|
学習品目:キャベツ、ニンジン、カボチャ、エダマメ、ブドウ
●江沢先生のお話「農薬の影響と栄養の問題」
・コンビニの動きが目立っている。特にローソンは、自由が丘などニューローソンの立ち上げが実験段階であり、有機栽培のものを約4割扱っている。例えば、おにぎりは玄米、有機栽培の原料を使用したジュースなどであるが、これらのものがよく売れている。コンビニエンス・ストアも高級なものと一般のものと二分化して対応するという動きが出てきている。
・中国産冷凍野菜の残留農薬が問題になっている。これは中国の農家が作ったものを中国の業者が輸出するという形よりも、日本の商社が中国に作らせていることが多いので、管理監督がよく行き届いていれば問題も起きなかった。むしろ日本国内の問題といってよい。
・最近は日本ハムの問題などもあり、食品全般について消費者の不安感は高いと思うが、客観的にみると、今までやってきたことが表面化しているわけなので、むしろよい傾向だともいえる。浄化していくのは健全な社会といえる。
・日本の医者の集まりで聞いた話だが、病気がどうなのかを見る場合、血液検査のデータだけではわからないそうだ。患者の1週間の食べ物のデータが出てこないとわからなくなっているのである。医師たちは、残留農薬や添加物、外食などについて問題意識をもち、食生活が日本人の将来の健康に大きな影響を及ぼすだろうという危機感をもっている。一般消費者はまだ関心が薄いようだが、こうした問題はこれからもっと出てくるだろう。
・食べ物の安全に絶対はない。どのような素性で作られてきたかということがわからないと安心はできない。農業協同組合(JA)の中でも、残留農薬を調べて関係者に知らせていこうという良心的なところもあるが、こうした調査は組合員全員に行うという大変手間のかかる作業であるし、取り組むには様々な課題がある。
・農薬らしきものは江戸時代の1670年頃、農地の周辺に民家が多くできてきたときに油をかけたりするという形で始まったと見られている。明治時代に入ると、輸入した農薬を使っていた。大正時代になってようやく病害虫を除去するという目的になってきた。
・1970年代に有吉佐和子氏が「複合汚染」の中で農薬を問題にしたが、日本は高湿度なので、農薬を使う率が高く、農薬自体もますます強いものになっていった。乾燥した地域では農薬をまく量が少なくてよいので、日本では反当たり、アメリカの6倍くらいの量を使用している。1960〜70年頃から、消費者も農薬について関心をもち始め、生協は安全性を重視するようになった。
・卸売市場の安全性に対する取組はどうか。農水省が農薬の検査を始めたのは1948年なので、終戦後3年後から農薬問題に取り組んでいることになる。栽培から収穫までの間に使う薬品を農薬といい、栽培が終わってからは添加物になる。
・薬というのはもともと副作用があるもので、急性のものにはきくが、慢性のものにはきかない、農薬の場合も、農水省の検査所で受け付けして調べ、残留農薬については食品衛生法で問題にし、空中散布については環境庁の管轄になっている。農業資材審議会が許可した農薬については、この病気にはどれぐらいの濃度で散布するか、収穫前のどこまでで散布は終えるといった使用方法が書かれている。現在は、県が今年の天候から見ていつ頃からどのような農薬をどのようにまいたらよいのかということをJAに指導し、それに基づき農家が散布する。ただし、使用する分量を多くしたり、残留農薬があるという場合も、罰則や罰金はない。収穫物を廃棄するということになる。
・卸売市場の中には衛生検査所があり、残留農薬や添加物について検査をしている。農薬についても検査結果を発表してもらうように市場で働きかければ、市場を流通するものについては全部ではないが、適宜検査をしているので安心ということがいえると思う。
・牛のBSE(狂牛病)以来、消費者の安全性に対する関心が高くなっている。だが、スーパーの売場にコンピュータを置いて、生産者がわかるというような取組をしていても、そんなことを検査している消費者はほとんどいない。野菜なども各JAの取組にはずいぶん違いがあるが、検査をするとなると、組合員全員が検査をしないと答えは出てこないので、なかなか難しい。だが、安全性にまじめに取り組んでいる組合などに対しては差別化してあげないと、苦労をしてもほかと同じ値段ということになると、農家もやる気が出なくなってしまう。これは小売だけの問題でなく、仲卸、卸の問題にもなるので、安全性についてどうするかということについては、流通全体の問題として考えていかなければならない。
