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2003年(平成15年) 5月18日 (日) 第2回
品目:キュウリ、アスパラガス

江澤先生の講義(エッセンスのみ紹介)
・人間は今から50万年前にやっと火を使うことができるようになりました。それからは食べ物を焼いたり、水を湯にしてゆでたり、そういうことが50万年前から続いてきました。現在の生活に近づくにつれて、いろいろな食べ方ができるようになりました。地域によって手に入るものは違うので、食べ方が違うのは当たり前です。現実には、いろいろなものが混合して庶民らしい料理が作られてきました。

・口に食べ物が入るときには、口に入る前に品物の臭いをかいでいます。口のなかに入れると唾液が出てきますが、唾液には消化、殺菌能力があります。よく30回噛みなさいといわれるが、よく噛んで食べるということが健康の元です。噛むことにより血液が脳を循環するので、よく噛んで食べるとりこうになります。唾液は消化能力も殺菌能力もあるので、噛み砕いたものは胃にいきます。口と胃で吸収し、腸で栄養分を吸収するのです。

・口の中をきれいにしておかないと肺炎になりやすいといわれます。ですから、歯を大事にしてよく磨き、よくうがいをし、手洗いをすることが大切です。

・食べ物は見る(感覚でうまいかどうかを感じ取る)、手にもって臭いをかぐ、そして口の中に入れる。すると、噛んで食物の細胞が壊れて臭いが出てきます。慣れていない臭いだと好き嫌いが当然出てきます。毎回野菜の食べ比べでは、肉質、臭い、味という3項目で各人に総合点を出してもらうようにしましたが、野菜の場合は肉質が大切です。味には甘味、辛味、酸味、渋味、旨味があり、旨味とは魚の独特な味や昆布の味などを総合した味といえます。口に入ったとき自分の感覚で感じたものを瞬時に分析する癖をつけるべきです。

・みなさんは味の伝道者、伝達人、情報の発信者です。ですから、味を感じ取る「ベロメーター」を磨く、味に対して細かく自分で感じられるような訓練を毎日していかなければなりません。毎日おなかいっぱいに食べたということでなく、ゆっくり味わって食べる習慣をつける必要があります。そうでないと、相手に自分の味の感覚をわからせることはできません。ただ「うまいよ」というのでなく、どういうふうにうまいのかと説明ができないといけません。各品物については特徴があります。キュウリのおしんこを食事の後に食べるのは、さっぱりしているから、後味がよいのです。刺身のツマを見れば、その店が食べ物に気を使っているかどうかはわかります。

・子供は体ができていないので、甘味しかわかりません。自己防御するうえで神経質になっているのは、子供本来の感覚です。大人になってくると、えぐいサトイモでもおいしいという人もいるが、子供に苦味は毒だし、酸味も苦手です。だから、子供に野菜を食べろと強制してはいけません。少しでも食べられればほめてあげることが必要です。昔のニンジンは強烈な臭いがしましたが、今ハウスのものは臭いが薄くなりました。

・歯切れという点で、特にキュウリのブルームレスは歯切れがわるく、皮と果肉のバランスが合っていません。今は日持ちがするということがどうしても重点になってきました。割れやすい、折れやすいのはうまいものに多いのですが、敬遠されます。以前、コマツナは折れやすいから注意して作らなければならなかった。作りやすいというのはある程度手荒にしても折れないということです。それで、チンゲンサイなどの血を入れて作りやすくしています。ニンジンでもダイコンでもうまいのは割れやすい。ニンジンの「黒田五寸」は割れやすいから生産者もだんだん作らなくなってきました。むしろそういうものを大事にしてあげなければいけないと考えます。
 カブも皮でだいぶ違います。昔のものは皮がとてもやわらかかったから、畑で割れてしまうカブが多かった。うまいカブはそれだけ早く食べないといけないものなんです。今、市場に出てくるのは割れたものよりも、割れないカブのほうが多くなっています。

・野菜は品種によって違います。品質、作型、自然条件、土地の特徴などがあります。土壌はどうなっているか、太陽の光はどのぐらい当たるか、温度はどうか、雨はどうか、というような自然的な条件が必要です。もうひとつはどのような栽培方法をするのか、ハウスであるのか、溶液栽培なのか、露地栽培にするのか、いつごろとったら一番うまいのか、早どりしたほうがよいのか、などの問題があります。たくさんとれるからといって必ずしもよいとは限りません。

・野菜は十分に生育したほうが栄養分は入ります。早生よりは晩生のほうがよいのです。収穫してから栄養分を放置したままで呼吸は続いているのでどんどんやせてきます。このため、品音を低めにして呼吸を抑えるのです。葉物は産地で予冷し、品温を下げてもってきます。市場、小売市場の冷蔵ケースで販売するという形で、温度管理が生産地から消費者までつながっていくような形になればうまいものはつながっていきます。
 

