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2003年(平成15年) 4月20日 (日) 第1回
品目:ファーストトマト、トマト、フルーツトマト、蚕豆、グリーンピース

青年会長は、江黒さんから浅賀さんにバトンタッチされました。浅賀さん、組合の 市川理事長の挨拶の後、江澤先生の講義、引き続いて勉強会品目のトマト、そらまめ、グリーンピースの食べ比べが行われました。この日は全青連や葛西市場の杉山市場長など見学客も多く盛会でした。

 江澤先生の講義
「何を学ぶのか」
・小売店がこの7〜8年でどのくらい減ったのか。5〜6年前は5万店だったのが、いまでは3万店を切っています。いままでのやり方ではいけません。老齢化や後継者がいないという問題ですが、小売店の気力と人手の問題です。

 スーパーはどうかといえば、20年位前からセルフサービスが消費者に根付き、効率性を重視してやっています。スーパーのメリットはワンストップショッピング、1ヵ所でなんでも買えるという点です。一方では、物余りの現状からも考えていかなければいけません。周囲の環境変化に対応できないのが八百屋の減少につながっていると思います。

・産地も変わってきています。産地はダイコンならダイコンを作って終わりで、効率的に品物ができればよいという考え方です。キュウリが食べ物になることまで産地は考えていません。品物が余っていたという状況がこのようなことを可能にしていました。卸はどうかといえばブルームレスのようなキュウリが出てもそのままにし、露地栽培で栄養があるホウレンソウをハウス栽培のものよりも安く売っています。よいものを安く売っているという危機感がありません。このところ野菜が高いので安堵の顔をしていますが、基本的には消費者に顔が向いていません。流通がそういう体質だから困るのです。スーパーにしても価格、鮮度中心になっています。

・それではいけないというので、スーパーの中でもライフのように相対売りをする店が出ています。消費者はもともと野菜のことをよく知りません。どこの産地のものがどううまいかということは意識していません。ですから、今消費者は野菜を食べないと健康に悪いということは知っていますが、情報はもっていない。そうすると、消費者はある中から選ぶしかありません。商品に情報を添えて、消費者の皮膚感覚に訴えた情報が必要ですが、それはどこからも入っていないのが現実です。そこをよく考えていただかないといけない。

・消費者には食べ方を知らせなければいけません。カボチャでもホクホク・ネットリ、歯切れが良い・悪い、粉質でざらざらしている・滑らかなど、肉質、臭い、味など品種によって特徴がある。そういう違いを消費者にわからせるような情報を提供しなければいけません。

・そら豆は皮をむいてゆでると思っていたら、若い八百屋さんがそら豆を皮ごとゆでるというので驚いた。新しい食べ方を教える、あるいは、漬け物など一次加工を手がけるようなことをしないと、八百屋は専門店として成り立っていきません。

・生協も伸びているところは戸配しています。これからは青果店も入りやすい店にしたり、うまいものを少量多品種扱ったり、お客に合わせたやり方をしていく必要があります。八百屋塾で学ぶといっても1年間で12回しかやれません。これをとっかかりと考えて、勉強してください。

・商いの基本はどのように考えればよいか。一番大切なものは何かを頭に入れてください。売り手、買い手ばかりでなく、相手(お客様)を裏切らない。嘘をつかない、約束を守るという信義が大切です。間違いや手違いがあったとしても、そういうことを明らかにしていくことが裏切らないことです。

・「儲け」は自分が儲かるか、儲けるかの違いです。儲かるというのは相手が主で、自分が従。お金は後からついてくるので、給料を出せるということは世の中の役に立って企業が成立するということ。野放しの競争だと強いもの勝ちになり、世の中の役に立たない。弱いものでもどうにか人間的に生きられる世の中が市民社会の問題です。強いもの勝ちでなく、自制して相手を認めながらやっていかなければいけない。

・商品である以上役に立たなければいけません。使用価値は一番大切です。みなさんの仕事の喜びは、確かにお金が儲かることが喜びだけれども、「八百屋さんありがとう。安全で、値頃のものを提供してくれてありがとう」とお客さんに満足されることがみなさんの誇り、満足、生きがいだと思います。お客さんがいることによって満足させられるわけです。

