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2003年(平成15年) 10月19日 (日) 第7回
品目:ゴボウ、ブロッコリー、生シイタケ、その他菌茸類

講師:芦澤正和先生

ゴボウ

ゴボウを食べているのは日本だけ

 ゴボウは大変不思議な作物でして、日本には野生のものはありませんし、その元になったものもありません。昔々、おそらく奈良時代から平安時代のときに、薬として日本にかなり入ってきました。その種を元にして現在ゴボウができあがったわけですが、野生のものもない、ゴボウを食べ物として食べている国も日本のほかにはどこにもない、大変不思議な作物です。

 ゴボウに関しては有名な話ですが、戦争中に捕虜収容所でゴボウを捕虜に食べさせた。そうしたら、それが捕虜虐待の罪に問われ、得体の知れない木の根っこを食わせたのは残虐行為であるというので引っかかった人がいます。戦争中の食糧難のときにゴボウが食べられるなんてことはめったなことではない、結構なことだと思うのですが、現実にゴボウを食べさせてつかまった人は長野県の人で戦後かなり有名になりました。ですから、外国では全く食べませんし、得体の知れない木の根っこと言われればなるほどと思うようなものです。

 日本だけしか食べないと言いましたけれども、韓国や台湾はかつて植民地であった影響で、韓国の人たち、台湾の人たちも食べるようになりました。フィリピンで比較的多く栽培していますが、在留邦人が食べたがるので、山の上で供給しているのです。

 ゴボウというのは、そういう意味で大変不思議な作物です。植物の分類をするときに、科、属、種と分けていますが、ゴボウはキク科です。あれを見るとキクとどういう関係があるんだろうなと思いますけれども、花を見るとゴボウの花はかわいい。中には白花もありますが、ふつうは赤い色のきれいな花でアザミによく似ています。日本には野生のものがありませんが、ユーラシア大陸のアジア、ヨーロッパにかけての北側にかけて野生をしています。

 ロシアでもモスクワ市内や、北方のコーカサス地方に生えています。もちろん地元の人たちは食べませんが、モスクワではゴボウを見つけた日本人が一生懸命掘っているのを見て、ロシアの人たちはあんなに汚いものをどうやって食べるのか不思議がったそうです。記載によると、ゴボウは、人の手の入った、居住地に近い周辺の所に一番よくできるそうです。

薬用から12〜13世紀に薬用へ

 日本には薬用として登場したのですが、食用として食べられるようになったのは12〜13世紀になってからで、江戸時代には本格的に品種改良、選抜が行われ、現在の品種の基礎になるものがあちこちで生まれました。現在、日本で栽培されているのは「滝野川」グループの品種だけで、その品種から各地に適応した品種が土着しています。ですから、現在つくられているものはほとんど大部分「滝野川」とみて間違いありません。

スに詰め物をして食べるゴボウ

 「堀川ゴボウ」は「滝野川」ですが、栽培のしかたが非常に特殊で、つくったものが「堀川ゴボウ」という名前で京都特産になっています。ふつうのゴボウはスが入ると売りものになりませんが、これは1回大きくしたものを植え直してゴボウにスを入れ、スの部分に肉詰めをして食べるというものです。堀川聚楽第の堀を埋め立てて栽培されたというので、現在も京都の特産ですし、京料理の一つの名物になっています。ただこの品種は「滝野川」です。

 「大浦ゴボウ」は成田山新勝寺の名物になっていて、これは非常に特殊な栽培をします。これもわざわざスを入れるのと、特殊な技術で楕円形につくりあげたスのなかに詰め物をして食べるということで、成田山の名物になっています。正月過ぎにお詣りに来た人に振る舞うそうです。

葉ゴボウ

 それから、大変変わったものとして葉ゴボウがあります。一番有名なのは福井県のゴボウで、これには「越前白花白茎」という品種が使われています。ゴボウは大体赤い色がついていますが、これは緑色のゴボウです。葉ゴボウというように、小さなゴボウと葉柄の部分を佃煮のようにして食べます。これはどちらかというと関西で有名な品種です。