鈴木先生(東京青果個性園芸事業部)の商品説明
 キュウリ
加温キュウリ 埼玉 JA深谷大寄「ハイグリーン」 
無加温キュウリ 埼玉 JA深谷大寄「ハイグリーン」
プリティ 山形 JA山形中央「プリティ」
ブルームキュウリ 埼玉 昔がえりの会「ハイグリーン」 
四川胡瓜  群馬 JA群馬みどり 四葉胡瓜とトキワ系交配

 加温型といっても、加温し今現在では無加温で出ている、出荷時期が早いキュウリのことを加温キュウリと呼んでいます。品種は「ハイグリーン」で、ブルームレス台木を使っています。無加温キュウリも同じ産地、JA深谷大寄の完全無加温です。これは作型的には一番新しいもので、今後は無加温型になります。同じく品種は「ハイグリーン」です。特色は色が濃く、食味がよいこと。ブルームレスキュウリは皮がかためで食味が悪いという評価がありましたが、この「ハイグリーン」は、ブルームレスなのに食味がよいということで、各産地が導入してきています。

 「プリティ」はサラダ用キュウリで、糖度が高く食味がよいのが特色です。(以前に試食した)「フリーダム」もサラダ用ということで同じタイプです。

 ブルームキュウリは埼玉の昔がえりの会から出荷されているもので、加温されていません。見比べてもらうと鮮やかさが違うと思います。これは台木が違いますが、品種は「ハイグリーン」です。今日はあえて「ハイグリーン」にこだわってみました。「ハイグリーン」はブルームレスキュウリだけでなく、台木によってはブルームキュウリにも仕立てられるということを理解してください。

 「四川胡瓜」は、「四葉胡瓜」の親とトキワ系の交配によるものです。中国系胡瓜特有のイボがあり、漬物、煮物、炒め物など幅広い用途に適する、食感のよいキュウリです。

四川(左)とプリティ。長さがずいぶん違う

昔がえりの会のキュウリの袋は生産者の写真入り

 5月17日の卸値で「プリティ」2kg詰め1000円、無加温1600円、加温1300〜1400円、四川で1500円でした。

江澤先生の説明

 5月はじめは作型がかわってくるので、無加温のキュウリのほうがおいしいといえる。キュウリの生命は歯切れのよさ。水気があって甘味があって、ウリのフレーバーがするのが持ち味だが、ブルームレスはどういう品種を使っても歯切れが悪い。これは台木にカボチャを使っているからで、こうすると収量を多くできるから生産者はブルームレスを選んでしまう。自根のキュウリのほうがうまいが、作りにくい。「四葉胡瓜」は漬物にはとてもよい品種だが、日持ちしないし、作りにくいので、あまり作らなくなった。しかし、漬物屋さんはこのキュウリがよいので、中国で作らせている。漬けるときにブルームレスのキュウリでは皮がかたくて塩がなかなか入らない。だから、おいしく漬からない。まずいキュウリを作ったから消費者も食べなくなって、売上が減ってしまった。トマトはうまいトマトがつくられるようになったから消費も売上も伸びた。

 そこで、今度はブルームのキュウリを作ろうという動きが出てきた。まずくなれば売上が減るのだから、うまいものを大切にしなければいけない。

MOA自然農法のキュウリ

 また、この日は「MOA自然農法」で栽培されているキュウリが出品され、MOA側から説明を受けました。

 品種は「シャープ301」。栃木県の都賀というところで年2作栽培されています。農薬7割減、無化学肥料という栽培で、農薬も有機リン酸系と環境ホルモン系のものを省いて仕上げており、10年連作しても連作障害がない。味も非常に好評だそうです。

 
 アスパラガス

長野 JA南信州伊賀良 「グリーンタワー」
栃木 JAなすの湯津上 「ウェルカム」

 アスパラガスは鮮度が命ですが、太さによる味の違いも勉強してください。値段は長野、栃木産ともに2L130円、M90円、いまの時期が一番安いときです。

 JAなすの湯津上に行きましたが、なすのには牛がたくさんいて牛糞堆肥を100%使っていました。アスパラはハウスですけど土壌はふわふわで、よい土壌だと思いました。

 このアスパラは、沸騰した湯に根元から縦に入れて1分、横に寝かして1分で食べられるという紹介をしています。


サラダで食べられるコマツナ登場!!

