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平成14年度 第7回 10月20日(日)開催

学習品目:大根、ニンジン、ネギ、食用菊、菌茸類、リンゴ、洋なし

江沢先生のお話「市民商店をめざせ」

・野菜や果物を並べておくだけならば専業店である。これからは専業店でなく、専門店になるのだということを意識してやっていく必要がある。私は(東京青果をやめた後)スーパーに6年いるなかで経営の問題にぶつかった。それは売場担当者が丼勘定であったため、儲かっても損をしても、どうしてそうなったのかがわからなかったからである。丼勘定をしていたのではいつまでたっても専門店になることはできない。専門店になるためには学ぶことが必要で、そのためにはある程度の時間がかかる。今週、今月はどのような商売をしていくかという計画をもち、状況に応じて計画を柔軟に変更可能にしていく必要がある。

 市場に行って急に安いものがあった場合にどうするか。これまで蓄積してきたデータをコンピュータで整理していかないと、頭で考えているだけではわからない。数字を基礎にしていかなければいけない。

 同じカボチャであっても、ホクホクしたカボチャ、ねっとりしたカボチャ、両方の種類を置いておく必要がある。スープを作りたいという人にはねっとりしたカボチャをすすめ、お年寄りの人が来たら、料理を聞いて料理に合うように切ってあげる。そうした品揃えやサービスをしてこそ専門店である。専門店でないと「カボチャ、安いよ」としか言えない売り方になってしまう。

 野菜料理にとって便利な調理器具をすすめたり、お客の誕生日を覚えていてちょっとした心遣いを示したり、というのが専門店であり、これらはいかに情報を得て整理し、それをどのように活用していくかということになる。

・「商品構成」「値入れ」「販売促進−目玉は何にするか、何をよけい売るか」「ロスはどうするか」「陳列はどうするか」等々、自分の仕事を整理して、項目ごとに、期間別にどのようにやっていくかを考えていかなくてはならない。

・大田区のM果物店の客単価は4000〜5000円だそうだ。この店ではグループフルーツなどを箱単位で売り、店奥の冷蔵庫で預かって必要なだけ持ち帰ってもらうというボトルキープのような方式をとっている。お客は預けている商品を取りに来てもついで買いをしてくれるので、客単価は高くなる。こういう店は専門店といえるだろう。専業店から専門店に移る場合、意識して変えていかなければいけない。

・相手をうまく使うのも商売のコツである。千葉県のある生産者は時々東京へ出て販売することがあるが、本当は販売などしたくないそうだ。本来、農家は野菜作りに専念したいのだが、自分の商品を正当に評価して大事に扱ってくれる流通業者がいないから自分で手がけざるをえないのである。農(生産者)から食(消費者)はなかなか結びつかない。これは流通が結びつけるしかないのである。

・新しいキュウリを作っても、自分が客探しをするならばその時間がよけいにかかるので生産量を小さくしてやらないとできない。だから、産直といっても長続きはしない。生産者はもともと販売は得手ではない。産直市場といっても作ったのを出すだけだから、販売面では変化がなく、しだいに魅力がなくなっていく。市場流通ならば、生産者はうまい品種を作っていけば成り立つが、販売は流通業者がやらねばいけない。

・消費者は「商品を選ぶ」だけなので、販売は消費者に満足してもらえるように取り揃えないといけない。そうした役目をするのが専門店である。そのようなきめ細かな販売はスーパーではできない。生協は安全性のことには一生懸命だが、おいしさがわからない。お客が選べるだけの商品、情報を提供するのが専門店であるが、その役割についてお客は知らない。もっと率先してお客にアピールし、知ってもらうべきである。

 売り上げが多いから満足するというのでなく、地域のお客に自分の店がどのように支持されているか、お客が必要としていることにこたえているか、を常に考えて経営することがが大切。これまでの長い習慣を変え、「専門店」として「市民商店」にならなければいけない。


◎品目別の話

●大根 北海道「役者横丁」、青森「快進2号」「涼太」

【東京青果・沢田先生】ダイコンは食味の差をはっきり知ってもらうために、本来だと関東、千葉産のダイコンを出す時期だが、台風等で圃場でもまれていて市場に入るものも良品の割合がよくない。そこで、最終の北海道と青森産をもってきた。末期近くなると横筋が入っていたり、ゴマが入っていたりする。関東産地のダイコンが10月末にならないと本格的には出回らないので、北海道、青森産はそれまでの出回りである。

【江沢先生】ダイコンには甘いものと辛いものがある。肉質は筋っぽくないものがいい。美濃早生系統が入る筋っぽいが、筋っぽさは消費者に歓迎されない。しまりがあって緻密な肉質のものがよい。そういうダイコンはおでんなどのように煮詰めていっても煮くずれしない。ダイコンは歯切れのよさと煮くずれが問題だろう。

北海道「役者横丁」

【食べ比べ】
・ダイコンの塩もみ(青森、北海道)
・ダイコンおろし(上と下)甘さと辛さを比較する
・煮もの(きめ細かいほうが味がしみこみやすい)

【感想】
・煮て食べたときは北海道はおいしかった。
・おろしや千切りは青森のほうがおいしかった。
・青森は煮崩れしないのが特徴なので、他の食材と組み合わせて調理するといい
・5ケース仕入れたうちの半分くらいはハーフカットしたものを中心に販売しているが、どちらが甘いのと聞かれる。ダイコンは辛いのがうまいと思っているから、サンマの時期になるとしっぽのほうがうまいよというが、子供のいる家庭は甘みのある上のほうがダントツに人気がある。ダイコンおろしは下のほうがピリッとしてうまい。
・上を短く、下をやや長くしているが、半分だからといって1本売りよりも割高にはしていない。あの八百屋は半分にするとぼったくると言われては困るから。

