学習品目:ホウレンソウ、春菊、チンゲン菜、ターサイ、小松菜、菜葉、干し柿、グレープフルーツ
●江澤先生の講義
・これからの八百屋さんは、専業店(物品販売業)から専門店(食べ物屋)へ移らないとだめ。専門店は、どういう食べ方をするかを知っていなければならない。食べ物屋になるためには、何が足りないか。毎日自分が売っている品物は全部食べて知っておいてほしい。そうすればダイコンのうまさとは何なのだということがわかる。ダイコンひとつとっても、甘いもの、辛味の強いものがあるが、甘いものが好きな人にとってはダイコンは甘いほうがいいという。野菜と人間とが関わりあって、うまいとかまずいといった問題が出てくる。
・八百屋塾では月に1回しか勉強していないが、各人が日々勉強していかないと追いつかない。ここで学ぶことは、みなさんが学ぶための動機付け、出発点だと考えてほしい。これからはますます小売店は忙しくなる。自分が専門店になるためには時間を作り出さなければいけない。時間の投資をする必要がある。自分がしている仕事のなかで、人に任せられるものは任せて、お客さんと接する対面販売にできる限り力を注いでほしい。配達や運搬など物流関係はパートに任せたり、仕入も仲卸を利用したりしていくとよい。気のあった小売店同士がまじめ仲卸をうまく活用する形をとって合理化していってもよい。少なくても指定品目の14品目くらいは精通していく必要がある。
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品揃えについては、他市場や他産地からも仕入れることは可能だし、青年部で共同仕入をすることも考えられる。計画をたて、どうしたら自分の店は早く専門店になれるのかということを学んでほしい。
・野菜は日本原産のものは少なく、農業技術と一緒に、野菜の大部分が他国から入ってきた。特に葉物は薬草的なものが多い。果物は虫や鳥に種を運んでもらって増やそうとするので毒性はあまりないが、野菜は食べられないようにアクをもっているものも多い。だから、アクを出して食べる知恵が何万年前から生まれてきた。ワラビなどは発ガン性の最たるもので、火を使えるようになってからワラビをアク出しして食べるようになった。それでようやく人間の食料になったのである。食べ物の文化はそうやってつくられてきた。
・当初は採取して食べるだけだったが、やがて食べ物を育てれば再び食べられるということで、「育てる」という農業技術が生まれきた。食べる目的で食べ物を育ててきた農業は、次第に作るということを目的にしたので、食から離れた新しい文化ができてきた。本来は、食べるということを考えて農業の生産物を作るべきだが、大部分の人に、食べるということが欠落している。つくることと食べることが分かれているから、安全性の問題が出てきている。食べるほうと作るほうをつなぐのは流通の役目であり、生産者と消費者が相互に理解しあうための橋渡しの役目を果たしている。
・流通は文明の役割をしている。文化というのは経験的、感覚的、平和的。したがって、閉鎖的な同士はつながらず、論理的、効率的、開かれたところでないとつながらない。家庭で教わったことはみな文化であるし、言葉も文字も文化である。論理的な形でないとつながらない。そういう点で、生産者、消費者をつなぐ流通というのは、それぞれに対してきちんと説明ができなければいけない。商品説明がなければ、お客はスーパーで購入しても同じということになる。野菜を見る場合も、1)植物として、2)食べものとして、3)商品として見るという3つの視点で見ないとわからない。
・みなさんの仕事は、たとえば、ホウレンソウを食べ物として届けることにより社会とつながっている。トヨタは自動車で世の中とつながっている。みなさんの場合、野菜の使用価値でつながっているのである。つながった結果として儲かることになる。「儲かる」というのは、社会とつながって利用してもらうことにより、結果として儲かるのである。儲からなければ社会とはつながらない。お金はあくまでも自分の商売を維持し発展させるためのものである。だから、単に物を動かすだけの専業店でなく、専門店として食べ物屋になる必要があるのだ。
