店売り以外にも力を入れる
フルーツショップ造田は高松市内で2番目の繁華街とされる兵庫町商店街の端、ちょうど商店街のアーケードが切れたところに立地しています。
周辺はビジネス街になり、一見すると消費者の人通りが少なくなるので、立地としては不利な感じがするのですが、そうではありません。広くない売場に果物をボリューム陳列というと、庶民的な店? いえいえ、そうではありません。
一般の概念では、売場面積が20u以下の店ならば、個人商店で夫妻で営業か……と想像してしまいます。 ところが、店に入ってみてびっくり。造田耕司さん、里美さん夫妻、造田耕三さん、恵子さん夫妻の兄弟で営業、それに母親のりつ子さん、アルバイト男性5名、女子2名という陣容です。これで朝8時から19時まで営業。日曜定休。
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| 店頭にボリューム陳列してあっても贈答需要が多い |
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店売りだけしかしていない店は全国的に果物消費低迷のあおりを受けて、きびしい経営を強いられているようです。
このため、繁盛している店は、自分で生産地を回って果物の美味を追求する、ゼリーやフルーツケーキなどを自家加工する、冠婚葬祭用に力を入れる、業務用を開拓する、贈答など地方発送の割合を増やす、など様々な手だてを講じています。
フルーツショップ造田の場合もこれだけの家族、人数を養っていくということは、それなりの商いをしていなければとてもたちゆきません。 |
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| 高級珍果の販売にも挑戦。写真の人は「香緑」を創出された高松市在住の福井正夫先生 |
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それが、地方発送と業務用納入になります。店売りは日曜日が休みですが、その他業務は元日だけしか休みがありません。たとえシャッターが閉まっていたとしても、果物を積んだフルーツショップ造田の配送車は常に街中を配達して回っているのです。
創業は1926年(大正15年)、今は兄の耕司さん(写真左から3人目)が仕入れや業務筋の配送・開拓、弟の耕三さん(写真右から2人目)が販売と分担してやっています。高松市内では一番若い世代が経営する店になっていて、アルバイトも皆店主たちと気の合う若い人たちばかり。
果物店経営は大変、むずかしいと笑顔で言いつつ、兄弟で仲良く店を継いでくれるというのは、全国の果物店から見てうらやましい限りの店でしょう。 |
●手書きの礼状で、顧客との絆を作る
仕入れのポイントは「食べておいしいものを仕入れる」「季節の先取りをする」、シンプルなこの2つのみ。その代わり、同業者が見ると違いがわかる店になっています。
3月の時期には、土佐文旦をいっぱいに並べて販売していました。この店では四国全体を「地元」と考えて、全国へ向けて特産品を地方発送しているのです。ビジネス街に近いため、一般消費者だけでなく、社用の贈答利用も多くなっています。
贈答に力を入れるため、店の果物には必要に応じてPOPがついています。女性陣が多いため、出始めのビワは少量で愛らしくアレンジしてギフトにしたり、ときめ細やかさも目につきます。冬場は柑橘類が多く並んでいましたが、店頭にはザル盛りの商品はなく、ボリューム陳列されていてもほとんどが1個売りになっていました。ということは、ちょっと手土産にするものとか、贈答に組み合わせる商品が大半というわけです。
「旬の果物を中心に季節感のある飾り付けをしています。消費者にとって親しみやすく、高級感のある店舗となるよう努力しています」と耕司さん。
ドリアンやチェリモヤといった高級輸入果物もありました。これらを求める客もいるそうですから、あの店にはちょっと変わったものがあると常に期待をさせる店になっているのかもしれません。それにしても、これらの商品を認知してもらうだけでも一苦労なわけで、売れるか売れないかわからない商品を積極的に販売してみようと仕入れてくる意欲には、やはり若さ、活力を感じさせられます。
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| 季節の先取り商品は買いやすいギフトにする |
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地方発送とかの礼状やあいさつは母親のりつ子さんが手書きで担当しています。ワープロやパソコンが普及した現在、お客様のほうでも、手書きの手紙をもらうとうれしいらしく、お礼の電話がきたり、感激したと礼状がきたりするそうです。このことが地方の顧客との絆を深めて、コンスタントな注文にもつながるというよい効果を生み出しています。
どんなに大変になっても、まだ会ったこともない人々との商品を通じての心の交流はすばらしく、できる限り手書きの礼状は続けていきたいといいます。
けれども、業務筋や顧客管理などの必要性もあって、パソコンには前向きに取り組んでいて、女性陣も含めて、目下勉強中。近い将来は四国産の果物のインターネット通販にもチャレンジしたいという意向をもっています。 |
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| 愛媛佐田岬特産完熟清見タンゴールとこだわりを表示 |
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業務用はホテル、飲食店など、高級需要を開拓してきました。今は生果で手一杯ですが、先方の需要に応じてフルーツソースなどの加工分野にも手を出していけたらと考えています。
このために、他地域の果物店で参考になれば見学に行きたい気持はやまやまなれど、なかなかそうした情報が入らないのが残念とか。
仕入れに関しては、卸売会社や仲卸会社社長などと密に連絡をとって、産地の出荷状況を把握するようにしています。
現在は、ほぼ生果が100%近い割合なので、「おいしい」ということが最高の付加価値です。 |
「ですから、産地に向けてはきびしく選果し、生産状況なども報告してくれることを希望します。産地の状況が把握できれば、我々も自信をもって売れるんですね。何かしら産地と小売店との良好な関係を築いていきたいと考えています」
経営方針は「ムダを省き、信用を築いていくこと」。これからの果物店経営については、独自のカラーを出していくことが大切としています。量販店や食品スーパーの勢力がますます増し、一方ではコンビニ店もカットフルーツの詰め合わせなどに力を入れ始めているなど、果物店を取り巻く環境は厳しくなるばかり。でも、このように個性的な店こそががんばって果物店の将来を築いていくのでしょう。
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