 八百屋塾という勉強会なので話の種にしてほしいとの思いでコマツナをもってきました。元来、コマツナを生で食べるという消費者はまずいないでしょう。それをあえて生で食べてもらうということです。葉物は硝酸体窒素を多く含みます。うまさ、甘みがあるというのは硝酸体窒素が少ないということ、だから、どう作るかが問題になります。100%有機を入れたからといって、硝酸体窒素が減るわけではありません。

 野菜は本来あくをもっています。硝酸体は発ガン性の問題があり、国によっては制限されています。しかし、あくの多いものはゆでるとあくは抜けます。消費者にとって不都合なコマツナ、葉物は一切ありませんから、誤解のないようにしてください。

 本来、あくのあるコマツナが多いのに生で食べられる。

 何が決定的に違うかというと、一般的な栽培は元肥を入れて30日間で育てるのですが、元肥を入れたあとでコマツナをまき、元肥を15日くらいで消化しきってしまうのです。

 こちらは追肥を中心にしています。元肥はなく、時期に応じて追肥で育て上げる違いだと思ってください。ほどよく肥料を補って育て上げた野菜は硝酸体の所有量が少なくなります。心地よい場所で心地よく育てれば長生きできる。野菜もそうした生き物だということを理解してください。いま、いろいろな農法があり、何が決定的によいのかということはわかりませんが、最後は人が食べるものだからうまさで決められるだろうといえます。

 生のコマツナをビニール袋に入れ、市販されているキムチの素をこの中に入れます。あとは適当にもむ。できれば4時間くらい置いてシナシナになった状態で、細く切ったスルメを一緒に入れるとおいしくなってオススメです。

 このコマツナはサラダ用というわけではなく、一般のコマツナと値段も違いません。作り方によっては、本来の野菜のうまさを出したものが出てきたということをご紹介したいと思ってもってきました。
 もうひとつ、アクの少ないミズナも生で食べてみてください。ミズナはごまだれが最高に合います。


料理講義

 キュウリに包丁を入れたときにぺタッとした感じとカリッとした感じのキュウリがありました。どちらがよいかというのでなく、ペタッとしたほうは塩をあげると非常にしなやか、パリッとしたほうは浸透がちょっとよくなかったです。

 アスパラガスは太さによらず、ゆでるのに時間はかかりませんでした。焼くときは焼き網がいいかもしれません。ホワイトアスパラを1)塩を全く入れないでゆでる、2)塩0.5%入れてゆでる、3)米のとぎ汁でゆでる、の3通りで食べ比べたときがあります。このときに10人が10人、お米のとぎ汁でゆでたほうがおいしいと答えました。あくも抜けて、甘みが加わるのかもしれません。ホワイトアスパラガスが手に入ったら米のとぎ汁でゆでてみてください。

 コマツナやチンゲンサイはあくが少ないので、白湯でゆでたほうがよいと思います。青菜は塩を入れなくてよいのですが、ホウレンソウはあくが強いので、塩を入れないとあくの味がします。

浅賀さんよりお仲間へのアドバイス

 いま、ワラビがとても美味しい。灰を切り口のところにつけて灰汁につけて一晩おくとよい。あくの抜き方を知らせてあげると販売もブレークします。

 たけのこの季節にもあく抜き用に、米ぬかを小袋に入れ、米ぬかだけならば20円、たけのこを買ってくれたら無料で差し上げています。そこまで面倒みてあげるのが大切。商品ひとつ売るのにも付加価値をつけて売るとよいと思います。


会場からの様々な質問・意見

嶋田さん:キュウリの有機肥料を使ったものとそうでないものとの違いをどう説明したらよいか。

野本さん:日本の野菜は氏素性はわかっているが、価格が高い。輸入物は氏素性がわからないが、安いので増えている。日本産と輸入物をどうとらえるか。価格もそのあたりを含めて考えるべきではないのか。

宍戸さん:市場に入るのは安全だ、と流通の組織を確立する必要がある。

江澤先生:以前から市場に入荷し、衛研が調べたものについては公表すべきだということを言っているが、市場全体で言わないから衛研が動いていない。1998年くらいのデータだと市場で79ぐらいの残留農薬を調べているはず。安全か、そうでないかの基準には、まず残留農薬の問題がある。農薬は今まではよけいにかけたりして問題があったときには取り捨てをするということで農家には責任がなかった。

 食べる前の農薬は何日前まではいいということが決まっている。それを農家が守っていればいちおう安全である。だが、農家は自分たちがどれぐらいの農薬の量をまいたか、どのくらい残留農薬があるかということをわかっていない。農薬を使わなくなったのは、農家が食べ物として考えたからではなく、農薬をまくと自分の体にとって一番悪いからということからだった。食べ物として考えないといけない。


 「八百屋は健康応援団」のジャンパーは各地の組合からひきあいがきています。
 材質がナイロンでやや通気性が悪いため、今後は着やすい材質にすることも考慮されています。1着2000円。イベントなどに最適です。

前回に引き続き、高広青果さんが時点のチラシを紹介。業務筋が多いそうですが、このように情報提供してくれると店への信頼もグーンとアップします。カラー刷りできれいです。