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夏のワインゼリー

 材料(容量600ccの器1台分)
赤ワイン・・・・・・・150cc
 水・・・・・・・・・・・・・100cc
 グラニュー糖・・・・60g
 レモン汁・・・・・・・小さじ1
 粉ゼラチン・・・・7.5g(1袋半)
いちじく・・・・・・・・・・・・2個
りんご(小)・・・・・・・・・1/2個
ブルーベリー(冷凍または生)・・・・・・・・・・・・1/2カップ
生クリーム、粉砂糖・・適量
 作り方
1.粉ゼラチンは水大さじ3(分量外)にふり入れて混ぜ、ふやかす。いちじくは先を落として二つに切る。りんごは皮と芯を除き、縦六つに切る。
2.鍋にワイン100cc、水、砂糖、レモン汁を加えて火にかける。沸騰したらいちじくとりんご加え、落とし蓋をして弱火で10分煮る。火を止め、果物が冷めるまでおく。
3.果物を取り出し一口大に切る。ワイン液は漉して別の鍋に移し、残りのワイン50ccを加えて火にかける。
 沸騰したら火からおろし、ゼラチンを加え溶かす。ボールに移し、氷水にあてて冷ます。
4.いちじく、りんご、ブルーベリーを加え混ぜ、とろみがついてきたら型に静かに流し入れる。冷蔵庫で半日から一晩冷やし固める。
5.型から皿にゼリーを出す。粉砂糖を加えて泡立てた生クリームを添える。

 クリスティアンヌの家でホームステイを始め、フランス語の日常会話に少し耳が慣れてきた頃。

 友人を招いて夕食会をする、とのこと。私も同席できることになりました。

 テーブルについたお客は、ネイティブと遜色がないフランス語を話す、外国人が5人。
話題は、政治経済がらみの「難しい内容」。こちらの大学で教鞭をとっているという、モロッコ人の男性がしきり役です。
食事が進むにつれ、皆の口調は熱く激しくなり、身をのりだす人、腕を振り回す人も出てきます。

 知っている単語を掴まえるだけで精一杯。意見を述べる、なんて芸当ができるはずもない私は、身を固くして下を向き、ナイフとフォークを動かします。

 教育システムに話題が移りました。隣に座るクリスティアンヌが「日本ではどう?小学校は何年間?」と、易しく、噛み砕いた内容にしてたずねてきます。

 これなら答えられそう。言葉を探し、口を開きかけたところで「アメリカと同じだよ」と、あっさりモロッコ人に片付けられてしまいました。

 話の輪からはずれたまま、時間は過ぎます。人より早く空にした皿をもてあまし、そろそろ自室にひきあげようか、と思ったところで、デザートが登場。

 赤ぶどう色の、山高帽子ほどの大きさのゼリーでした。さくらんぼ、いちご、ラズベリー、季節の果物がぎっしり詰まって、透けて見えています。

 部屋を飛び出し、カメラを三脚を抱えて戻ると、ばしゃばしゃと数枚撮影。

 おいしそう、どうやって作ったのと、クリスティアンヌへの矢継ぎ早の質問が落ちつくと、今度は、皆が私にたずねる番です。なぜ人ではなく、お菓子なんぞを写真に撮るのか、と。

 お菓子に目が無く、パリの学校で勉強したこともあり、今は家庭の料理とお菓子に興味があって、それを学ぶためにここにいるのです。自己紹介は繰り返しこなしているからお手のもの。胸を張ります。

 では、これも一緒に撮らなくちゃ、だってこの国の食のシンボルなんだからと、例のモロッコ人がワインのボトルをゼリーに近づけます。一同、好意的な笑い声をたて、話はいっとき、フランスのお菓子と各国のデザート自慢になりました。

 あれから数年。少しはましになったフランス語。それでも「難しい内容」には下を向き、食べ物が話題になると目の色を変えるところは、そのままです。

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