お客はそれほど知識がないし、POPを見て買う人は5〜10%しかいない。テレビの情報番組をみて買っても一回きりで長続きしない。お客にしても、皆さんからの情報を欲しているのである。
●引き続き江澤先生の商品解説
・葉菜類の歴史は古く、タカナ、ツケナ、レタスなど、品種が非常に多い。ツケナは最も古く、1200〜1300年前から入っていたが、江戸時代5代将軍徳川綱吉が名前をつけたそうである。幕藩体制では経済が各藩でつながっていないので、名古屋ではモチナ、新潟ではオオサキナなどとまちまちに名前がついていた。
・葉物類は栽培にかかる時間が長いほうが栄養分がある。ホウレンソウも露地栽培のもので、霜にあって土で汚れているぐらいのものがうまい。種によってはある程度までしか伸びないものもあるが、35cmくらいだとうまい。夏場のホウレンソウは十分に栄養が行き届かないのであまりうまくない。
夏は葉物がおいしい季節といわれるが、今は夏場も良い葉物がない。冬場はゆでてから食べる分ずつをラップに包んで冷凍庫に入れておけばよい。ホウレンソウも時間をかけてつくられたものは軸のところがうまい。コマツナは軸が折れやすい。ターサイは葉がうまい。アブラナ科は概して軸がうまいといえる。
澤田先生(東京青果)の野菜説明
・ホウレンソウは東洋系と西洋系がある。外見でみると、葉の切れ込みがなく、根の色が薄いのが西洋系、東洋系は葉の切れ込みがあり、根が赤い。東洋系は食味はよいが、栽培と病気に弱い。それで、種苗会社は東洋系、西洋系のよいものを使って交配をしている。今日試食してもらうのは、ほとんどが西洋系である。もうひとつは水耕栽培のサラダホウレンソウで、アクがなく、味の濃さはない。
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| 俗にいうチヂミホウレンソウは群馬産。東北の産地ではこうした形のホウレンソウが出てきている。 |

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| ・春菊は、関東関西ではそれぞれ用途が若干違う。葉に厚みがあり、ふちの切れ込みが深く、香りが強いものは関東主体。葉肉が厚くて色が薄く、柔らかく、葉のふちの切れ込みが浅いものは、関西主体に販売されている。 |

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・チンゲンサイは中国野菜で定着したものの一つ。今ではほとんど日本でつくられるようになった。ビタミンA、カルシウム、鉄分が豊富なので、女性に食べてほしい野菜である。
・ターサイは、ハウス物で栄養価が落ちないという点では今風の食材である。
・小松菜の「江戸菜」は漬け物専用品種で、長さ60cmくらいまで伸ばして使う。市場での用途としては、小松菜の代用品のようになっている。「シロ菜」はあえものに合うが、小松菜ほど癖がない味である。
小松菜の「夏楽天」と「あやか」は、経済効率を高めるために、チンゲンサイの血が入れたので、軸の割れが少ない。一般的な人はこれをコマツナだと思っている。カルシウムや鉄分が多い、冬場の代表的葉物である。
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・干し柿は「あんぽ柿」と「ころ柿」(市田柿)。ころ柿の乾燥度はあんぽ柿に比べて進んでいる。表面の白い粉は果糖なので甘い。
・グレープフルーツの血を引く柑橘として、スウィーティ(オロブロンコ)、ポメロ、それにグレープフルーツのピンク、ルビー。ピンクはリコピンを多く含み、うまい。
●この日試食した野菜と果物
1 市田柿(長野産)
2 キュウリ「フリーダム」 生
3 サラダホウレンソウ「サンマリノ」(福岡産)
4 ホウレンソウ「マホロバ」(群馬産) おひたし、しょうゆ味
5 ホウレンソウ「アトランタ」(茨城産) おひたし しょうゆ味
6 チンゲンサイ「ニーハオ」(静岡産) ゆで
7 ターサイ「緑彩2号」(茨城産) ゆで
8 春菊「大葉」(群馬産) ゆで
9 春菊(普通)「千葉産) ゆで
10 紅男爵:参考出品
11 むかご:参考出品
12 あさつき:参考出品
13 さといも:参考出品
14 菜葉「京の春」(京都産)ゆで
15 小松菜「しろ菜」(京都産)ゆで
16 小松菜「あやか」(東京産)ゆで
