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平成14年度 第6回 9月15日(日)開催

学習品目:トマト、ジャガイモ、タマネギ、ナス、リンゴ

江沢先生のお話「市民商店をめざせ」

・最近(食をめぐって)いろいろな出来事があったが、今までは明るみに出ずにすませていたことも多い。日本が病んできたんだなぁという印象は受けるが、病気が明るみに出てきたと考えれば、二度とそうならないようにすればいいので、「良い兆候」と捉えている。大企業はいい加減なことをしてはならないが、小売店も同様。食品小売店の「国民の健康をつかさどる役目」は今後ますます重要なものになっていくだろう。

・今日は農薬のテーマをもっと深くお話したい。農薬使用基準等の許可は農林水産省が行い、残留農薬については厚生労働省が管轄するので不十分な問題が出てくる。
 今、無登録農薬の問題が起きているが、ある県では無登録農薬を使用した証拠を出さないからという理由で、疑わしい梨を全部処分した。農薬は虫や菌を殺すのはよいが、その後どうなのかというデータを農薬メーカーが出すべきである。
 今、ブロッコリーの病虫害には適する農薬があるが、カリフラワーにはない。そういう問題点が多々ある。花野菜のカリフラワーには農薬はかけられないことになっているが、実際には虫がつくのを防ぐ必要がある。ならば残留農薬はどうなのか。許可された農薬を使用している場合でも残留農薬の問題をはっきりさせなければいけない。

・流通全体が再生産できるような、損をしない仕組みを作っていきたい。家庭で使っている殺虫剤は農業用には使用しないから一般の薬品だが、栽培用に使う殺虫剤は農薬になる。無農薬栽培といっても種の段階から管理しないと無農薬とはいえない。

・日本のような湿気の多い気候風土だと農薬を使わずに栽培できる量はほんのわずかなので、それだけで1億2000万人の食はまかないきれない。行政も農薬についてはデータを明らかにしたうえでPRしていくべきだろう。

・よく食と農が離れているから、くっつけるべきだという動きがある。野菜は1960年以降には食と農が離れていた。なぜかといえば、作りやすい、病気に強い、見てくれがよい、揃いがよく日持ちがよい野菜が、卸売市場で高値がつくので、そうしたものを生産者は造る傾向にある。ブルームレスのキュウリを例にとっても、味は二の次で、見栄えばかりがよくなった。コマツナも、昔のおいしいコマツナは折れやすいので、軸部分を固くする栽培にしたのでまずくなった。昔はおいしかったものをまずくしているのがあることは事実である。

・食と農はなかなか結びつかないので、中間に入ってつなぐものが必要。それが流通(卸、仲卸、小売)である。生協は安全性については考えているが、栄養面やおいしさについてはあまり考えていない。そういう点では卸が青果物の安全性を考え、おいしさや栄養のあるものを生産者に少しずつでも作ってもらうような努力をしていかなければいけない。消費者は並んでいるものを選択する自由しかないのだから。

・青果物に関する商売は、もともとローリスク、ローリターンである。不況の影響は割合に少ないが、好況時でも利益はあまりあがらない。私も卸にいた当時、大きな売り買いをたくさんしたが、なかなか成功しなかった。レモンが自由化したときは600万円で買って650万円損をしている。だが、商売人は品物で損をすれば品物で取り返すのだと思い、実際に2年半ぐらいで取り返した。

・産地のインターネット直販は、流通がきちんとしてくれないから自分たちで販売しているだけ。卸売市場の姿勢がしっかりすれば、生産者も作るほうに専念するようになるだろう。仕事が大きくなればなるほど分業が成り立つはずである。卸は産地と組んでよい品物を消費地にもってきて、仲卸が卸と小売の間をうまくとりもつといった流れである。

・商売人は儲けを考える。商品にはお金の問題がついてまわるが、世の中の人に役立たなければ一銭にもならない。交換価値ばかりでなく、使用価値を考えるべきである。医者が病人に対して精神的にも肉体的にもケアする形が使用価値である。使用価値を理解してもらい、伝えることにより、誇り・喜び・やりがいも出てくる。

・「儲かる」ということの根源は、使用価値をお客にわからせていくということである。だましても長続きしない。ハイリスク、ハイリターンには、人間的な喜びはない。人間は一人では生きられず、相互に助け合って生活している。八百屋さんには、おいしくて、栄養があって、安心・安全な野菜を提供するという喜びがあり、お客とお金で結びついているわけではない。相手に喜んでもらうということで結びついている。お金は儲けるものでなく、儲かるもの。使用価値を大切にして世の中に役に立つ商店が多くなればよいと思う。

・お客をきちんと人間として扱える企業、商店のことを、市民企業、市民商店と呼んでいる。市民社会とは、お互いに認め合って責任をもちあっていく社会である。だから、消費者を人間として大切に思い、彼らに対して責任をもつような市民商店をめざしてほしい。お客に喜ばれたうえで儲けるのはみなさんの勝手なので、どんどんお客が喜ぶことを考えてほしい。また、わからないことはわからないと言い、嘘をつかないこと。根本的にどうなっているかということを常にチェックしながらやっていかないと、これからの世の中には通用していかない。


品目別の話

【トマト】 

 青森産桃太郎エイト(タキイ)、茨城産モーニング(至福)(カネコ)

 トマトは一年中あるが、夏場のトマトはもっと水分が多いほうがよい。
●沢田先生(東京青果)解説
 9月のトマトは東北産地、関東産地の切り替えになるので、少々高くとも味で追求するか、価格を追いかけるかの選択になる。東北、北海道産が悪くなると出荷量が減るので、関東産で埋めていかなければいけない。したがって、味の割りには高いという状態が続く。値段に関係なくこだわっておいしいものを扱いたいという店は、北海道、東北産のよいものを追いかけることになる。