・使用価値が大切ということは、食べてもらうことが大切なのです。自分の思惑だけで儲けるという考え方では長続きしません。継続してお客さんに喜んでもらえることが喜びになるのです。私は東京青果にいた頃コールドチェーンの実験をしたが、そのおかげで夏場のブロッコリーが低温で売れるようになったというのは私の喜びです。その喜びのほうが大きいです。儲かるというのは、信用です。食べてどうなのかということを知って商品を扱えるというプロが信用されるのです。みなさんが売っている野菜を全部食べたことがありますかということがお客の立場からするといえるわけです。

・新しいことをするには時間をひねり出さなければいけません。何を食べているのかを考えなければなりません。
 食べ物を食べて人間が生きていきますが、食べ物とは何かという感覚をもっていますか。人間は生きているものを食べていますが、生きているものを作ることはできません。農業は育てることはできてもタネがないと栽培することはできない。タネは種苗会社が売っているといっても、タネを作るのは植物そのものが作る。誰が食べ物をつくっているのかといえば、植物です。
 しかし、植物も皮ごと食べると危ないとか、あくを抜いたり芽をとったりしないと危ないというものがある。長い歴史から人間はそうしたことを学んできました。失敗の歴史が進化をさせてきたわけです。

・日本にもともとあった野菜は少なく、ほとんどは諸外国から入ってきています。日本の農業が始まったのはせいぜい2000年くらい前からで、果物は明治になってから本格的に入ってきました。

・野菜はいろいろな条件で味が違ってくるから、食べ比べをして舌を鍛えなければなりません。キュウリも肥料のやり方によって違ってくるし、柿も山手が違わないわけはない。肥料のやり方によっても違う。柿でも山手の柿と平地の柿とでは違う。
 野菜をみる場合に、植物として、食べ物として、商品として、というように、3つの見方を総合していかなければいけません。

・1960年(昭和35年)以降、農業が発達したが、経済成長の年でも2割を切るような農村人口になってきました。このため、効率が重視され、農業において食べるということはあまり考えられなくなりました、露地のホウレンソウはうまくて栄養があるのに、ハウス栽培のものよりも安いというのは矛盾しています。露地のホウレンソウを誰が支えるかというと小売店が支えないといけない。卸は小売店が買ってくれない。小売屋は消費者が買ってくれないと不満を言うのでなく、消費者が買ってくれるようにしなければいけない。それは小売屋さんが一人でやるのは無理で、卸も生産者も売れるまではがまんすることも必要になります。

・カボチャは以前はなるべく端境期に出したほうがいいというので早く出すという習慣がありました。ある卸売会社が江戸崎という産地で新しいものを作ろうということで話し合ったが、なかなか話がまとまらないうちに、カボチャが育って完熟してしまった。これを食べてみたらすごくうまかった。だから、カボチャは完熟させるとうまいというのは、実際のところ、もたもたしていたから結果がよかったという話なんです。

・江戸崎の産地では、うまいから売ってみようということになり、花が咲いてから何日たてば完熟するのかを研究した。すると、55日で完熟し、さらに3〜4日おくとよくなるということがわかった。そこで、組合では花が咲いてから色のマークを付けるようにした。ふつうのカボチャが150円ならば300円くらいで売ってくれないと困ると卸にもちかけたところ、仲卸も小売もこれはうまいと言って400〜500円でも売れるようになったのです。

 おいしいものは小売店も卸も共同で、そういうものを作っていかないといけない。まず小売屋さんのほうから一つの運動にしていかないといけない。卸は1〜2回やっても売れないとだめだとなってしまうから、小売屋さんたちはいいものはいいと押し上げていかなければいけません。

