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オレンジ風味のサバラン

 材料(直径20cmのリング型1台分)
薄力粉・・・・・・・・・・・・・・・50g
強力粉・・・・・・・・・・・・・・・50g
ドライイースト・・小さじ2(6g)
塩・・・・・・・・・・・・・ひとつまみ
グラニュー糖・・・・・・・・・60g
牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・90cc
卵(M玉)・・・・・・・・・・・・・2個
無塩バター(溶かす)・・・10g
シロップ
     オレンジの絞り汁1個分(約100cc)
     水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100cc
     グラニュー糖・・・・・・・・・・・・・100g 
     レモンのスライス・・・・・・・・・2枚
     オレンジの皮のすりおろし1個分
     グランマルニエ・・・・・・・・・・・・60cc
オレンジ、生クリーム・・・・・・・・適量
 作り方
1.型にバター(分量外)をぬ る。薄力粉、強力粉、イースト、グラニュー糖、塩をボールに入れ、人 肌に温めた牛乳を加え、木べらでよく練る。ダマがなくなり粘りがでたら、溶きほぐした卵と溶かしバターを加える。ぐるぐると約10分、よく混ぜてなめらかな生地を作る。ラップをし、室内の暖かいところにおき30〜40分、1.5倍に膨らむまで発酵させる。

2.
軽く混ぜて余分なガスを抜く。バター(分量外)を塗った型に流し入れ、再び1.5倍の高さに膨らむまで発酵させる。

3.
180℃のオーブンで10〜15分焼く。粗熱がとれたら型から出し、ケーキクーラーの上で冷ます。

4.シロップを作る。グランマルニエ以外の材料を小鍋に入れ、火にかける。沸騰したらレモンを除いてグランマルニエを加える。

5.
ケーキクーラーの下に受け皿などを置き、シロップを温かいうちに回しかける。半日後くらいが食べ頃。切り分け、砂糖(分量外)を加えて泡立てた生クリーム、オレンジを添える。

 くるみ色の床がきしきしと鳴る古いアパートに一人で暮らすマリアさんは、今年で85才になります。
 「あんたが来たら、いろいろ作ろうと思ってね」

 泊まりがけで遊びに行くと、待ちかねたように紙の束やらノートやらを、朝食後のテーブルに広げました。「これはTVの料理番組からメモしたマドレーヌ」「こっちは湯治で仲良くなった女性に教わったオレンジケーキ」「くるみがあるからマカロンも」
 
レシピを選び出し、そんなに作るのと目を丸くしている私を尻目に、マリアさんは糊のきいたエプロンの紐をきゅっと腰で縛ります。

 婚約記念にご主人から贈られたという天秤量りで材料を計量。攪拌するのは「子供たちからの、70才の誕生日祝い」という、アメリカ製の卓上ミキサーです。くるみを細かくするのはスピードカッター、バターを溶かすのは電子レンジ。「台所の神器」とマリアさんの年季の入った手作業の連携で、生地は確実に仕込まれていきます。

 私は洗い物などを手伝いながら、ポツポツとおしゃべり。話がなぜだかサバランにおよぶと、「簡単でおいしいレシピを知っているから作ろう」と、マリアさんはレシピの袋に手をかけます。いいです、お疲れになるでしょうからと、高齢を気遣って慌てて手をふると、三つ作るも四つも同じだよ、それに働くのは私じゃないんだからと、ミキサーをぽんぽんと叩き、歯を見せました。

 13時にはすべてが焼き上がり、昼食をいただいて、私は腹ごなしの散歩へ。1時間ほどで戻ってみると、マリアさんは居間で編み物に没頭中でした。
 
 続いてお茶の時間。マドレーヌが焼きすぎてかたくなった以外は、どれもなかなかの出来。私はオレンジの香りのサバランを二切れおかわりします。マリアさんは、オレンジケーキを咀嚼しながら神妙な顔。「改良の余地があるわね」と、レシピになにやら書き加えます。
 
 お腹がくちると、さて、夕食までに曾孫に送るエプロンを仕上げないと、とマリアさんは今度はミシンへ向かう様子です。「毎日の生活はきちんと自分で組立てないとね。意識してメリハリをつけることが必要よ。年をとればとるほどね」
 
 あなたは何をするの、と尋ねられ、昼寝とは答えられず、夕食に向けて胃を軽くしてきますと再びウォーキングシューズを履き、西日が差し込む玄関を出ました。 
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