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2005年(平成17年) 10月16日 (日) 第7回
学習テーマ「ジャガイモ、キノコ、リンゴ」

■芦澤正和先生の話

ジャガイモ 

 ジャガイモは一般にはジャガイモで通用しますが、官庁だけはジャガイモという言葉を使わず、昔から「馬鈴薯」を使用しています。馬鈴薯はウマがつけている鈴に似ているので「馬の鈴の薯」と書くわけです。今から200年も前、1800年代の言葉がそのまま生きているのです。

 サツマイモも官庁では「甘薯」で通用しています。国が「馬鈴薯原々種農場」を作り、法律の中で「馬鈴薯」と用いたので、法律を改訂しない限り「馬鈴薯」という言葉を官庁用語から消すわけにはいかず、未だに使われているのです。

 園芸ではジャガイモ、サツマイモといっていますが、それでも官庁向けの文書では馬鈴薯、甘薯と書きます。法律は一字一句変えるために国会を通さなければならないので、大変手続きが面倒です。

 八百屋さんに出てくるジャガイモは、その前に原種、さらにその前に原々種があり、ジャガイモで一番こわいウイルス病を蔓延させないための処置がとられています。
 

 食用ジャガイモは「男爵」「メークイン」が主体で、ともに100年近い歴史がある品種です。「男爵」は川田男爵がイギリスから導入し北海道で普及したところ、「男爵」の名前だけが残りました。「メークイン」は入ってきたときの名前がそのまま残っています。料理したときの品質が違い、「男爵」は煮崩れしますが、「メークイン」は煮ても崩れる心配がありません。「メークイン」と「男爵」で人気を二分し、日本で一般に消費されているジャガイモの半分以上を占めています。

 50年前から現在に至る品種を見ても、東京市場に入ってくるジャガイモの半分以上が「メークイン」と「男爵」で、特に「男爵」が圧倒的に多くなっています。秋植えのジャガイモは最近育成されたいろいろな品種が出てきていますが、春植えは「男爵」と「メークイン」、それに古い品種の「紅まる」の3品種だけで約70%を占めています。

 ジャガイモの原産地はアンデスの山中で、食用として南アメリカ、中央アメリカで食べられていました。コロンブスのアメリカ大陸発見後にアメリカに行ったスペイン人が持ち帰り、最初は観賞用が多かったのですが、そのうちにヨーロッパの自然状況下でよくできるということが分かって栽培が始まりました。ヨーロッパの人口増はジャガイモによる食糧確保のおかげともいわれています。

 フランス革命で殺されたマリーアントワネットはジャガイモの花を身につけましたが、単なる飾りでなく、ジャガイモが食糧として重要な役割を果たすということを示したといわれています。

 日本ではジャガイモを主食にする習慣はありませんが、ロシアではジャガイモが第二のパンといわれるほど大事な主食になっています。

 暗殺されたケネディ大統領の一族はジャガイモの不作で餓死者がたくさん出たときに、ヨーロッパからアメリカ大陸へ渡ったという人の子孫です。ジャガイモがそれぐらい大きな役割を果たしていたということになります。

 ジャガイモはナス科に属し、ナスとは非常に近い作物です。世界中で食用として使われますが、いろいろな病気が出るので、病気に強い品種を作る目的で野生種と交配し新しい品種を作る努力をしています。

 日本でも主として北海道で耐病性品種を作る品種改良が行われています。ジャガイモの中にタンパクが含まれすぎると作るときに具合が悪いとか、栄養面からみるとタンパクが高い方がいいといった問題もあるので、タンパク質の量についても様々に研究されています。

 ジャガイモは現在のジャワ島から入ってきて、ジャガトラと呼ばれました。飢饉のときにはサツマイモとジャガイモが大きな役割を果たし、これらの作物のおかげで多くの人が飢え死にしないですんだといわれています。