・小売屋さんが、社会で胸を張って存在価値を認めてもらうためには食べ物屋にならないとだめです。食べ物として考え、店全体で食べ物屋に変わっていく必要があります。


 鈴木先生(東京青果個性園芸事業部)の商品説明


【トマト】

ファーストトマト:愛知 JA愛知みなみ「レディーファースト」「ファーストパワー」
トマト:栃木 JAうつのみや「ハウス桃太郎」、千葉 JA長生「麗容」

 フルーツトマト:茨城 協和園芸 自家採取ファーストトマトは、いまでは愛知産が中心になっています。今日もってきた「レディーファースト」(愛三種苗)、「ファーストパワー」(サカタのタネ)は、F1品種なので大玉で部屋数が多く甘みがあります。現在、丸玉、ファーストタイプと分類されますが、ファーストはこの時期でしかお目にかかれない品種になってきています。これを見ていると、甘夏が出てきて夏みかんが消えていったときのような複雑な思いがします。

 ファーストトマトにはそれなりの食味があるわけですが、我々卸は常に「商品性」ということがいわれます。どうしても棚もちのよさ、見てくれのよさが優先されます。しかし、消費者にはやはり知ってもらいたいものがあります。ファーストトマトにはファーストなりの商品特性があるので、そういう見方をしていただきたい。

 そういう意味で、まさしく今の時期はファーストが旬です。ファーストは夏場も作れないわけではないのですが、酸味が薄いためにうまさが発揮できない一面もあります。旬のうまさを2品種で味わってください。

 トマトは年間出回っていますが、今は春トマトの最盛期を迎えていて、食味のよい時期だと思います。九州物や、愛知、静岡産も入っていますが、春トマトのメインである関東物(栃木と千葉)をもってきました。
 「ハウス桃太郎」(タキイ種苗)は、現在丸トマトといわれるなかで大勢を占めていて、「桃太郎」の中でも一番作られている品種です。特性としては、小玉で大玉になりづらい傾向があるのですが、食味がよいので各産地が導入しています。

 千葉県JA長生の「麗容」(サカタのタネ)は、大玉になりやすく、硬度感が強く食味がよいという謳い文句で開発されました。今後この品種は増える傾向にあるとみられています。現在の大勢を占める「ハウス桃太郎」に対し、これから増えるであろうという「麗容」を食べ比べてください。
 フルーツトマトは小さいのが当たり前といわれる中で、茨城産の大玉のものをお披露目したくてもってきました。フルーツトマトは東京青果への入荷はLMサイズ、24玉、20玉、18玉が中心です。小玉が当たり前なトマトですが、逆にS以下がほとんど出ない品種です。

今回もってきたものは、自家採取されている品種で、市販のタネを使って4年前からテストしてきましたが、なかなかこのようにはできなかったそうです。ひとつにはストレス栽培をしているうえにいろいろな問題がおきたからです。

 水分ストレスや塩分ストレスなどトマトによい刺激を与えて糖度をあげていくという趣旨で作られるのですが、こんなに小さい品種なのにkg800〜1000円くらいと高い。収量が上がらないからそういう単価で売らないと、レギュラー並みの単価が得られないのです。ですから、うまいため高いのではなく、収量が上がらないから高いのだと考えてもらいたい。そのトマトがこれだけ大きく育つので、フルーツトマトとしてある程度こなれた値段で売れるのではないかという産地の思いがあるわけです。そんなことで事業展開を図っていこうといううので導入されました。ここ最近やっと大田市場に入るようになり、3回くらい販売しました。大田市場にもこんなにいいトマトがあることをお知らせしたくてもってきました。

佐賀の「光樹」も参考出品


【そらまめ】 

 鹿児島 JA鹿児島いずみ「陵西」
 そらまめについては、いま出盛りは九州で、これから関東物になります。今日現在、1品だけもってきました。

【グリンピース】

 鹿児島 JA鹿児島いずみ「スーパーグリーン」、鹿児島 JA鹿児島いずみ「南海みどり」、和歌山 JAみなべ「うすい」

 「スーパーグリーン」はグリーンが濃く、豆の揃いがよい品種です。今後、鹿児島では大粒で甘みが強い「南海みどり」という品種に移るので2種類もってきました。もうひとつ「うすい」という品種は見てくれも悪く、色も薄い。けれども、江澤先生推奨品種で、やわらかくて甘みが強く、おいしいのが特徴です。