●ニンジン 青森「千浜」、北海道「向陽」「ベーター312」 

【沢田先生】千葉産のものが出てくるのが10月だが、台風等の被害でやや生育が遅れている。一部は新潟産のものもある。ことしのニンジンについては一時数量が少なくて2000円以上から3000円に近いところまで上がったが、秋までは順調な生育状況である。
 昨年も試食してもらった千浜、向陽をもってきた。向陽は作りやすい、揃いがよい、生産面もすぐれている品種である。

【江沢先生】やわらかいほうがいい。黒田五寸は割れやすい品種だが、それはうまいということにも通じる。ニンジンの香りが強い品種には好き嫌いがあるようだ。
試食のにんじんをフランス製の野菜カット器で千切りにしているところ

 

【食べ比べ】
青森(千浜)、北海道(向陽)
・千切りと煮たものを食べ比べ 
【感想】
・どちらもおいしかった。あまり差はなかった。
・前回は千浜がおいしかったが、むしろニンジンくさい味だと思った。

北海道(向陽)

●ネギ 栃木、山形「元蔵」

 東北産地と関東産地がそれぞれ同じ品種である。地域ごとであっても食味の差が出てくるので、ぜひベロ(舌)メーターで感じてほしい。

【江沢先生】ネギを生で使う場合、細いほうがいい。

【食べ比べ】
 長ネギ(栃木、岩手)
・焼く ・生 ・斜め切りにして煮る

【感想】
・差はあまり感じなかったが、山形は煮ると食べやすくおいしかった。
・どちらかというと香りが強いのは東北産だが、固い。

●食用菊 山形「もって」

 産地を代表する秋の味覚なので、店で取り扱ってほしい。もってのキクは、山形県がもってと紅もっての2種類を作っている。紅モッテのほうが少しずつ増えてきているのだが、色具合が違うということと、色と食味がアンバランスな面もあるといえる。

【感想】
・食べるのなら、「もって」のほうが上品、色合いは「紅もって」
・目と食感で楽しめる
・背青の魚と合いそう

山形「もって」

【荒井先生】
 おすしごはんや薄焼き卵の彩りに合う。
 きゅうりもみ、かまぼこ、おすしごはんに混ぜるとおいしい。酢を4%くらい入れると色がさえ、安定する。それをホウレンソウのおひたしの上にのせるとおしゃれ。むしゃむしゃいただく素材ではない。中国料理の最後にトッピングにしてもよい。
 
●菌茸類 群馬「シロマイタケ」、和歌山「アワビタケ」ほか

 参考出品はアワビタケとシロマイタケ。アワビタケはコリコリした食感が特徴で、油炒めなど中華料理によく合う。シロマイタケは見つけた人が喜ぶので舞い上がるというのでマイタケというそうである。天ぷら、和え物、炊き込みご飯などに向く。
 ヤマブシタケはテレビでも放映したのだが、がんに効果があるというので出てきた。見た目はクラゲみたいだが、コリコリししている。

 【江沢先生】茸は木を腐らせてできるのと木の根でできる茸と2通りある。日数がかかったほうがうまい。
【食べ比べ】 
・アワビタケはコリコリ感がよい。
・シロマイタケは鶏肉みたいな風味が特色。

●リンゴについて

1)リンゴは世界にどれぐらい品種があるか。
2)リンゴはなにご(何語?)か
3)私の年齢を当ててください

という楽しい話から入った。青森県弘前市のリンゴ農家に生まれ、東京青果に入社してからはリンゴ一筋ン十年とか。

1)は世界中で1万5000種類
2)食後
3)???

東一の平山先生

 日本の国で、いろいろな食べものがあるが、果汁を含めて1人当たりの果物の年間消費量は45kgである。中南米のベリーズという国250kgがトップ、イスラエル140kg、アメリカは11番目で120kg、実際問題として日本がどれくらいかというと39番目、年間50kgである。1日に直すと137gしか食べていない。北朝鮮は38番目、韓国は34番目である。日本の果物の消費量は世界に比べて少ない。先進国でありながらふがいない。

 リンゴの1人あたりの購入金額と数量は、年間1人あたり1711円、4.2kg。うちの品目の中でミカン、イチゴ、メロンに続き、やっと4番目にリンゴがくる。

 日本の試験場で登録されたリンゴの数は約2000種類だが、経済栽培されているものは30種類で、そのうち常時店で販売されるのは15種類くらいである。

【リンゴのおいしい見分け方】

●リンゴは世界中で1万5000種類くらいある。
●リンゴのおいしい見分け方
1) ツルの太いもの、弾力性のあるものは、中身が充実している。ツルの部分を少し割ってみて青いものは鮮度がよい。細いのは内容がよくない。
2) 上下のくぼみが深いほうがうまい。
3) 同じ大きさのものを両手で持ち比べた場合、どっしり重く、しっとり感のあるものがよい。
●消費者は蜜入りリンゴがおいしいと勘違いしているが、蜜の部分はソルビトールなので糖度は低い。蜜=甘いというイメージが先行している。
●皮と実の部分に栄養があるので、皮をある程度残して食べたほうがよい。