 最近は、あまり見かけなくなりましたが、山口県にも白花白茎の品種がありました。白花白茎で葉ゴボウとして有名なのは「越前白花白茎」という品種が特殊なものとして使われています。「50年前」「30年前」「現在」のゴボウの産地を見ると、50年前というと関東で東京都と埼玉県が圧倒的に多く、千葉県が少しありました。「滝野川」という名前がついているように、「滝野川」辺りでよい品種がとれて栽培されていましたが、大都会になるとともに東京が脱落し、周辺へ産地が広がっていきました。さらに、その周辺も都市化するにつれてさらに広がっていったという形になっています。

中国からの輸入が増えている

 中国からの輸入もだいぶ増えてきています。中国ではゴボウを食べる習慣がないので、日本の商社が中国でつくらせ、日本に輸入しています。中国のゴボウも日本の状態によっては増えてくる可能性があります。滝野川系の品種を現地にもって行き、日本の技術で指導しているわけです。

 ゴボウは長い根がちゃんとうまく育つようにならなければいけないので、かなり土地に対する選り好みが大きい作物です。つくられる地帯が限られてきます。あまり火山灰土が強いところでもだめ、河川沿岸の湿地のようなところでもだめ、ちょうどその境界に当たるようなところで栽培され、よいものがとれるということになります。

ゴボウの消費は年間約2kg

 ゴボウは一時期大変ださい野菜ということで消費が減りましたが、食物繊維を含む健康食品として宣伝されたのとサラダなど新しい食べ方が開発されて、いまのところ消費の減少には歯止めがかかっています。それにしても漸減気味で、一番多いときには1人当たり年間3kg食べていましたが、現在の消費量は約2kgということになっています。

 先ほど産地が埼玉、千葉、東京と言いましたが、これは東京市場へ入ってくるものの話で、そのほかに大きな産地としては、鹿児島、宮崎、北のほうでは青森、北海道でかなりつくっています。どちらかというと東京の周辺が減り気味で、周辺の地域で増えてきているとみればよいと思います。
 

ブロッコリー、カリフラワー

キャベツの仲間あれこれ

 カリフラワー、ブロッコリーは野菜としてはアブラナ科アブラナ属で、種としてはキャベツと全く同じものです。ですから、花を咲かして置いておきますと適当に交雑していろいろな雑種ができます。現在のいろいろなキャベツの仲間は、昔適当に交雑した中から、人がこれはいいと思うようなものを見つけてつくり出してきたわけで、キャベツは非常に大家族です。

 ふつう我々がキャベツと言っているのはホワイトキャベツで、赤いものはレッドキャベツと言われています。ホワイトキャベツが大部分で一部赤キャベツが使われています。ちりめんキャベツはサボイキャベツという名前で売られています。これはキャベツの表面にシワシワがあるもので、日本ではちりめんキャベツと呼んでいました。これはキャベツの中側まで黄色い色を帯びています。昔、キャベツは中が真っ白でしたが、最近は薄い緑色がついたもののほうがよいということで、品種改良のときに、これを親の一つに使うということが行われています。

 葉キャベツはキャベツの元になったもので、野生のキャベツから葉キャベツができてきて、その中から球になるものを紀元の頃にイタリア辺りで見つけて現在のキャベツができたということになります。

 コールラビというのは、茎の根元が株のように太くなります。株キャベツといい、株と同じような部分を食べるわけですが、これは日本ではあまり栽培されていません。

 葉キャベツの中で葉にちりめんができる「ちりめんキャベツ」というのがありますが、「カールドケール」といって健康食品の一つになっている青汁は「カードケール」の葉を搾ったものです。何もちりめんキャベツでなくてもいいと思うのですが、現在はちりめんキャベツで青汁をつくっています。

 それから、芽キャベツは茎が伸びて茎の横に小さな球がつき、その球を食用にするものです。最近芽キャベツの中で、脇が球にならずに、葉キャベツのように小さな葉がいっぱいつくものがプチヴェールの名前で売り出されています。プチヴェールは芽キャベツと同じように使うとともに、青汁の元にもなっていて、これを元にした商品も売り出されています。

