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吉田果物店 -1-

 〒500 岐阜市鹿島町7-17(市民病院西)

営業時間:8時から20時。木曜定休だが、葬祭関係があるため、ほぼ年中無休。

吉田正氏ときよ美夫人

バスが頻繁に通り、交通至便。車客も多い。

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ギフトが9割、うち葬祭用5割
いい品物を売ることが長続きの秘訣
お客様から見舞いをもらった幸せ

 岐阜駅より車で10分ほど、鹿島町の市民病院近くにある吉田果物店は、岐阜の果物店の中でも冠婚葬祭を手がけてトップクラスです。店主の吉田正さんは96年、それまでの無理がたたって入院、手術をしましたが、その間、きよ美夫人が店を支え、2ヵ月のスピード療養で仕事に復帰しました。

 ギフトが9割、うち葬祭用5割

 ――創業はいつですか。初代ですか。
「昭和42年(1967年)に、ここより100mほど西に創業して5年くらいやっていたら、売り物が出たというのでこちらに移ってきました。向こうに長良川の堤防が見えていて、この辺りは家がほとんどなかった。裏は見渡す限り田んぼばかりで、農家の家があるだけ。今、市民病院はあったけど、木造の小さな病院でね。ここに出店したときは、そんな田舎で何をするんだってみんなから反対された。ほとんど車も通らなかったからね。今はバスがしょっちゅう走っているし、駅に出るにも繁華街の柳ケ瀬に出るにも近い。便利な場所になりました」

 ――当時から冠婚葬祭を手がけていたのですか。
「いや、始めの頃は品物があれば売れたから、冠婚葬祭を始めたのは30年くらい前かなぁ。

 花屋さんも一緒に葬儀屋さんを呼んで、食事をしながら始めようかという話になった。花も果物もほとんど葬儀に使われていない頃に、大手葬祭会社と組んでやり始めた。葬儀会社を2〜3社相手にしていたこともあるから、忙しくてほとんどそれで体を悪くした。今は取引先は1店で、ほかの果物店にも仲間に入ってもらっている。朝から晩まで盛りかごに追われて休みなし。年中無休で大変だった」

 ――葬祭関係はどういう仕組みになっているんですか。
「葬儀屋さんが花や果物など数の注文を受けてきて、果物関係は一括してFAXが来る。集金も前金で代行してもらっている。うちの商いはよそと違って、その日勘定だから、1日でも遅れたりはしない。今のところもらい損ないは1件もないね。紹介があったら2割くらいひくところもあるけど、うちは一切値引きなし。だけど、品物には自信がある。取引先とも中元歳暮など気を使うことは一切なし。たまにゴルフに出かけても割り勘。むだな神経を使う代わりに、互いにお客様を大切にしようということで、取引関係は浮気をしていない」

 ――冠婚用は。
「結婚式場はやってない。あれは土曜、日曜が多いでしょう。そのときはうちが忙しいときなの(笑)。それに時間を決められると大変。葬儀は時間に追われないし、融通がきくのでいい」

 ――でも、結婚式だと何時から始まるとか、時間もわかっているでしょう。
「生ものだと悪くなるので、心配でしょ。長く置かれてしまうからね。葬式でも全部生だけど、時間が読めるからいい」

 ――営業時間は。
「朝8時から夜8時まで、年中無休。体を悪くしたとき、この商売やめるつもりだった。胃潰瘍で手術して15kgやせちゃってね。そうしたら健康のために働けと医者もアドバイスしてくれた。下請けに出してやればいいのだし、できる限り続けていこうと今はのんびりやっている」

店の外、右手(写真左の建物)に市民病院。

店内を見れば、高級需要への対応とわかる。

 いい品物を売ることが長続きの秘訣

 ――店の品物を見ると、季節を先取りしたものや高級な贈答用需要のものが多いようですが。見舞い用が多いですか。
 「90%はおつかいものだね。そのうち葬儀用が半分くらい占めている」

 ――仕入れはどこで。
 「毎朝岐阜市場に行く。昔はメロンだけは名古屋の市場で買っていたが、今は岐阜でほとんど間に合う」

 ――入口は自動ドアになっているのに、開けているんですね。
 「自動ドアって途中でしまるでしょ。お年寄りが来たりするとはさまれたりして危ない。こわいのでなるべく開けています」

 ――入口にはゼリー類が多いですね。
 「この頃病院見舞いでも結構出るようになったね。生だとすぐ食べないといけないけど、ゼリーだと長持ちするからよく売れる」

 ――それと、メロン類が多いですね。
 「うちは浜松も高知もなんでもおいている。雑メロンの時期はこれだけで手軽なギフトになるから、人気があるね」

 

店はクローズタイプで、2カ所に入口がある 

店頭ガラスに接して、西瓜やゼリー類を陳列 

――これだけ並んでいるということはこれだけ売れるということですね。
 「ほとんどギフトだね。午前中はたいていひまだけど、土曜日はめちゃめちゃ忙しい。店売りはほとんど常連さんばっかり。皆さんしょっちゅう買いに来てくれる。でも、葬儀用をすると、店を飾ることがなかなかできないのが悩みで……」

 ――西瓜も丸で置いている。
 「うちは切らないで丸のまま。車でもっていく人が多いからかな。西瓜は暑い日には売れるけどね。後天候を見ながら仕入れをしている。雨が続くと桃はまずいからね」

 ――紀州の梅干しまで置いてある!
 「親父さんが食べているなら、というのでレジ前に置いておくと、これがよく売れるんだ(笑)」 

 ――見ていると、高額に買う人が多いですね。
 「病院に近いからかもしれないけど、お医者さんが多い。今は全部カゴの倉庫になっているけど、以前は2〜3階を貸事務所にしていて、医者の組合事務所が入っていた。その関係もあるかもしれない。市民病院に入院したときも先生がみんな心配してくれた」

 ――ギフトに力を入れているだけあって、包装資材が充実していますね。
 「特注のオリジナル箱も用意しているし、名前入り箱を使わないときは、シールを貼るようにしている。どの店から届いたのか、わかるようにしている。それだけ品物には自信がある」

 ――葬儀のかごはいくらくらいが中心ですか。
 「今、2店と取引していて、外税で1万2000円と、内税で1万3000円と決めています」

 ――葬儀かごは1日どれくらい作りますか。
 「余裕があったときは1日で30〜40やったこともある。今もコンスタントに注文が入るけど、やりきれないときは断るので、少し数は減ってるかな。葬儀関係は、葬式後が大切。初七日以降、法事が3年、6年と続く。だから、3週間先まで予約が入っている。仲間の果物店も2店に増やした」

 お客様から見舞いをもらった幸せ

オリジナル包装紙はパイン柄。メロン箱を包んだところ 

オリジナル箱は店のマーク入り

――これからは。
「長男は畑違いのところに勤めているので、後継者はいない。若い人で果物店をやってみたいという人がいたら、任せてもいいと思い始めた」

 ――病気をして何か変わりましたか。
「一番うれしかったのは、お客様からお見舞いをもらったこと。ふつうなら予想もできないことなので、びっくりした。それに、商売をやめようと思っていたのに、皆さんから励まされた。本当に、うれしく、ありがたかった。

 商売はもちろん儲けて売らなければいけないけど、お客様にしても、取引先にしても、長いことつきあおうと思ったら、本当にいいものを売っていかなければならないと改めて思った。品物がいいから、とお客様が納得してくれている。まだ60代、元気な限り、果物店を続けていきたい」