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(有)八百周商店(東京都江東区)

(有)八百周商店
■東京都江東区東陽3-20-3 10:00〜20:00 日曜定休
■1支店も含め従事者数9人(うちパート3人)。葛西市場仕入れ。

   江東区の青果店の「やさい・くだもの よろず相談所」「八百屋が教える料理教室」を始めた立役者。野本さんの活動は「野菜相談うけたまわります」((株)創森社)に詳しく紹介されていて、キュウリを通して野菜本来の価値を語っています。とにかく味にこだわります。

 野菜65%、果物35%の割合。「土地に合った適当なタネをどうやって選ぶかが農家のやるべき仕事だと思う。おいしいものを追求するならば種も常に研究してほしい」。売り上げの35%は業務用卸が占め、東京メトロ(旧・営団地下鉄)の給食は都内全域配達していましたが、交通事情のせいで今は地区を減らしました。学校給食は7校ですぐ使えるように手をかけて納めています。「それをしないと残っていけない」と、何をするにも八百屋哲学があります。

 店は交差点角にあり、学校帰りの小学生のために信号の見張り番もしています。「私のファンクラブがあって、店を手伝ってくれる子もいるんですよ。挨拶から教えるから、うちへくる子はみんないい子になる」。特技は日本の地理に詳しいこと。「トイレにも地図を持って入るもの(笑)。うちは産地表示が義務づけられる前から地名は書いていた。それが話のきっかけになるし、故郷に関する会話はお客さんも喜ぶでしょ」と、感心することばかり。

店主の野本 要二さん。野菜の味にはつねにこだわりを持っている


【キュウリ】
 キュウリは塩をふって食べると味の違いが分かる。流通が見た目のよさと日もちを優先させたためにブルームレス全盛になって、まずくなったといわれるけれど、一生懸命作っている人のキュウリにはおいしいものもありますよ。だけど、品種がいろいろ混じって出荷される共選は一番困る。夏にいいキュウリ、冬にいいキュウリ、いろいろあるはずなのに共選でまとめて年中出しちゃう。品種の差をうたうのも「売り」になると思うから、その意味でも1つの箱には同じ品種を入れてほしい。

 葛西市場には5月半ばあたりから10月ごろまで千葉産のブルームキュウリの個選物が入り、セリが行われるので、その中で気に入った生産者のものを選んでいる。ダンボール箱が乾くと、キュウリの水分を奪ってしまうので、産地に伝えて包装も工夫してもらったんだよ。

 ブルームキュウリは外皮はやわらかいのに中はパリッとして歯切れがよく、みずみずしく、香りがさわやかで、キュウリ本来の味があるものね。漬物には断然ブルームの四葉系がいい。とはいえ、ブルームレスでも味のよいのを探して売りますよ。今の若い人はサラダ一辺倒だけど、和・洋・中華なんでも使えるから工夫次第だね。

 シーズンの5月に入るとブルームを含めて4種類は常に扱います。値段が違うのをちょっと離して置くのが販売のコツかな。お客さんの心理として、自分は安い方が欲しいという人も場所が離れていると買いやすいでしょ。店売りはまっすぐのSサイズが主流で、市場の相場が高い場合だけ1種類は値段が安い曲がりキュウリを扱います。曲がっていても漬物にするなら問題ないし、サラダだとまっすぐな方が使いやすい。食べ方に応じて選べばいいんです。

いろんな品種がある中でも、一生懸命作っている人のキュウリはとてもおいしい!

 学校給食用はSとA(曲がりの程度が2cm以内)品だけ。扱いやすいものを望みますからね。栄養士さんは味や栄養価の高いものを求めますが、形がよくないと調理現場から不満が出る。この差がすごくあるから、その調整がたいへん。だから、有機栽培の野菜は形はよくなくてもOKというところしか納めません。

 味のよさで選べば、キュウリもかつての人気を復活させられると思いますね。これからのキュウリは、モロキュウリとまでいかなくても、もう少しミニ化したほうがいいかもしれないなぁ。

【エダマメ】
 エダマメの旬は6〜7月ですが、うちは飲食店のお得意さんが30店くらいあるから、3月に出始めるハウス物から扱います。飲食店は季節を先取りするでしょ。けれど旬になるとお客さんは家で食べられるから、居酒屋に行ってまでエダマメを注文しなくなっちゃう。
 
 青森県田子町では4kg入りの箱へ枝ごとカットしたものをバラで入れているけど、枝ごとゆでられるし、この方法はこれから主流になるべきだと思う。または300gぐらいで束ねるか、袋に入れて売っている。味がよい産地でもネット入りはあまり扱わないね。一言いわせてもらうと、緑色のネットに入れるとエダマメの自然の色が出なくて、みんな鮮やかな緑に見えてしまうからよくない。新潟県黒崎の茶豆や、山形県のだだちゃ豆も7月後半ぐらいから売りますよ。丹波の黒豆もたまに市場に入るから仕入れるようにしています。

 鮮やかな色に仕上げるためには、熱湯から5〜6分ゆでてねと教えています。かたさは好みですね。けれど、粗塩じゃないとうまさは出ない。飲食店の多くは両端を切ってゆでるけど、食べやすいし、塩味がよくしみるからでしょうね。これらはみんな飲み屋で覚えてくる(笑)。エダマメは週末の暑い日には、通常の倍は売れます。

 実は3粒入りが一番いい。品種がいっぱいあるから、個選だとおいしいのを選べるのに。以前は市場で下見をする時に生で一粒とって食べたものです。噛んでみて甘いものは、ゆでても甘かった。共選になったら、分からなくなりました。共選もいいことばかりとは限りません。

【小ネギ】
 小ネギはいろいろあるなぁ。万能ねぎは、ただ青さがいいというだけで、香りが薄いような気がするから、あまり好きじゃない。刻んで冷凍して薬味に使うという人もいる。青ネギは万能ねぎ以外は、安くてたたき売られているから農家には栽培をおすすめしない。アサツキも注文で扱います。一般のお客さんは高級なので買い切れない。芽ねぎもお寿司屋さんから注文がくる。業務用で注文がくるようになってから浸透するものが多いんですよ。

 食べておいしいのはわけぎ。関東系の白い部分が入るネギのほうが香りもある。わけぎは酢みそあえが最高です。私は、豆腐を365日食べるんですよ。冬は湯豆腐のまわりにネギをザクザク切って、おかかとショウガで食べます。春から秋は冷や奴。その時にネギを食べ比べるから、ネギの違いが分かる。薬味としても白ネギの方がおいしいと思いますね。

 

真ん中が野本さんの奥さん。野菜の小分けなどこまごました作業をこなす

お客さんとの触れ合いも大切にしている。小売店は一対一の対応がとても大事

 

 

取材日2004年4月15日