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江澤正平先生の話 −食べるということ
◎八百屋さんは食べ物屋にならないといけない。自分で食べてみた皮膚感覚でお客にすすめる。
◎食べ物は、食べても安全かどうか、どのように食べればよいか、などがわかるまでに長い期間と経験が積み重ねられてきた。食べるということは、どういうことかをよく考えてもらいたい。
◎本来、食べるための農業であったのが、高度成長期の境に、作ることが農業の目的になってしまった。食べ物という意識が薄れてしまった。
◎体ができていない幼児期には、酸っぱいものは腐った感覚、苦いものは毒に感じられる。野菜もあくがあると、抗体ができていない子供には食べづらい。だから、ピーマン、ニンジン、セロリなど臭いがある野菜を食べられない子供に、無理やり食べさせる必要はない。大人になって抗体ができてくれば食べられるようになる。
◎おなかがすくとなんでもうまい。食べ物が少ない時代はいつもそういう状況であった。食べ物が余ってくると、健康によいということを考えるようになる。さらに食べ物を楽しむという感覚も出てくる。
ただし、あまりにも楽しむことに溺れてしまうと行き過ぎになる。霜降り牛肉は、わざわざ霜降りにしているので、健康な牛とはいえない。楽しむのはよいが、溺れるのはよくない。
◎食べ物は、目で見てうまそうだという感覚も大事である。赤や橙色がうまそうだというのは、小さいときから受け継いだ食文化が感覚的にも入ってきているから目で判断するわけである。
◎ゆっくりとよくかむことは、血の巡りがよくなるのでボケ防止にもなる。かむときに、舌でいろいろ味わうことができる。
◎野菜がうまいとかまずいとかいうのは、肉質と口の中に入っている臭い、フレーバーの要素が大きく関わる。野菜を口の中でかみ分けるには、ベロメータを鍛えることが必要で、たくさん食べていれば味のよしあしがわかる。
◎野菜の品種は、食べてどう違うのかということを自分の舌で確認してほしい。味の違いをよく考えながら食べるのが食べ物屋の務めである。
◎季節により品種の出回りも違う。出始めと最盛期とでは当然味も違う。味の違いを食べ比べて考え、自分の言葉でお客に伝えること。
◎実際食べてみてどうかということを説明するのは難しい野菜もある。だが、本当に食べてみておいしかったという感覚は、相手にも伝わる。テレビや本の知識だけでおいしいといっても、相手には伝わらない。食べて経験した人の言葉はどこか違うので、舌を鍛えることが必要になるのである。
◎食べ物は記憶されているので、味の比較ができる。桃は甘みだけではなく、かすかな渋みが感じられるようでなくてはいけない。また、アブラナ科の辛さとトウガラシの辛さは違う。
◎野菜は飽きないで食べてもらうことが大切。この点でみそ、しょうゆ、酢など、昔ながらの調味料をあわせると食べてもらえる。
品目別の話
(東京青果(株)沢田部長や江澤先生の話など)
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やわらかさを特徴にしたネギとちょっと短めのネギ、大根も品種によりサイズの長短があり、野菜も個性いろいろ。
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「味いちばん」は、カクテキにしてもおいしい。これからは品種の特徴を添えてアピールすることも必要かもしれない。
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【大根】
●大根は千葉産が「天宝」と「喜太一」の2品種。千葉県は今の時期、品種を一本に搾っていない。
食味のよいものと市場に出回っている品種とは違う。味を確認して取り扱ってほしい。市場も勉強不足であれば産地にきいて対処することも可能なので、品種についてもきいてほしい。。
●茨城県の「大師」という品種は出回りは4月で終わったけれども食味はよい。長さは短いが、密度は高いので、かたくて漬物にも向く。良い品種については、生産者が作りがいのあるようにして、生産者と流通業者とともにその品種を育てていくようにしなければいけない。卸売業者は、消費者のことを考え、生産者と小売店の中をとりもっていく役割を果たすべきである。
●ダイコンのうまさは密度がしっかりしていること。かたくても水分がしっかり入っているのでうまい。
●ダイコンを簡単に食べるのは生で、しょうゆ6:酢4につけて食べると美味。
●「味いちばん」という品種は、非常に緻密で食味も抜群。特にダイコンサラダにすると食味が生きてくる。
●ダイコンは実がしっかり締まっていて割れるぐらいのほうがかえってうまい。割れていても料理iには関係ないはずだが、割れている大根が出回らないのは、流通に原因がある。たとえ割れやすい品種であっても、販売側が自分で食べて説明して販売すれば、品種を守り育てていくこともできる。
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大根の生産者や品種の特徴、作柄、入荷時期、価格などについて説明する東京青果の沢田部長。
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【カブ】
●カブも皮がやわらかいと割れやすく、日持ちがしないのですぐ食べなければならない。だが、そうした皮のやわらかいカブのほうがうまい。
●千葉産「白鷹」は丸形で、玉そろいがよい。だが、カブは色が白く割れにくいものなど、高く売れるものを優先して選定されている。味を優先させれば、考え方も変わってくるだろう。
【白菜】
●茨城の「ユキムラ」「春笑い」は、理想系白菜なので、漬物用に適している。したがって、中身の黄色い部分を打ち出すとよい。
【白ネギ】
●埼玉産「坊主知らず」は、分けつ系のネギで、冬場に比べると短い。茨城の「軟ぱく葱」は、青森、北海道、栃木と同じような形のネギ。一皮むくと軟らかいのが特徴。
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アスパラガスはミニアスパラガス、ホワイトアスパラガス、パープルアスパラガスなどが出品された。パープルアスパラガスはゆでると緑色になるのだが、珍しいので話題づくりにはよさそう。
このほか、ハウスミカン(国内産、韓国産)も食べ比べた。
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試食をしながら、食味について議論する参加者、講師。この味だとどういう風にお客に進めるのが効果的か、どんな調理法だと店頭試食の時に野菜の風味をうまく分かってもらえるかなど、八百屋さんならではの意見が飛び交った。
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【アスパラガス】
●アメリカ・カリフォルニア産のuc157と栃木産の減農薬栽培のウエルカムを食べ比べ。
●アスパラガスは太いほうがうまいが、細いものは焼いて食べるとおいしく食べられる。
●ホワイトアスパラガスはフランスでは水に対して5%レモン汁を入れてゆでる。だが、塩ゆで、レモン汁を加えたもの、米のとぎ汁、三通りでゆでたところ、米のゆで汁でゆでたものが一番おいしかった。ダイコンも米のとぎ汁でゆでると非常にうまみが出る。(荒井先生)
感想
●うちではこういう売り方をしているというような売り方の工夫も教えてほしい。このごろは各家庭で漬物を作らなくなったからか、カブの売れ行きが落ちた。そこで、5玉をバラして売ることにし、皮をむいて塩をふり、ドレッシングをかけて試食してもらうようにしたところ、よく売れた。冬のカブは最高にうまいのに、若い人はカブを煮るという感覚がないから、教えてあげる必要がある。
●作る側からものを見るのでなく、食べる(消費者)側から見ていかないと、わからない。
●日本でも野菜、果物ともに注目が集まりつつある。ファイブ・ア・デーの運動に力を入れていきたい。
●野菜は作付面積が減っていて種苗会社も危機感をもっている。種苗会社は生産者とのつながりはあるが、流通関係とももっとつながりをもつ必要があると感じた。
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