江澤先生:トマトは私がよく行く上野松坂屋でも果物売場に並べられている。トマトではミニではなく、ミディが食べやすく、消費者に喜ばれると思う。

 エンドウ豆はさやを食べるのと実を食べるもの、さやと実と両方食べるスナップエンドウなど3種類ある。「うすい」という品種名は、緑色が薄いから付いたのかと思ったら、碓氷峠から来ているそうです。

 マメは関西のほうがよく食べるそうだが、「うすい」は関東でも食べてもらいたい。食べた感触と見た感触とは違う。それだけおいしい品種です。(その後の食べ比べで「うすい」はみんなからおいしいという評価を得て、江澤先生はご機嫌な様子でした。)
上の「うすい」は色が薄いが、碓氷峠から命名されたとか

 荒井先生の料理レッスン

グリーンピースはゆで方が大切です。熱湯からゆでず、80度くらいからゆで始め、沸騰したらごく弱火にします。ゆであがってすぐ水にとると豆の表面がしわしわになるので、そのまま流しにもっていって少し水をたらして徐々に冷やします。ほとんど人肌くらいにさましてから使います。そうすると皮がしぼまずにきれいに仕上がります。

 塩は0.5%くらいがよいでしょう。1〜1.5%にすると色はきれいに仕上がりますが、塩味がじゃまをします。塩分が敬遠されるご時世なので、今回もお湯の中に0.5%の塩しか入れていません。「うすい」は2分足らず、青豆は6分でした。

 グリンピースごはんは色がきれいに青くなくても味と香りがごはんについているほうがよいということでしたら、最初からお米のほうに塩とお酒を入れてふつうに炊いてください。お料理屋さんのように色をきれいにしようと思ったら、別にゆでたのを炊きあがりに入れます。新鮮なグリンピースであるときは、むいたさやをお米の上にのせて炊き、豆は別にゆでて炊きあがりに入れてもよいです。さやが香りづけになりますが、新しくないとだめです。

 和風ならば薄味で炊いてその煮汁に少しとろみをつける。西洋料理は色や歯ざわりにかまわず、くったりと煮る料理が多い。中華料理では芝えびと一緒にゆでたものが有名です。

 そらまめは網の上でさやごと焼くとおいしい。ゆでた後に時間をおくとしわが寄ってきます。料理店ではしわが寄らないように薄い二番だしに浸すようです。さえざえとした色を保つには、最初に1%の塩水に入れておくと色がきれいに仕上がります。そらまめの黒いところに包丁を入れてからゆでると色はきれいですが、食味が落ちてしまうと思います。
 
 おすすめのトマトの料理

 【生食でサラダに】

 櫛形か輪切りにして、大方はレタス、キュウリ、セロリ等と組み合わせて、酢油ソース、マヨネーズソースなどと和えていただきます。食感と冷えていることが大切です。トマトを横半分に切って切り口にアスパラガスのマヨネーズ和え等をのせるとおいしいです。

 先日、和風レストランでトマトとアボガドとわさび醤油を加えた酢油ソースで和えたサラダをいただきました。

 【加熱して】

・一番手軽なのは、大きめのプチトマトか小さめのトマトを横半分に切って切り口にバターを少し乗せ、オーブントースターやグリルで焼きます。
・洋風料理では上を少し切って(蓋にする)中をくり抜いて、いり卵、パターごはん、野菜や青豆、蚕豆のクリームソース和えを詰めてオーブンで焼いた料理がよくみられます。
・洋風ではフライパンで輪切りをさっと炒める。大体肉料理の付け合わせです。
・中華料理では櫛形切りで炒めます。いり卵や牛肉と炒めたりします。
・煮る代表はトマト煮込み料理やトマトソースです。

八百屋塾の高橋さんのお店のアイディアです

高広青果(株)では、セロリ名人といわれる生産者(伊藤さん)のセロリを4月に販売したときには、写真左のチラシを作成して効果をあげたそうです。季節のこだわり野菜などについてもPRしています。よい商品も知らせることが大切。