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りんごの品種−あいかの香り 


あいかの香り

晩生品種。約440gの長円形。ふじより1週間程度早く収穫できる。2000年より長野県の試作品種、2003年度より市場にも多く出回るようになる。

 

 育成者は長野市の1.5haの園地でリンゴを栽培する藤牧秀夫さん。藤牧農園のホームページもあります。簡単に「あいかの香り」の育成経過をまとめてみましょう。
【育成経過】
 1972年春 約200個をコンテナに播種。 その中から4本の実生を選抜。
 1992年秋 そのうちの1本が初結実。
 大玉で食味がよいので、これを原木にして調査を開始。
 1993年 原木に果実が約30個結実。
 1996年春 原木から穂木をとり、10年生の「ふじ」に高接ぎ。
 1997年 原木に約60個、高接ぎ樹に6個の果実が実り、有望品種と確認。
 1998年1月23日 農水省へ種苗登録を出願。
 2001年7月27日登録(登録番号第9130号)

【品種の特徴】
 果肉は黄白色、蜜は霜降り状に入り多い。糖度は平均14〜16%なので甘い。酸度は0.25%程度なので、酸味は少なく感じられる。硬度は12〜13ポンド程度なのでサクサクした歯触り。果汁が多く、芳香があり、食味はとてもさわやか。紅玉のように果肉が軟化(ボケ)することなく、日持ちも良好(常温で約2週間、冷蔵で2カ月)

 このリンゴを最初に試食したのは、数年前の11月9日です。果物屋さんの老舗で組織する「四季の会」という会合で新品種や味のよい果物が作られると試食会が開かれていましたが、そのときにはこれからの有望品種ということで出品されました。

 試食した後、1)外観(着色、大きさ、果形、果点、その他)、2)果肉(硬さ、緻密度、色、蜜入り)、3)食味(糖度、酸味、果汁、香り)、4)これからのリンゴの消費動向からみた商品性、5)この品種の生産販売に対する期待度、6)総合評価などをアンケートしました。果物専門店の店主や東京青果の人など参加者は皆専門家ばかりでしたが、おおむね好評でした。

 ずっと以前に「はつあき」という外見の美しいリンゴを試食したときがあり、こういうリンゴが初秋に出ればいいね、と話し合ったものですが、ついにメジャーにはなれませんでした。味が伴わなかったのです。品種の特性に適した産地が作ればいいのでしょうが、有望となると猫も杓子も作り、結局は品種をだめにしてしまうということがあるそうです。ですから、品種の親としては残っても品種自体は過去のものになる例は数多くあります。ふじはそうやって多くの人が飛びついても品種自体が優れていたから生き残ったのでしょう。
 
「四季の会」では生産者サイドから説明がありました。

・どうしても大果系になってしまう
・リンゴの栽培面積が減っているので、ふじのようには作れない
・生産者も何を作ってよいのかわからない・1本の苗木が(当時7000円。長野県のリンゴを振興するために長野県の卸売会社が苗木も販売)するし、1本程度購入した人はまだ自信がないようだ。3年前に苗木を売り出したが、高接ぎして3年で実るので来年ぐらいには出てきそう。
・リンゴ専業農家が少なくなると、リンゴへの愛情が薄くなるということもいえる。
・ふじはロスが多く、生育期間も長いので「あいかの香り」だけを栽培したいという生産者も出てきている。

また、「四季の会」側からは下記のような意見が出ました。

・たくさん作ったら売れないよ。(大量生産するのでなく、大事に作ろうという提案です)
・有袋と無袋ふじの中間で、限定生産して販売したほうがよい。
・果物は一度値崩れしたら復活しない。
・いいものは高く売れない(コストと労苦に見合う金額という意味)と、生産者が張り合いをなくしてしまう。
・独特の色合いがある「秋映え」、標高の高い所へ行くほど酸味がある「信濃ゴールド」のように特徴があるリンゴが望ましい。
・味のよいふじの合間に作られるものは歓迎したい。

 2001年にはテレビ番組の「どっちの料理ショー」でも取り上げられました。テレビ局は果物の話題というと東京青果、万惣、新宿高野のどこかに行くようで、この回は万惣さんが推薦したとのこと。かたやこのときのライバルはデコポンです。好勝負を展開していましたが、最後に出たデザートが決め手になって、リンゴは負けてしまいました。けれども、「あいかの香り」はそのまま食べればデコポンにひけをとらないおいしさです。

 「あいかの香り」は生産者の藤牧さんが長女の愛佳さんの名前から名付けたもので、たまたま万惣さんに行っているときに会うことができました。リンゴのようにさわやかな方でした。リンゴに自分の名前がついて幸せですね。次女の名前をとった「ひろの香り」もあるので、リンゴの姉妹として普及していってほしいものです。

 これまでは量が少なかったのですが、生産が広がり、2003年秋からは市場にも多く入荷するようになりました。このリンゴを目にすることがあれば、ぜひ食べてみてください。(2003.11.4)

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