 キャベツはヨーロッパ原産ですが、カイランだけは昔々、アジアの南部、特に中国南部から東南アジアにかけて入りましてそこで作られました。カイランは若い葉を食料にする部分と、トウが立ったトウを食料にします。最近カイランとブロッコリーをかけて、茎が伸びて横にブロッコリーのような小さな蕾がつくのが「スティックセニョール」という名前で売り出されていますが、これはカイランとブロッコリーをかけて新しく作り出した品種です。

 このほかにキャベツの仲間として、正月の花に使う葉ボタンは葉キャベツから改良したものです。キャベツが本格的に日本に入ってきたのは、幕末から明治の初めにかけてですが、その前にもたくさん入ってきたという記録があります。日本ではそれをキャベツとして食べないで、どうしたわけか現在の葉ぼたんを作り出しました。ですから、葉ぼたんは日本で改良されたキャベツの仲間です。

 キャベツはじょうぶな作物で、放っておくとすぐ芽吹いて花が咲きます。私は品種改良をしているときに、葉ボタンを正月に使って用が済むとゴミ捨て場に捨てていました。すると、じょうぶなのでトウが立ちます。その近くで品種改良をしていると、葉ボタンの花粉がふつうのキャベツにかかって、チリチリで赤いキャベツができたというような騒ぎがよく起こります。もうそんなことはなくなりましたが、一時期キャベツを作ると、キャベツの中にとんでもない大きなキャベツができ、これはなんだと種屋さんから怒鳴り込まれたことがあります。大半は葉ボタンがかかったものです。これは一代雑種を使いますが、そうしないと勢力が強いものができて隣近所にあるキャベツに対してそこのけそこのけとなってしまうからです。近頃は種屋さんも非常に気を付けていますので、そういうものは出てこなくなりましたが、昔はそれが出てだいぶ困ったことがあります。

ブロッコリーのほうが歴史が古い

 ブロッコリーとカリフラワーは近縁ですが、もともとはブロッコリーのほうが歴史が古く、ヨーロッパの人たちがトウがたって蕾がついているものを食べていた中から選抜されて現在のブロッコリーができたということになります。ブロッコリーができていく過程のところで、突然変異が起こって今のような真っ白いカリフラワーが見つけ出されてカリフラワーとして別途の発達をしました。ただブロッコリーのほうが歴史は古いのですが、発達が遅れたために、カリフラワーのほうが手を入れられ、いろいろな品種ができたわけです。カリフラワーはある時期インドでもたくさんつくられ、インドでよい品種ができました。インドのような気候でもカリフラワーがつくれるということで、日本でカリフラワーの品種改良が始まったときに、インドの品種も入れて研究され、周年栽培ができるようになりました。ところが、ブロッコリーは周年栽培という意味での品種改良は進んでいないので、日本の気候条件下でつくると真夏はブロッコリーが収穫できません。このため、夏はアメリカから輸入しているといった状況です。

アメリカ産ブロッコリーの大半は日本の品種

 ブロッコリーはかなり後になってヨーロッパで改良され、さらにそれがアメリカに伝わってアメリカでいろいろな品種が生まれました。それを日本にもってきて現在の日本の品種ができたということになります。真夏はつくりにくいのでアメリカからの輸入が非常に多い。しかし、品種は全部日本の品種です。日本で品種改良したものをアメリカで種をとってアメリカで栽培され、つくられたものが日本に輸入されてきています。アメリカ産ブロッコリーの品種で大きなウエートを占めているのは、サカタのタネが育成した品種が多い。アメリカで日本製自動車のシェアが高いと大変問題になりますけれども、ブロッコリーの品種が日本に侵略されたという騒ぎにはなっていません。しかし、品種はほとんど日本のものと考えてよいぐらいです。