 日本でのジャガイモの生産量は減ってきていますが、飢餓の時代には食用としての生産が多くなっています。

 50年位前は約20%が食用でしたが現在は60%です。このほかにジャガイモの用途は、でんぷん原料、加工用、種いもとしての利用などがあります。

 どちらかというと涼しい気候を好むので生産の大半は北海道で作られています。北海道の場合、秋植えのものが多く、鹿児島、長崎、特に長崎では秋植えというより冬植えみたいなもので、冬に山の南斜面に植え付け、トンネルをかけ、暖かい所で早くジャガイモをとっています。雲仙岳から島原半島をみると、山になぜ海があるのだろうと思うほどトンネルが風で揺れるので、上から見るとさざ波が立っているように見えるのです。また、早出しのジャガイモは奄美大島で作られています。

 「男爵」「メークイン」の春植えは北海道が多く、「その他の品種」はどちらかというと南の方、特に長崎、鹿児島が多くなっています。

 春植えでは、「男爵」「メークイン」「紅丸」が多く、最近育成された品種も数多くありますが、新しく育成された品種の出番は比較的小さいといえます。

 ジャガイモの場合、比較的貯蔵性が高いので、新ジャガと称するジャガイモも、貯蔵してあったジャガイモも使われるので、収穫時期でなくても一年中出回ります。現在野菜は約20%が海外から輸入されますが、ジャガイモの輸入は比較的少なく、加工されたものが少し入ってくる程度です。

 ジャガイモの生理障害(空洞、黒芯、リング)等は、病虫害、線虫害、ウィルス、などから起きますが、温度の高低、温・湿度、栄養(不足、過剰、バランス)などからも生じます。


キノコ
   
 ここ10年ばかりの間にキノコは特別な扱いを受けるようになりました。酵母や菌が独立したものとして扱われるようになったからです。

 昔、この世の中には、鉱物、それに生き物として動物と植物があると習いました。生物が二つあるので「二界説」といいました。1980年頃にはキノコは植物として紹介されています。ところが、動物と植物と菌、三つに分けることになり、現在では学問の世界では三界説が通用しています。動物は基本的には自分が動き、他のものが作ったものを食べる。人間も他のものが作った栄養を食べている。植物には葉緑体があり、炭酸ガスと水と太陽の力で光合成をしていく。それをするためにいろいろ動き回るのでなく、基本的には動かない。菌は動物や植物にくっつき、栄養をそれから吸収していくという別の性質があります。

 菌はまだ研究が十分進んでいないので、どれぐらいあるのかも分かっていませんが、キノコ、細菌、ビールを作る酵母などがあります。最近の研究で非常にたくさんあるということが分かってきたのですが、研究が遅れた最大の理由は、顕微鏡も化学分析の力もなかった頃には見た目でなんとかしようとしていたからです。動物と植物に分けられていた頃でも、菌は違うのではないかという人たちがかなりいました。顕微鏡が高度に発達し、化学の知識も発達してくると、それを探し出して分析できるようになり、菌が全然違うものらしいということが分かったのです。最後に遺伝子DNAの解析ができるようになり、三界説が現在の菌を含む生き物の基本になっています。
 

 分析機器も発達してからは三界説では説明がつかないというので、ホィッタッカーという人が原生生物などを含めた五界説を言い出しました。現在分類や進化の仕事をしている人は三界説や五界説をとる人が多くなっています。ところがこれでは特に進化の流れを理解するのはだめだということで、現在は次に書いてある八界説が出てきました。

 下に行くほど原始的なもので、上にいくほど進化したものということになります。


 我々のように農業では科より下の方を扱います。それで、メークインは品種、ジャガイモといったら種の段階で、その中を細かく分けていきます。
 
 界
 門
 綱
 目
−−−−
 科    ナス
 属    ナス     トマト  ピーマン
 種    ジャガイモ    イネ
(変種)          ジャポニカ、インディカ、グラベルマ
品種    メークイン    コシヒカリ
 系

 種のところで、ジャポニカは米粒自体が小さく、煮ると粘りが非常に出ます。インディカは長粒種で煮ても粘りが出ません。それで、現在品種改良ではジャポニカとインディカとかけて、インディカのもっている“病気に強い性質”をジャポニカに入れようというような努力はずいぶん行われています。どちらかというと、インディカの方が南の暑い地方で、ジャポニカは北海道のような寒い所でも作れるという特徴のある品種です。ジャポニカは粘りがあって日本人はおいしいといいます。

