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江澤先生の話
■いままでは農業、植物の話をしてきたが、視点を変えて消費者の話をしたい。今、消費者の動向が変わってきた。一番問題なのは、1990年に生活習慣病の指針が出され、野菜が健康によい、重要な食料だ、ということでキャンペーンをしているが、現実には野菜の消費が減ってきているということだ。農水省でとりまとめた資料で、食べ方が違ってきていることは分かるが、どうやれば増やせるのかということは書いていない。主食であるコメも生産調整をしているが、現在のように生活全体で食べ物が余っているという時代はかつてなかった。生活も男性が働いて女性が家を守るというのが何百年と続いてきたが、1960年頃から女性が仕事をするようになり、経済が発展してきた。
それにつれて生活全体が変わってきている。かつては大家族で食事していたが、だんだん別々の食事にならざるをえなくなった。家族で食事をすることが少なくなってきている。野菜は1995年くらいには1人当たり120kg食べていたのが、今は100kgぐらいに減っている。核家族になって、野菜の料理の仕方も分からないという若い人がいる。若年層は野菜が嫌いであまり食べない、年寄りも野菜そのものをあまり食べないということで、野菜全体の消費が減ってしまった。
■安全性については、特にやかましくなってきているので農家も注意をするようになってきている。健康のためには栄養性も大事である。野菜はおいしく食べないといけない。
■野菜の場合、品質のことを皆さんはわかっていない。生産者でも自分の作っている品種がうまいとわかっている人は少ない。氏素性をはっきりさせないといけない。野菜は品種でずいぶん違うから品種別に売ってほしい。
■八百屋塾の「食べ比べ」では品種別にしている。うまい野菜は品種で買いたい。品質だけでなく、育て方、育てる時、育てる条件によってずいぶん違う。そういう点でも見分けていかなければいけない。
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■ブルームレスのキュウリの例でも分かるように、見てくれだけで、まずいキュウリの流通を直すのに十数年かかっている。よいものを大事にしていく。それには、生産者がことしも来年も再来年も作りたいという励みがもてるように、品質に見合う価格(生産のしがいがある価格)を考えていかなければいけない。 |
■うまいものを育てていくのは大変だが、小売屋さんがおいしさをわかっていないといけない。野菜は文化財である。消費者がテレビやラジオなどマスコミを通じて野菜を知っても、おいしさは伝わらない。小売屋さんがPOPに書いていてもわかってくれない。だから、対話で分からせる以外にない。八百屋が消費者に味を伝えていくための伝達員になるとよい。スーパーは人手をかけないから、消費者は自分で商品を選ぶために、野菜をよく知っていなければならない。生協は安全性について配慮しているが、品種のことまでは分かっていない。そうなると、残るのは専門店だけである。味の伝達者は八百屋さんの肩にかかっている。野菜をよけいに食べさせられるかどうかは、皆さんの肩にかかっている。だが、せっかく野菜の味の伝達人というよいポジションを与えられていながら、そのポジションを活かしていないのが現状。
■野菜を大事にする先頭に立ってほしい。これが本当の味なのだといえるように、自分の舌を鍛えてほしい。野菜のうまさは商いのうまさである。食べていても飽きないのが野菜であるので、そういううまさをお客に伝えてほしい。野菜のことについて、いつ頃とったらうまいのか、どのような扱いをしたらよいのか、どの品物についても自分が扱っている品物は全部食べているという努力をしてほしい。 |