17 小松菜「夏楽天」(東京産)ゆで
18 小松菜「江戸菜」(東京産)ゆで
19 チヂミホウレンソウ (群馬産)
20 スィーティ
21 グレープフルーツ
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休憩時間でも、小松菜ならうちではこんな風に売るよ。とか、品種について客にはこんな風に説明して売るよなど話し合う出席者
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試食の品目を資料とともに見せる世話役、品目が多いのでなかなか大変
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特別出品のキュウリ「フリーダム」については、開発した(株)サカタのタネ、フリーダムプロジェクトチームで販売を推進している向井岳彦氏から説明があった。
フリーダムは、見た目が今までのキュウリと違う。キュウリの食味をよくして消費を伸ばしたいと考え、育成した。甘味が強く、香りがよい。長さは短めで色が濃い。現在出回っているキュウリに比べてイボがないので、気にする人がいるが、試食をしながらすすめてもらうとよいと思う。
寒い時期はハウス栽培で九州(熊本、鹿児島など)で栽培、春には埼玉、群馬、長野、岩手あたりでつくってもらっている。短めなので曲がりが少なく安定して栽培でき、うどんこ病などにも強い。だが、サイズが従来品より短く規格に入らないというので、流通段階が進んでいない。これは生食が向き、試食販売をすると好評である。漬け物ならば浅漬けが最適で、炒めてもキュウリ独特の臭みが少ないので中華料理にも向く。 |

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オータムポエムも当社の商品だが、発売は10年くらい前だが、非常に味がよい。中国野菜のコウサイタイと掛け合わせ、独特のネチョッとした感触を出している。まだまだ産地が少ないので出回りは少ないが、ゆでたり、炒めたりして、アスパラ菜と同じような使い方ができる。 |

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(株)サカタのタネ、フリーダムプロジェクトチーム向井岳彦氏
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●試食した感想
・あくが強い野菜のほうがおいしく感じられる。
・味の再確認になった。
・味見をしたのだが、全体的に味の違いがはっきりわからなかった。もっと料理法も勉強していきたい。
・いろいろ食べるのが初めてだったので貴重な体験ができた。
・ゆで方が上手だったので、おいしかった。
・立派な野菜ばかりで、生産者はあらためて大変だと思った。試食したのはどれも上手にゆでてあった。
・お客は、食べさせてみて、味がわかれば買ってくれる。お客は知らないだけ。それを知らせてあげなければスーパーが買ってしまう。
・野菜を比較して食べたが、異なった品種を食べることにより、これだけ味が違うのかとびっくりした。熊本に帰ったら比較して食べていきたい。
・野菜を同時に産地別に食べ比べるのは初体験で、最後は味がわからなくなった。千葉のシュンギクと群馬と比べた場合、あくが強いほうがおいしく感じた。味ぽんとかマヨネーズとかも置いていただきたい。
・自分で売っている野菜を食べろといわれたが、これからは食べるようにしたい。
・こういったノウハウを取り入れて乗り切っていきたい。
・売る側が味を知る必要性を感じた。
・スーパーを営んでいるが、食べ比べは初めての体験。ジャガイモとサトイモがおいしかった。葉物は甘味があるくらいで、味付け一つで変化すると思った。販売側からすると、多少甘くてもお客がきれいなほうを求めていくのが現状、そのへんを特徴を出していきたい。
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熊本県で青果商を営む人たちが見学に訪れ、熱気があふれていた。試食する品目も多く、大満足 |
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