カリフラワーは白、ブロッコリーは緑色だけがよしとされている

 カリフラワーとブロッコリーという名前は、日本もアメリカもそうですが、白いのがカリフラワー、トウが立って上に蕾が固まっているのがブロッコリーとなっています。ただし、茎が立ってその上にできるのがブロッコリー、低いほうにできるのがカリフラワーという国もあります。カリフラワーの早生のものは低いところにできますが、晩生のものは高いところにできます。私が50年も前に習ったときには、カリフラワーは花野菜で、木立ち花野菜のことをブロッコリーと言っていました。日本に入ってきたときにはどういう言葉を使うべきかという言葉はありましたが、なんとなく消費者というか市場が緑色のものをブロッコリー、白くて小さな粒粒を食べるのはカリフラワーということになって定着したので、そういう使い分けになっています。ヨーロッパ北方では、秋穫れるるものと冬春穫れるものがあって、真ん中が抜けてしまっています。真ん中が抜けて、春穫れるようになるのが木立ちの形になるものですから、分けて考えます。

 日本ではブロッコリーもカリフラワーも秋から冬春に連続して穫れるので、そういう意味の区別はありません。日本ではカリフラワーはもともと真っ白いのが最初に出てきたので、それに少しでも色がつくと加工品扱い、あるいは扱ってもらえないということになるわけですが、もともとカリフラワーの真っ白いものは一番最後にできたもので、その前に薄い緑色、薄い黄色のものがありました。最近はオレンジ色のものや紫色のものも出ていますが、紫色のカリフラワーは生だと紫色をしているが、火を通すと緑色に変わります。
 ブロッコリーも日本では緑色のものだけで、色がつくものを非常に嫌いますが、紫色を帯びたものもありますし、少し黄色味を帯びたものもあります。

 日本ではカリフラワーは真っ白、ブロッコリーはきれいな緑色以外の色がついてはだめとされています。

生産用の頂花蕾型と家庭菜園用の脇花蕾型

 ブロッコリーは現在は茎の上に大きな花蕾ができて、それを収穫して終わりというのが主体ですが、実際には上だけとる頂花蕾型と脇からほどほどの大きさのものをとる側花蕾型というものとがあります。アメリカでは機械で収穫します。日本でブロッコリーを盛んにつくるようになったときに、各地で品種試験をすると収量の差がすごくありました。もう一点、収穫期がある時期に固まっているものと2か月にもわかるものがある。後で調べてみると、頂花蕾型は収量が少ないけれども収穫期が集中し、側花蕾型は次から次へと脇芽を出すのでとれる期間が長いということがわかりました。側花蕾型の収量を全部合わせると頂花蕾型のものに比べて多いということになり、そのうち日本の品種は全部頂花蕾型に変わってしまって、そのような騒ぎは起こらなくなりました。

 家庭菜園では、頂花蕾型よりもほどほどのものが長期にわたってできたほうがいいので、種屋さんでは生産者向けには頂花蕾型を出していますが、家庭菜園向けには側花蕾型を出しています。

 それから、一般的にブロッコリーは茎を切って上だけ食べる人が多いのですが、本当はブロッコリーは茎の部分が大変おいしい。最近育成されている品種の中には、茎がおいしいというものも生まれてきていますので、いずれブロッコリーは花蕾と茎の部分を食べるということになると思います。ただ茎が立派に発達して茎がおいしいものということになると、早生のものではなかなかつくれず、晩生のものになります。

 「スティックセニョール」は上のほうの蕾もあまり大きくないが、その代わりに脇にいっぱい出るというもので、茎の部分も食べられます。

ブロッコリーの消費がカリフラワーを逆転

 カリフラワーとブロッコリーの消費は、カリフラワーのほうが多かったのですが、1980年前後を境にカリフラワーが激減しブロッコリーが増えていっています。

 現在カリフラワーは、ブロッコリーの3分の1ないぐらいです。なぜカリフラワーが減ってしまったのか私は不思議でしかたありません。野菜としてはおいしいですし、ブロッコリーのほうが緑色で栄養価が高いといってもそれほどの差はないはず。半分は風評被害に近いと思うのですが、これほどにブロッコリーが増えて、カリフラワーが減るとは思いもよらなかったことです。現在もどちらかというとカリフラワーは減り気味です。カリフラワーは品種改良が進み、安定的に周年生産できるようになっていますが、ブロッコリーはまだ品種改良が進んでいなくて、特に夏が日本の盲点になっています。そこに大量にアメリカから輸入されてきて、6〜9月はアメリカのものが主体です。特に8〜9月は8割くらいがアメリカから入ってきていて、全体を見ても5割近い量がアメリカから入っています。

