●おめでとう、食品流通局長賞!!
杉山フルーツ店が(財)食流機構主催の第9回優良経営食料品小売店全国コンクールで食品流通局長賞を受賞したことを本誌(果物月報)99年1月号でお知らせした。すると年明けに同店を実質的に経営する杉山清さんからメールが来た。
【当店にとっては身に余るビックタイトルを頂き、戸惑っておる次第です。 日経流通新聞に掲載された翌日には早速、東京よりコンサルタント様が店舗視察・長野県より40名様の店舗視察依頼が来たようなに慌ただしさであります。
正直、賞を頂いてからというものは、お店も従業員も日増しに磨きが掛かったような、気の引き締まる良いプレッシャーを感じている今日この頃でございます。
それと、なにより一番嬉しいのは当店のお客様が手放しで受賞を喜んでくれたことです。例えば「杉山さんのお客様で光栄です」とか「自分のことのようで嬉しい」とか「こんなお店で買わせていただきありがとう」……等沢山のメッセージ・励ましのお言葉……。本当に涙のでる思いがします。 その反面、当店にとってはお客様の信頼を絶体に裏切らないよう経営展開していかなければなりません。(一部抜粋)】
杉山さんで思い出されるのは青年会議での雑談で、「うちの店の配達車はアートペインティングをした真っ赤な車で、日本中どこにもない。ぜひうちの店にも来てください」と車のPRをされたことだ。名刺はカラーの顔写真入りでパウチングしてあり、最初の印象は強烈だ。これだと一度手渡されれば顔と名前が結びつかないということはないし、あだやおろそかにはできないという気にさせられてしまう。ホームページもまだ果物店では取り組みが少ない頃に開設し、あれやこれやと改良を加えていって、今では「インターネット活用講座」の講師をしたりするほどになったそうである。まさに「継続は力なり」か。 ホームページには、「清の店じまん エッヘン」として「なぜか色々なマスコミが取材にくるんですよ!最近の足跡を自慢しちゃおっ〜〜っと!」と書かれている。コンクールに入賞したことで、日経流通新聞、静岡新聞、中日新聞、東京新聞などのほか、農経新聞、地元紙、業界紙などに掲載されたが、そのほか1999年だけ見ても「マスコミへの露出度?」は高い。
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店左はジューススタンドだが、中元歳暮などの多忙な時期にはギフト陳列棚に
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話題になったバナナは効用を記して目立つ場所に配置
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リボンは豊富に揃え、ギフトに力を入れる。関連商品も多く、店の色彩は明るく、にぎやか
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果物をショーウィンドーらしく演出したり、インテリアを飾ったり、勉強の成果を生かす
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生活情報番組が当たれば、次々に似たような番組が登場するご時世だが、マスコミに一度取り上げられるとその後もイモヅル式にほかからも声をかけられることが多い。中でも近年マスコミが情報収集に利用しているのがインターネットのホームページである。ホームページでオリジナル産品を販売している店が、ネット通販では商品がほとんど売れないのに、ホームページを見てテレビや雑誌に取り上げられ、地元の知名度が向上したと教えてくれた。
マスコミに取り上げられた場合、広告料に換算したならば莫大な金額になる宣伝効果をあげることができる。杉山さんにとって、マスコミに紹介されることは一種の励みであり、そうなれば名実ともに期待を裏切らない店になろうとさらに努力する。それがまた新しいアイデアを生み出してお客もひきつけるし、マスコミからも注目される。その繰り返しである。
本誌記者は、実際に店を訪問する際、これまで話を聞いたり、ホームページを見たりして杉山さん自身に多少は「目立ちたがり屋」のところがあるのだろうと思っていた。それだけユニークな人という印象があったからである。
