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せいか研修セミナー「八百屋塾」
平成13年度 第5回9月16日(日)開催


 野菜の品質は、「栄養」「美味しさ」「安全性」からなりますが、今回は「安全性」の講義でした。その後、タマネギ、カボチャ、トマト、キュウリの食べ比べをしました。

 実際には約3時間の内容なので、レポートでは大幅に短縮されています。ご自分の舌でいろいろ確かめてください。


江澤正平先生の話
 
 品質を構成する3つの要素のうち、「美味しさ(嗜好性)」「栄養」について前回まで話したので、「安全性」について説明します。

☆人間は自然界で生き抜くために、食べられるものは何でも食べてきたので雑食性です。しかし、その植物が食用に適するのか、薬草になるのか、あるいは食べると死んでしまうような毒物なのかということを長年の経験で学んできました。ワラビのアクを抜いたり、ジャガイモの芽をとったりするなど、こうして食べれば安全だという食べ方を学び、本来ならば毒性があるものまで工夫して我々の生活に入れてきました。

☆「新しい物を食べると危ない」というのは、まだ確かめられていないので注意せよということと、欲張ってはいけないという二面があるからでしょう。遺伝子組替え食品にしても問題になっているのは、人間に対して数十年後にどういう影響があるかがわかっていないし、影響がでた場合にどう対処できるかも疑問だからです。

☆日本の野菜の大部分は外国から入ってきているので、日本の風土に合っているわけではありません。日本は湿度が高いので、乾燥地帯が適地の野菜は、病虫害の被害が出やすく、栽培管理も大変です。そこで、田に糠を入れたり、虫が好む植物と好まない野菜を一緒に植えたりして、病気を防ぐように工夫してきました。

☆日本の野菜生産は一つの畑に多くの品目を作っていましたが、1960年以降日本が高度成長時代になってくると、一品目を広い面積で作るようになります。いったん病気になると畑全体に広がるようになってしまったので、これを防ぐために農薬が多用されるようになり、農薬による弊害が起こってきました。現在、農水省が農薬を、厚生労働省が残留農薬を取り締まっています。


 しかし、収穫の何日前には農薬を中止しないと残留するということは知らされているけれども、農薬をかけすぎたものを廃棄するとか、罰則規定とかはありません。

 農薬の問題よりも、環境ホルモンやダイオキシンなどのほうがよほど怖いといえます。

 農薬をかける最終期限を守っていれば、農薬を怖がることはありません。生産者は安全性を守るということも大切ですが、それだけではだめで、食べ物を作ってお金を得るのだという自覚をもつことが大切だと思います。それには味のよい野菜を生産することです。

☆とはいえ、消費者は安全性な野菜について、とても敏感になってきました。卸売市場では保健所の系統の機関があり、青果物についても農薬の検査しています。98年には75回くらい行われました。ですから、市場を通った青果物は安心だというぐらいに市場流通を信用してもらわないことには、これから先、大変だと思います。このため、農薬散布の時期や回数など、素性をはっきりさせている野菜については流通業者も応援していかなければいけないと思います。安全な野菜に対しては価格面でもきちんと対応していってあげないと、生産者も安全な野菜を作る意欲を失うし、小売店も自分たちの売るものを狭めてしまうことになります。安全は文化です。


食べ比べ 

  タマネギ 
    オホーツク(北海道・北見)堅く、辛みある
    もみじ(佐賀) 甘みが強い
    在来種(和歌山)


 タマネギには辛いのと甘いのがあり、暖かい地方は甘く、寒いほうのタマネギには辛いものが多いと考えられています。明治時代に北海道に入ったタマネギは春先に植えて秋にとるものでした。ヨーロッパからは甘いタマネギが入り、この2つの流れが一緒になっているのが現在のタマネギです。

 約20年前、タマネギは、秋に植えて5月頃から収穫したが、扁平な形が多かった。秋植えのものは水田の裏作に作られていて、稲刈り後に植えて、田植えをする前に収穫するのが一般的でした。一方で、九州や淡路島などで多く作られているのは、田んぼに植え、収穫後に乾燥させたものです。

 4〜5月に収穫するタマネギは、日持ちは悪いがやわらかくてうまい。けれども深みがないといえます。秋に収穫する北海道産タマネギは辛くて堅いけれども、長時間炒めても形が崩れないので、西洋料理に使うにはよいでしょう。オニオンスープにするには40〜50分も炒めるとタマネギのエキスが出て非常においしくなります。牛丼の吉野家では、堅く煮崩れしないタマネギを選んでいます。