 東京市場への入荷でいえば、アメリカのものが非常にシェアを増やしているということになります。また、ブロッコリーはどういうわけか埼玉の生産量が非常に多くなっています。

カリフラワーの品種改良

 品種ですが、カリフラワーの品種は周年的につくられていて、わずかに紫色や橙色のものもありますが、主体はほとんど全部が白です。カリフラワーの品種改良が始まったのは1950年代からですが、最初のうちはF1でないもの、ふつうの品種が使われていましたが、1960年以降に育成された品種は全部F1になっています。

 「天草1号」「天草2号」「島原早生」など九州の産地がついた品種名が多くありますが、昔は天草で種をとって、それをあちこちでつくっていました。ただ1960年以降になると、大手種苗会社が進出し全部F1に変えていったので、現在はF1がつくられています。サカタのタネ、タキイなど大手種苗会社のほかに、野崎、増田というアブラナ科専門の種苗会社は今もなおよい品種を出しています。サカタのタネやタキイはアメリカで採種しているので、アメリカに入っているものは圧倒的にこれらの会社のものが多いということになります。

ブロッコリーは最初からF1

 ブロッコリーは育成が始まったときからF1をめざして育成しています。1960年代の終わり頃から品種改良が始まりましたが、はじめからF1を育成し、固定の品種はほとんどない状況です。「ドシコ」という品種はヨーロッパから入ってきて、それをもとにして育成した「中里早生」という一般の品種がありましたけれども、その後どんどんと外国から品種を入れてF1を育成したので、現在つくられている品種はF1ばかりです。それから、頂花蕾型、側花蕾型、その中間型がありましたが、現在は一般の生産用は頂花蕾型で、自家菜園は中間型から側花蕾型になっています。

 品種としては、中晩生の「長岡交配中晩生」(1963)がF1のはしりとして出てきて、この後に次々といろいろな品種が出てきました。1990年以降、ずいぶん多くの品種が育成されましたが、狙いは真夏に収穫できるものをつくり出そうということが一つの目的になっていました。真夏につくるとなると、平坦地ではできないので、高冷地に入っていかないとよいものはつくれないということになります。

 日本での生産は比較的埼玉でシェアが大きく、野菜全般についていえますが、千葉県と茨城県のシェアもかなりあります。

 これ全体を花蕾といいます。一つ一つは蕾です。これはやがて蕾になるのですが、未発達の蕾がびっしりとくっついているのです。かつてのブロッコリーの品種は花蕾が非常に大きかったが、最近はだんだんとカリフラワーに近いようになってきました。もちろんカリフラワーのようにはいきませんが、蕾が細かくなってきて、脇芽が出ません。 最近育成されている品種の中には、茎が太いほうが食用としておいしいものがあります。特にブロッコリーではいろいろな障害が起こり、花の間から葉が出るものは八百屋さんが嫌います。

 カリフラワーの障害はライシーとかいって、ブロッコリーのように粒粒になってしまうものがあります。これは栽培するときの条件がよくないとできやすくなります。植物にとっては葉が出てくるのは当たり前の話ですが、こういう障害が起こるのは非常に嫌われます。栽培条件を間違えるとそういうことになりますし、そうなりやすい品種もありますが、これらは育種の過程で除かれています。
サンプルのブロッコリーを取り上げて説明

 それから冬につくると障害を受けるので、葉をかぶせて防寒しているものがあります。


江澤正平先生の話

キノコ 

 食べてどううまいのかということは一つ問題があります。キノコは日本では3000種類くらいあり、そのうち食用になるものは200〜300くらいある。毒キノコはそのうちの60種類くらいあるらしい。キノコは天然のものを見てすぐ判断ができるのはなかなか難しいので、今食べるキノコは栽培されたキノコが多い。キノコは大体種類として三つくらいあります。