・素性がはっきりしていると安心できる。添加物や残留農薬がどうなっているかわからないことが一番心配だが、何か問題が出ると詫び状が出てくるというのでは消費者は納得しない。これからはまじめに生産された品物を大切にしていこうという機運が生まれてくるだろう。
・根こぶ病は根が太くなって葉まで栄養がいかない病気だが、そうした各病気に対して効果の高い農薬をかけても耐性が強いものが出てきている。また、遺伝子組み換えではどんな遺伝子が入っているかわからないような遺伝子同士で、農薬をかけても死なないようなものが出てきている。すると、それらに強い農薬ができ、さらにまた耐性ができるといった具合でいたちごっこになってしまう。
・菜っぱ類は窒素をよけい入れると、硝酸体窒素というのが多くなる。これは青魚と一緒に食べると癌になりやすいので、世界的に問題になってきている。ドイツでは使用限度を2500ppmに定めているが、日本は限度を決めていない。窒素肥料は野菜が栄養生長するときに必要(生殖成長するときには要らない)で、窒素肥料を与えると成長が早まり、色が濃くなる。菜っぱ類は硝酸体窒素が多いかどうかについての問題がこれから浮上してくるだろう。
・医者も食品の安全性については健康面で関心を寄せている。アメリカでも日本でも今後食品の安全性については、様々な問題が出てくると思われる。
品目別の話
この日はキャベツ(群馬、岩手産「夏みどり」)、ニンジン(北海道産「向陽2号、青森産「千浜」)、カボチャ(神奈川「みやこ」、福島「E.T.」、エダマメ(群馬)・茶豆(埼玉)、ブドウ(巨峰)について話を聞き、試食した。
・キャベツは、生産性を求めている産地では、病気に強く反収の多いことを優先するので、味は二の次になってしまう。また、一品種に絞り込んで失敗することをおそれ、よい品種とわかっていても、それだけに取り組めないという事情がある。
|

|

|
【料理のコツ(荒井先生より)】キャベツは3分半〜4分、50ccくらいのお湯に塩少々入れて蒸しゆでにした。たっぷりの中に入れると色はきれいで熱も平均に通るが、少ない湯で蒸しゆでにしたほうが甘みが残る。ゆですぎないほうがおいしい。ゆでるときは大きいままでゆでてあとから切るとよい。
|
学習品目のサンプルを前にして、販売方法や消費者への対応方法、価格など種々な情報の交換をする参加者
|
| ・ニンジンは「向陽2号」と「千浜」。「向陽2号」は紅色が濃く見た目の発色がよい、病気に強い、生産性が高い、劣果も出にくく秀品率が高いので、産地の人気が高く流通量も多い。「千浜」は色が薄いが、やわらかくて生食やジュースに向く。ニンジン臭さが薄く、甘いニンジンということで期待されたが、作りづらく土地を選ぶという欠点がある。 |
 |
・カボチャのピークは3週間。一番果を中心に、出始めのものを選んでいくとよい。カボチャは3週間ほどでデンプンが糖質に変わるので、甘みは増すが、ホクホク感は薄れてくる。今の消費者はホクホクした粉質系のものを好む傾向があるので、「産地」と「いつから出ているか」ということを中心に選んでいけば、最後まで粉質系のものを提供できるので、3週間を頭の中に入れて仕入れるとよい。カボチャを見るときには切り口の枝の蔓のところを見てほしい。たてにしわが寄っているものはよくない。また、花落ち部分が小さくなっているものは問題ないが、雨が降るとふくらんで二重になるものもあり、これは若干品質的には劣るものが入る可能性がある。雨や低温続きで北海道や東北の作柄状況はやや遅れ気味で、尻の締まりの悪いカボチャがあるので、必ず試食して粉質であることを確認してほしい。
・茶豆は甘みの強い品種だが、ややクセのある香りがする。そのことをきちんとお客に説明してもらいたい。
・ブドウにはアメリカ系ブドウとヨーロッパ系ブドウがある。アメリカ系ブドウは脱粒が多く、皮が厚いのが特徴。ヨーロッパ系ブドウはワインなどに用いられ、皮が薄く、皮ごと食べられ、房が大きい。
日本ではアメリカ系のブドウが多く、生産量は長野県と山形県が多い。粒の大きさが均一に揃っていて、粒の間が見えないぐらいのほうがよい。アメリカ系ブドウは脱粒しやすく、日持ちはよくない。脱粒が出ないものが高品質と評価されている。
|