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苺と文学
苺と文学
映画に出てくる苺
  「ハリーの災難」

 ヒッチコックの映画「ハリーの災難」では、贈り物をもらうとしたら何がいいかとたずねられた若妻シャーリーマクレーンが「摘みたてのイチゴ」と答えます。幸せは、身近で小さな満足からくることが実感できるせりふでした。

  「ベイブ」

 かわいい子ブタが主人公の「ベイブ」、ベイブと飼い主になる男性が出会う遊園地のシーンで、男性の妻エズメと友人のこんな会話があります。

「すごいわエズメ、ジャムの品評会で1等賞を取ったなんて」
「今年のイチゴはとても甘くて、水道でなく、おいしい井戸水を使ったからよ」


小説、エッセー

寒中のくだもの屋にたった一箱、ほんの六粒か七粒宝石のようにならんだ苺

「もめん」森田たま

 紅い血のしたたるような苺が終わりに運ばれた。私はそんな苺を味わったことがなかった。

「蒼白い月」徳田秋声

冬苺がめずらしかった昔、「お酒もタバコも飲まないのだから、せめて」と、炬燵の上での苺ミルクにあこがれていた。外の面の雪と、真っ赤な苺と。熟れ切ったものを、ぞんぶんに味わう季節のよろこびとはまたちがう、清らかな後味だった。

「野菜のこよみ くだものの香り」岡部伊都子


俳句

いちご熟す去年(こぞ)の此頃病むたりし

正岡子規

耳もとに太陽の私語苺摘む

堀内 薫

波白し石垣苺赤くたれ

松山鵜川

陽一杯石垣苺の甘さかな

郷原樹人

青春の過ぎにしこころ苺喰ふ

水原秋桜子

ただ苺つぶし食べあふそれでよし

中村汀女

はからずも麗貌を眼に苺噛む 

日野草城

苺食み一人の刻を楽しめり

松岡祥子

つぶしたる苺流るる乳の中

高浜虚子

苺煮て六月の仕事一つ了ふ

高山トシ子
ちなみに苺は夏の季語となっています。

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