1) 木材腐朽菌

 まず木材腐朽菌というのがある。これは、木材を腐らせたところにキノコができる。人間が栽培しているキノコは、木材のところに菌を植え付けてつくっている。だから、そういうキノコが大部分で、シイタケ、ナメコ、エノキ、クリダケ、キクラゲ、ブナシメジなどいろいろあります。エノキは白い小さいものだと思っているだろうけど、自然のものは今の50円玉くらいの大きさ。自然のものを木材につけて、糠など栄養分を入れて温度管理と水分の管理をしてつくる。今出ている多くのキノコは木材腐朽菌を使ったものです。

2) 腐生菌

 腐生菌というのはマッシュルームやフクロダケのように土のところに馬糞などを置いてそれが栄養分になってできるものを指す。マッシュルームは日本ではたいして食べませんが、フランスでは140万トンくらいつくられている。フランス産が日本に輸入されて売られたこともありますが、フランスのマッシュルームは半年くらいかけてつくられるから、期間をかけたほうがやはり味があってうまい。だから、日本のマッシュルームとは全然違います。

 カナダから輸入したりするブラウンマッシュルームは水っぽい。
 この二つは人間が栽培できるものです。

3) 活物寄生菌

 もう一つは活物寄生菌。これは松の根から白っぽい菌が出てきて寄生する。これはマツタケやシメジなどで、台木がないとつくれない。だから、マツタケを人工でつくるのは無理なんです。菌を育てるには日光があまりあっては困るし、適度な湿度と風通しがないと困るわけです。

 菌はカロリーはありません。活性酸素を抑えるといった効果をもっているといわれています。ですから、同じ木材腐朽菌でもサルのこしかけみたいなものは3年がかりでないとできないとかいわれ、キノコによって違います。

 エリンギは、1995年くらいに台湾でつくれるようになりました。

【補足】ブロッコリーについて

 ブロッコリーの話ですが、側花蕾のほうが頂花蕾よりも軟らかくてうまい。昔は側花蕾をたくさんつくっていたが、生産者が収穫のとき、かがんで小さいのをとっていくのはとてもやりづらいのでだめになった。最初は頂花蕾は大きすぎてあまり売れなかったんです。今の頂花蕾はあまり大きくありません。ブロッコリーは花の具合からいって、包丁を入れるときは下から切らないと割れない。そうでないと上から切ってバラバラになってしまう。カリフラワーは上から切っても分けられますが、ブロッコリーは下から切らないといけない。

 スティックセヨールはうまい。市場がちゃんと買ってあげてお客さんに喜んでもらうといいのだが、見てくれなどで判断しやすい。

 カリフラワーでもかたくてしまりがよいほうがみなさんはよいと思うだろうけど、置いておくと割れてきますよ。どちらがうまいか、何回も食べ比べてみましたが、割れてきたほうがうまいんです。やはり見てくれがよかったり収穫時期が早かったりということのほうが重視される。花の一つ一つが細かいほうがよいのか、開き加減のほうがよいのかという問題が当然あると思います。

 だから、生産の側と食べる側で問題点があります。側花蕾はとるのが大変だし、大きいほうが扱うのが楽だからというのでやらなくなってしまった。

 今日はアメリカ産と国内産を食べ比べてみてください。


(株)サカタのタネに4月より出向している澤田さんより説明

キュウリの「フリーダム」

 この特色はイボがないことで、八百屋さんにいわせると、しおれが少ない、棚もちがよいといわれています。それと食感がとてもよい。

 キュウリは鮮度感からいうと、業界内ではイボがツンツンしているのがいいという評価がありますが、そうでないという見方も今はあります。どちらかというと、漬物など、若い人がさっと刻んでさっと食べるのに向くキュウリです。周年供給ができればよいのですが、夏場、春、秋については産地の確立ができました。冬場はどうしても油をたかなければならないので、みなさんが育ててくだされば周年供給ができる品種ではないかと考えています。ですから、食べてうまいと思ったときには市場の担当者に「フリーダムというキュウリをこの市場では使わないのか」と言っていただければ、市場とのタイアップの中で産地を育成していきたいと思っています。