だが、その印象は帰るときにはすっかり違っていた。こういう商店街(失礼ながら活気を失って見えた)で、ここまで元気に商いができるということに驚かされ、「感謝、感謝」を口にする杉山さんの謙虚さに素直に脱帽した。 今回の受賞が決まったときに、推薦団体である岳南青果商業協同組合の高井理事長は、次は最高(農林水産大臣賞)をめざそう」と励ましてくれたそうである。そう、ぜひとも目標を高くもっていただきたいものである。
●店の発展は地域、商店街とともにある
杉山さんは杉山フルーツ店2代目の杉山久男氏、喜久枝夫妻の長女郁美さんの婿である。東京の一流ホテルでコックの経験があるが、結婚後は個性ある果物店をめざしてきた。
静岡県富士市は製紙の町として知られ、同店のある吉原商店街(愛称「虹いろ〜ど」周辺は、東海道五十三次の宿場町としても栄えてきた。だが、商店街の空洞化はここでも例外ではなく、ロードサイドへの大型店の進出等により、約120店あるうち、15店が空き店舗という状況になっている。果物店はほかに1店しかない。
杉山さんは、商売を手伝い始めたとき、いわば第三者の目で客観的に店、商店街を見た。そして、歴史ある商店街が衰退し、それとともに店の経営者らがやる気や元気を失いつつあるのが残念でならなかった。そして、商店街青年部部長になった折り、みなを元気づけながら様々な企画を打ち出していったのである。
それらが毎月第2土曜日のナイトバザール(秩父市を参考に実現)、東海道五十三次を町おこしのテーマにした毎週日曜の「吉原宿・日曜市」(2001年は東海道400年にあたり、これからますますの盛り上がりが期待される)、商店街の会員カード(ポイントカードが順調な歩み)、レシート抽選会(毎月20人に3000円が当たり、地域に定着した)、市内全域で14日間開催する「イッピン(逸品)祭」(店の個性を発揮するチャンス)などである。
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杉山フルーツ店を含め、優良店はきめ細かく情報提供
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セールや特売品でなく、「感謝品」
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杉山さん自身は、商店街活動に打ち込んだり、よい店があると聞けばどこへでも見学に行ったり、セミナーに参加したりするので、店をあけることも多くなった。そこで、店のほうは両親、郁美夫人、21年勤続の望月久枝さんの4人ががっちりと守っている。
多くの機会を利用して学んだことを店や商店街活動にとりいれて話題となってきた。イベントを実施すればとにかく目立つことをする。おもしろいイベントをするので、若い女性も興味をもって来店する。
杉山フルーツに入るとリンゴの形をあしらった時計など果物の関連商品がびっくり箱をひっくり返したようなにぎやかさで飾られ、これらも一部は売り物になっている。そのにぎにぎしさに店の活力が感じられるほどだ。だが、ラッピングやかわいいギフトの提案、きめ細かなPOPなど地道な努力により、ギフトの需要が高まり、商店街が実施した「あまたが選ぶ好きな店コンテスト」では1位に選ばれた。また、「静岡いきいきショップ百選」にも選ばれている。
これだけの努力をしていても売上げはここ数年横這いである。だが、地道な努力をしているからこそ1億円以上の売上げをコンスタントにあげられるのだともいえる。インターネットのホームページも通販では効果をあげていないが、見知らぬ人たちとの交流が生まれ、一度注文をくれた人がリピート注文してくれるようにもなってきた。小売業界ではみなが横並びになってから重い腰をあげる人が多い中で、早い時期からホームページを開設して技術を蓄積しているということは、これから花開くと期待されているネット通販には大いに効果を発揮することだろう。インターネットが電話と同じくらい普及した時点では、同店の名が全国区になっていることもありうることだ。
次ページに「食料品等小売店経営ノウハウ集」に記されている同店のノウハウを掲載する。ノウハウ集ではこのほか、「ノウハウの背景」「効果」、経営方針や経営数字などが記されている。不況でモノが売れないといわれている中、会長賞以上に入賞した24店の経営ノウハウを読むと、確実に元気がわいてくることだろう。 |