| オレンジ風味のサバラン |
| 材料(直径20cmのリング型1台分) |
| 薄力粉・・・・・・・・・・・・・・・50g 強力粉・・・・・・・・・・・・・・・50g ドライイースト・・小さじ2(6g) 塩・・・・・・・・・・・・・ひとつまみ グラニュー糖・・・・・・・・・60g 牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・90cc 卵(M玉)・・・・・・・・・・・・・2個 無塩バター(溶かす)・・・10g |
シロップ オレンジの絞り汁1個分(約100cc) 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100cc グラニュー糖・・・・・・・・・・・・・100g レモンのスライス・・・・・・・・・2枚 オレンジの皮のすりおろし1個分 グランマルニエ・・・・・・・・・・・・60cc オレンジ、生クリーム・・・・・・・・適量 |
| 作り方 |
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| くるみ色の床がきしきしと鳴る古いアパートに一人で暮らすマリアさんは、今年で85才になります。 「あんたが来たら、いろいろ作ろうと思ってね」 泊まりがけで遊びに行くと、待ちかねたように紙の束やらノートやらを、朝食後のテーブルに広げました。「これはTVの料理番組からメモしたマドレーヌ」「こっちは湯治で仲良くなった女性に教わったオレンジケーキ」「くるみがあるからマカロンも」 レシピを選び出し、そんなに作るのと目を丸くしている私を尻目に、マリアさんは糊のきいたエプロンの紐をきゅっと腰で縛ります。 婚約記念にご主人から贈られたという天秤量りで材料を計量。攪拌するのは「子供たちからの、70才の誕生日祝い」という、アメリカ製の卓上ミキサーです。くるみを細かくするのはスピードカッター、バターを溶かすのは電子レンジ。「台所の神器」とマリアさんの年季の入った手作業の連携で、生地は確実に仕込まれていきます。 私は洗い物などを手伝いながら、ポツポツとおしゃべり。話がなぜだかサバランにおよぶと、「簡単でおいしいレシピを知っているから作ろう」と、マリアさんはレシピの袋に手をかけます。いいです、お疲れになるでしょうからと、高齢を気遣って慌てて手をふると、三つ作るも四つも同じだよ、それに働くのは私じゃないんだからと、ミキサーをぽんぽんと叩き、歯を見せました。 13時にはすべてが焼き上がり、昼食をいただいて、私は腹ごなしの散歩へ。1時間ほどで戻ってみると、マリアさんは居間で編み物に没頭中でした。 続いてお茶の時間。マドレーヌが焼きすぎてかたくなった以外は、どれもなかなかの出来。私はオレンジの香りのサバランを二切れおかわりします。マリアさんは、オレンジケーキを咀嚼しながら神妙な顔。「改良の余地があるわね」と、レシピになにやら書き加えます。 お腹がくちると、さて、夕食までに曾孫に送るエプロンを仕上げないと、とマリアさんは今度はミシンへ向かう様子です。「毎日の生活はきちんと自分で組立てないとね。意識してメリハリをつけることが必要よ。年をとればとるほどね」 あなたは何をするの、と尋ねられ、昼寝とは答えられず、夕食に向けて胃を軽くしてきますと再びウォーキングシューズを履き、西日が差し込む玄関を出ました。 |