(江澤先生のフォロー:カット野菜屋がイボがあると菌がつくのでいやだといってイボのないのを要求したという経緯があります。)
 

美星カリフラワー

 ブロッコリー等の中でお話いただいたカリフラワーですが、これは通常の大きさに比べると小型のカリフラワーです。従来はカリフラワーもブロッコリーと同等くらいの生産量がありましたが、緑黄色野菜重点型、健康志向という時流に乗れなかったり、つくりづらいという産地背景の問題、色が白くあがらないと商品性を認められないといったようなことがあったりして、産地もブロッコリーのほうがいいというようになりました。そういう中で、もう一度カリフラワーのよさを感じていただきたいということで、密植密度を密にしても十分生産ができるというスタイルの品種です。

 小さいのですが、持つと重い、密度の濃い球ができるということです。ことしは長野県全県に入りましたので、来年はもう少し量的には出てくるでしょうし、九州方面にも入っていますので秋冬期には従来よりも量が出てくるだろうとみています。ただ残念ながら春先と秋、関東エリアはブロッコリーの独壇場という中で、産地が大きくありません。ですから、よいと思ったら市場担当者に話してください。逆にお客様のほうから要望があれば産地をつくってもおもしろいという考える担当者が出てくるでしょう。それで、私どもの会社へ連絡をいただければ、育苗専門家とともに産地を育てていこうという考え方をしています。

栗坊南瓜

 1個丸ごと食べてみたい、簡単に食べられるカボチャはないか、というので育成したのがこのカボチャのコンセプトです。ラップで包み、電子レンジで簡単に調理できます。甘味の強いカボチャなので、簡単に食べられるカボチャの食べ方も同時に紹介していただきたい。

雪化粧南瓜

 白いカボチャの特色は、粉質系で、棚もちがよいことです。従来北海道産のカボチャは10月上旬で終わっていたので、その後はほぼ輸入物に切り替わっていましたが、雪化粧は11月いっぱい自信をもって食べていただけるカボチャです。カボチャの販売期間を少しでも長くしたいと開発したものです。
 

クーニャン

 チンゲンサイのミニ化をしたもので、産地は少しずつ増えてきています。刻まずに、丸ごと料理に使えます。
 

ベータリッチ

 食味、味、栄養価を追求していこうということで作った品種です。中まで真っ赤になり、甘みが強い。ベータカロチンも通常の2倍くらいあり、ジュースにしてもよいし、ぬか漬にしてもおいしい。
 

麗容トマト

 赤く、硬く、食味がよいので自信をもってすすめられる品種です。今は群馬県、九州関係は熊本、宮崎、鹿児島などでつくられています。


鈴木寛先生(東京青果個性園芸事業部)の商品説明

10月は秋野菜が豊作で、関東物が出回っています。いよいよ関東物が顔を出してきて、重量野菜といわれる大根、キャベツ、ハクサイ、それにレタスなどを含め、作況も野菜として適温で順調に育っています。

 果菜類はキュウリも抑制物が出盛り、トマトだけが熊本産、西南団地物が遅れています。豊富に出回っているのでとかく豊作貧乏になりがちですが、おいしい時期なのでヨロシクお願いします。


ブロッコリー

埼玉 JA榛沢「ピクセル」
アメリカ 「グリーンベルト」「パトリオット」
 

・ブロッコリーの輸入物は周年供給され、しかも船便できているのに棚もちがよいというので、(アメリカは)素晴らしい産地だと感じています。カリフォルニアが主力ですが、地中海気候の温暖な地域で周年栽培がかなう適地であるということが大きなポイントになっています。

 埼玉産JA榛沢はこれから出盛りですが、早生品種で「ピクセル」というものが使われています。価格はJA榛沢で4kg1700円、アメリカ産は38球が2800円の販売でした。
 

氷詰めブロッコリー(アメリカ産)