 
 
【ジャガイモ】 

 北海道産男爵、とうや、メークイン

ジャガイモは澱粉がどれぐらい入っているかで品質が違ってくる。メークインのほうが澱粉の入りが少ないので、煮崩れをしない。ジャガイモは地下茎が大きくなるとだんだん倒れてくるのだが、北海道では肥料をたくさんやっているのでなかなか倒れない。そこで、雪が降る時期になると除草剤をまいて倒す。すると、大きな玉では中心に空洞ができることもある。

 ジャガイモは3か月以上経過すると芽が出てくる。芽には有毒のソラニンなどが含まれるのだが、ソラニンは光線に敏感なので、青く固くなってくる、風通しのよい所に置くとよい。


●沢田先生
・ジャガイモの品種は今までならば男爵、メークインぐらいしか一般消費者は知らなかったが、雑誌等でキタアカリ、マチルダ、レッドアンデスなどを知って、問い合わせをしてくる消費者が出てきているので、ある程度の知識をもっておいてほしい。

 特に、消費者はどういう食べ方をすればおいしいかと必ずきくはずである。インターネットにはジャガイモ専門サイトもあり、品種説明や料理のしかたなどがあるので参考にしていただきたい。
・ファーストフーズやフライドポテトの原材料となっているジャガイモはアメリカ産で、ジャガイモは生では輸入禁止なので冷凍などで加工されて入ってきている。

・ことし、北海道は成長期の倒伏以前に雨が多かったため、産地によっては二次成長していたり、水をかぶったりしてする。内容を確認して仕入れるようにしてほしい。

・特Mは値段も安いしオススメである。飲食店などに納めている人は、先方から2Lサイズを指定されることが多いかもしれないが、ことしの場合は小玉のほうが空洞果が少ない。


【タマネギ】 

 兵庫産北もみじ 北海道産オホーツク

 タマネギは甘いのと辛いのと分かれていたが、どんどん交雑してしまった。春に植えたものよりも秋に植えたもののほうがやわらかくていろいろな料理に向く。吉野家では牛丼に使うタマネギは煮くずれないかたいものを使っている。

●沢田先生 
・産地もややもすると均一の品種しか扱わないという傾向があるが、用途別の生産が必要であるということを啓蒙していく必要がある。

・ジャガイモやタマネギを店の隅や目立たない所に置くのはしかたがないが、料理方法や、適する用途などを伝えてほしい。消費者にとってはこういう食べ方があるのかと関心が高まる。こういう品種なんですよと、品種の説明まであればもっとよいと思う。

*ここで料理の資料の中にあった「リヨネーズ」の質問が出た。
荒井先生の説明
 リヨネーズとは、タマネギを薄切りにして狐色に炒め、揚げたりローストしたりしたジャガイモとを合わせた料理。リヨン風という意味に用いられているようだ。みじん切りにしたパセリや、よく炒めたものをビーフステーキの上にのせるのも上等である。

【ナス】

 深雪、大阪産水なす 熊本産庇護の赤なす

新潟産深雪ナスは、十全なすより形がよく、漬けナスの代表品種である。水なすは泉南地区(JA大阪泉州)の漬けナス品種、焼きなすと肥後の赤なすは焼いて食べると食味がよい。

熊本産庇護の赤なす。焼きなすにするととても美味である。


*このほか、フリルレタス(JA長野八ヶ岳川上支所)の赤系、緑系を試食した。見た目はかたそうだが、食味はどうなのかを確認しあった。


【リンゴ】

 (試食なしで説明のみ)

・長野県の試験場では今後、丸かじり用のリンゴを出すといっていた。リンゴは3日くらいでふけ始めるので、日の当たる場所には置かないでほしい。

・リンゴには早生、中生、晩生で様々な品種がある。贈答も多いため、一時大きいものを作れば高値になるというのでこぞってリンゴが大きくなり、リンゴ離れの原因にもなった。リンゴには品種に合った大きさがあり、大きいことがよいわけではない。「世界一」は収穫してから7時間で味が落ちてくるという。

・日本では多くが皮をむいて食べるが、皮ごと食べられる皮の薄いリンゴもほしい。ガラとあかねを交配した「さんさ」は、重さ250gぐらいで皮が薄いから丸ごと食べるのに向く品種だろう。酸味が多い「紅玉」「さん太郎」などは加工用に適している。

・貯蔵するのは早どりするので、6〜7月の貯蔵リンゴはふけやすい。「ふじ」は長野産ならば1月末くらいのほうがうまい。ゴールデンデリシャスと千秋を交配した「信濃ゴールド」は400gくらいあるが、おいしい。
・ただ甘いだけのリンゴを好まない人もいる。酸味のあるものと甘いもの、客に希望をきいて提供することが必要。

・蜜入りは生理障害なので、蜜の部分を食べても甘いわけではなく、うまさの象徴にはならない。ということではあるが、蜜のところを食べても甘くはない。


 本部青年会で「八百屋は健康応援団」の文字入りジャンバー(1枚2000円)を300着作りました。9月29日より淀橋市場を皮切りに各市場で市場まつりが開催されますが、都内の青果店が共通テーマで活動したほうが、よりアピールできると考え、作成したものです。

「八百屋は健康応援団」の文字入りジャンバーの前と後ろ。モデルは江澤正平先生

 市場まつりでは、「食生活に関するアンケート」に答えてもらった来場者に野菜一品、並びに健康応援団関連のチラシをさしあげるということで提案、企画しました。