 堅いタマネギ、やわらかいタマネギを料理によって使い分けるのがよいと思います。

東一・村木さんのコメント

 タマネギは煮込んでも形が残るものをほしい、などと用途別に要求されるようになった。トマト、ピーマン、カボチャも用途別に品種を選ぶことが多くなっている。こうした野菜は2〜3種類は入れてほしい。

 タマネギは刺激的な辛さがなくなってきていて、どんどん食べやすいように改善されているので、昔の味がほしい。
 カボチャ
   えびす(北海道・名寄)栗味ホクホク
   ET(福島)大玉でホクホク
   坊ちゃん(北海道・女満別)
        電子レンジで簡単調理


 東洋カボチャと西洋カボチャとの大きな違いは、でんぷんの入り方が違うことです。西洋カボチャはでんぷんの入り方が多い品種です。

 うまいカボチャを売らないとお客さんに飽きられてしまうので、ホクホクタイプかねっとりタイプか、性質をよく見て販売をしてほしい。

 同じ西洋カボチャでも肉質がやわらかく、パンプキンスープに適するものもあるし、「そうめんカボチャ」といわれているカボチャは、長岡地方では浅漬けにして食べることが多い。カボチャは食べ方別に整理をするとよい。

 年寄りはホクホクを好むし、男性はねっとりを好むという傾向があるようです。
東一・村木さんのコメント 

 東京ではカボチャは切り売りが多いため、大玉のほうが人気があり、ホクホク感がある。えびすはちょっとねっとりしている。坊ちゃんカボチャはカロチンの強い臭いが、おいしい。

  トマト
   至福(千葉・旭)堅くて棚もちよい、スライス用
   桃太郎(青森・田子)食味良好
   なつのこま(秋田) 調理用トマト

 最近加工トマトが出てきています。

 「なつのこま」は、酸味があり、ゼリーが少なく果肉が厚い。こうした加工用トマトは、イタリア料理の人気で一般家庭でも求められるようになってきました。

東一・村木さんのコメント

 味よりも堅さ、作りやすさが加工トマトの特徴になっている。トマトにはオレンジ系、ピンク系があるが、加工用トマトはオレンジ系。
 

フルーツトマトのことや熊本県で「塩トマト」と呼ばれるものなど、いくつかの話題がでました。

 トマトの保存法は?との問いに対し、江沢先生は、「日持ちするという考え方はしないほうがいい。うまいのは日持ちがしないと思って売ったほうがよい。安いからたくさん買って売ろうと思わないこと。後は知恵と経験だよ。大資本がやれないことをするのがいいんだよ」と回答。その言葉に納得した人も多かったようです。

会場の様子から

 

キュウリ
   ブルームレス(埼玉・ハウス)皮が堅く果肉やわらか
   ブルーム(福島・露地)皮がやわらかい、漬け物用
   四葉(福島)味がよい、皮が堅い、漬け物に
 
 キュウリはイボがあると細菌がつきやすいというので、イボのないキュウリが出ています。「四葉」というキュウリは静岡ではいつでも食べられるキュウリだが、漬け物にするとうまい。東京でもうまいキュウリがほしい。
東一・村木さんのコメント

 今の時代は、値段で買い求める客もいるが、やはりおいしいものが求められています。静岡にグレードの高いスーパーがあるが、キュウリは「四葉」「加賀太」など7〜10アイテム扱っている。これは用途別ということもあるが、お客の要望に合わせた販売をしているともいえる。

 「四葉」系はグロテスクな感じということで売れない時期があったが、カリカリした堅さがあるので、漬け物に根強い人気がある。

  ピーマン
   京ゆたか(岩手) 色が濃く、大型、肉厚
   みょうぎ(茨城) 肉厚
   かぐらなんばん(新潟) みそ炒めやみそ汁にあう 

 戦前のピーマンはそのままで立つぐらいだったが、戦後は座りが悪い形のピーマンになってきました。ピーマンは切ってから熱湯をかけるとしなしなになって食べやすい。

東一・村木さんのコメント

 あるスーパーで子供の嫌いな野菜を売ろうということで、ピーマンの中にウインナソーセージを入れて試食させたところ好評だった。ピーマンも売り方次第。かぐらなんばんは炒めると辛味が残り、ゆでると辛味が少なくなる。豚肉、キャベツ、モヤシ、豚肉を切ってかぐらなんばんを入れると食欲が増し野菜をたくさん食べられる。