれからますます労力面で厳しくなると思います。ですから、プロの農家に学びながら労力を提供してくれるというような人たちと、ギブ&テイクの関係ができるアグリサポートシステムがあればいいなと思います」

 「これからの農業は、どれだけ付加価値をつけられるかだと思います。朝どりであるとか、農薬散布の回数が少ないとか、作りづらいけれどこだわりの品種であるとか、その要素はいろいろあります。たとえば、生の調理用トマトで作る料理は、缶詰やトマトピューレーのものとは、断然味が違います」
鈴木農場では少量多品目生産だが、個性豊かな品ぞろえ。
鈴木さんおすすめのタネ
 鈴木さんはこだわった野菜を作り、タネを販売するうち、直売農家のアドバイザーになりたいと願うようになりました。

 主な野菜の中でも鈴木さんが今注目しているタキイの品種について聞きました。

 「キュウリはブルームの四葉(すうよう)系が好きなので、『シャキット』は興味があります。また『夏すずみ』や『V(ぶい)ロード』は作りやすいですね。

 『ちりめん細長うり』は好評でしたよ。
 ナスはここ数年『筑陽(ちくよう)』が一番いい。タキイの水ナスは全国でも定番ですね。『紫水』なども推しています。

 トマトは大玉はやっぱり『桃太郎』ですね。中玉のよいのがほしいです。
 ミニトマトは、『ペペ』や『ココ』の欠点を補った形で登場した『千果(ちか)』がいいけれど、ミニトマト自体こちらではあまり人気がありません。

 エダマメはやはり中生の茶豆がうまいですね。『富貴(ふうき)』は早生系で好評で、私も好きです。

 カラーピーマンも採算をとるのは大変だけど、彩り的にいろいろ置いています。

 このほかリーフレタスの『ダンシング』なんかも好きです」
大型産地を目指すか、レストラン需要など特殊野菜の産地をめざすか、あるいは直売向けの味にこだわった野菜の生産を目指すか、野菜生産にはいろいろな活路があるといいます。そして、鈴木さん自身は、常に食卓にあがって調理されたところまでをイメージしながら農業をしています。
鈴木光一さん。畑は3ヵ所に分散しているが、生産だけでなく、試験栽培場にもなっている。

「農業への理解を深めるために、これから一番大切なのは教育だと思います。子供たちに野菜はこうやってできるんだと見てもらえるだけでもいい。小さいときから農業とふれあえば、将来農業を仕事にしてみたいという人も増えてくるでしょう。そのときに、経営として成り立つような仕組みを作っておきたいと思うんですよ」

 農業の未来に思いをはせ、夢は尽きません。
 

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