ゴボウ 

茨城 JAなめがた「柳川理想」「簡単」
中国 「柳川理想」

・ゴボウはJAなめがた、当社の一番のブランドです。芹沢のゴボウで大田市場では名前が通っていて、Mサイズ4kg1500円、3S300円。ゴボウは関東では太くないといけないが、関西では小さいほうが高く、またよく利用されています。ですから、関東は作付けが多いものの、関東で消費されるよりは、関西にもっていかれるケースが多い。「柳川理想」は日本で多く作られている品種で、つくりやすく風味があります。

 ゴボウは土を選ぶというか場所によって大きく風味が違います。芹沢は赤土の土質に合った産地ということになります。

 それに対して中国産のゴボウ「柳川理想」は、日本売りで75円という販売価格です。同じく茨城県産ですが、「簡単」という品種に「ごぼちゃん」(1袋120円)というネーミングをしたものをもってきました。100日でできる短根系ゴボウで、糖度が20度以上と非常に高い。サラダ、きんぴらで需要を伸ばしたいということですすめています。

ごぼちゃん
「簡単」という品種の商品名(茨城産)


生シイタケ

群馬 JA甘楽富岡  原木
岩手 JA奥中山    菌床
 

・シイタケはJA甘楽富岡(群馬県)の原木シイタケ、JA奥中山(岩手県)の菌床栽培のシイタケをもってきました。価格はJA甘楽富岡はC級で100円、岩手の菌床物は2kgで2600円の販売です。
 

左が菌床 右が原木

 

食味した感想

ブロッコリーは茎まで含めたおいしさ、ゴボウは風味、味わい、歯ざわり、シイタケは味の違い等々をチェック。荒井先生から、ゴボウは「ゴボウは皮をむかず、たわしでこする。(下ごしらえとして)酢水につけるとよいと書いてあるが、色の違いはあっても味の違いは変わらない。食べる分には酢の作用は全くない。白く上げる分には酢が必要かもしれない」との説明がありました。


ブロッコリー

・アメリカ産のブロッコリーは日持ちがしすぎ。農薬を使っているイメージがある。

・外国の野菜は薬を使っているというのは先入観であって、売る側がそのようにとらえていると八百屋のイメージまで悪くなるし、外国産のものは売れなくなってしまう。やはり味の違いをアピールしていくほうがよい。

・何か問題がある場合、必ず(市場を管理している)東京都が言うはず。それを言わないということは基準値を超えていないということ。食味すると、甘さ、やわらかさなどの違いは歴然としているので、そうしたことをきちんと伝えるべき。

・野菜そのものよりもドレッシングで食べている人も多い。だから、アメリカのブロッコリーも売れているのだと感じた。

・アメリカのブロッコリーは意外においしかった。そんなに大差がないと感じた。

・ブロッコリーの国産は甘くておいしかった。国産をゆですぎると軟らかくなってしまうので、多少シコシコしたところがないと、かたいのが好きなな人はアメリカのほうを好むのではないかと思った。

・食べ比べをして今日ほど味の差を感じたことはない。今日はベロメータが鍛えられてなくてもわかったのではないか。国産ブロッコリーはゆでる時間を短くするということを店で説明してほしい。etc.


ゴボウ

・中国のゴボウも結構食べられる。なめかたのゴボウは香りが強くておいしいと初めてわかった。

・ゴボウは香りはよくわからないが、「柳川理想」は小さいのがすごく好みでおいしかった。中国も結構食べられるが口のなかの筋っぽい歯ざわりがあまりよくない。このように食べ比べをしてかんで食べてみると味の違いがわかる。


キノコ

・キノコは原木のほうがおいしい。

・原木は歯ごたえがよく、食味がよく、マイルドな味。菌床は歯ごたえがコリコリしている。


参考出品されたキノコ類
↑マイタケ ↑柳松茸
↑ひらたけ ↑すぎたけ
↑雪嶺たけ ↑トラマキタケ
↑やまぶし茸 ↑ジャンボなめこ
↑なめこ ↑黒あわび茸
↑コプリーヌ ↑トキイロヒラタケ
↑あわび茸 ↑ハタケシメジ
↑ブナシメジ ↑ヒラタケ(ラベルの名称は商品名)
↑ブナピー ↑スギタケ
↑しゃっきり茸 ↑エリンギ
↑タモギ ↑かきのき茸