 ところがインディカを食べている人たちにジャポニカを出すと、わざわざ洗って粘りを落として食べます。もう一つ、グラベルマはアフリカのイネです。

 種の下に品種があり、同じコシヒカリでもいろいろなタイプがあります。コシヒカリは病気に強くないので、イモチ病にかからないような努力をしています。

 それから同じナス科でもトマト、ピーマン、ナス属が違うわけです。人間は種の中で交配して作っています。

 「界」の中には動物、植物、菌があります。

 菌の中には、活物寄生、死物寄生があります。シイタケは死物寄生で、マツタケは松の根に寄生する活物寄生です。マツタケが栽培できるように様々な研究が行われていますがどれも成功していません。

 作物の病気の研究をし、病気に強い品種を作るためには菌を培養しなければなりません。死物寄生であればシャーレの中に栄養物質を入れると菌が増えるのですが、活物寄生だと育てるもの自身が生きていないといけません。

 私は現役のときに研究していた根コブ病は活物寄生で、病気がついている根を生きたまま冷凍保存していました。病原菌の中にも活物寄生、死物寄生するものがあります。

 


■斎藤利明講師のリンゴの話

【世界の生産量】

 リンゴは世界に約6000万トンあるといわれます。一番多いのは中国で約2000万トン、アメリカ、トルコ、フランスなど欧米諸国が続きます。特に中国には「ふじ」の苗木が多く輸出され、栽培技術者が苗木屋さんと一緒に生産指導に行っているので、リンゴの生産が伸びてきました。リンゴを作れば所得が安定するので生産者も増えています。山東省で600万トン、山西省で400万トン近い生産量があり、河南省、河北省も250〜300万トンとびっくりするほどの生産量になっています。ただ中国で一番困っているのは、矮化栽培の木が約10年前後の年数を迎えていることと、剪定の仕方がまだ分からないので木が密植しているということです。したがって、面積や生産量は多いけれども、商品になるものが少ないような感じです。

 かつてジュースはアメリカやヨーロッパ産のものが多かったのですが、昨今は中国のリンゴジュースがほとんどになってきました。

【リンゴの輸出と輸入】
 日本への外国産リンゴの輸入は、平成5年にニュージーランドから、平成6年にアメリカから、平成9年にはフランスから、11年にオーストラリア、タスマニアの地域から入ってきています。韓国からは植防の検査がないので、スムーズにいつも入る環境にあります。

 日本で一体どれぐらい輸出しているのかといえば、15年産から活発になり、主力は東南アジア向けが80〜90%を占めます。平成15年産リンゴで1万5650万トン、10kgで156万ケースぐらい外国に輸出されています。平成16年産(9月〜6月までの統計)は大幅に減り、約1万600トンです。平成16年産は台風で青森も3度被害を受け、産地で価格が高騰したので、輸出もスムーズにいかなかったのです。

【日本の生産量】
 日本のリンゴの生産量は、私が1965(昭和40)年に入社したときに国内果物は600万トンあるといわれていました。現在は370〜380万トンに大幅に減ってしまったのが実態です。特に、主力のミカンは一時380万トン位生産量がありましたが、昨今は110万トン前後と発表されています。ミカンが大幅に減ったので、国内果物生産も大幅に減っています。ミカンが380万トンあったときで、リンゴは多いときで125万トンくらいありましたが、現在、主力の青森県産は45万トンと発表していますので、長野・山形・岩手・秋田・山梨なども含めて約88万トンではないかと見ています。

 山形県ではリンゴからサクランボや西洋梨、モモに変わっているように、リンゴから別の品目に変わってきている傾向が見られ、生産量が減っているのです。

【リンゴの品種】
 リンゴは早生種、中生種、晩生種と品種が分けられます。早生種は「つがる」、中生種は「ジョナゴール」、晩生種は「ふじ」がメインです。NHKのプロジェクトXで「ふじ」が放映されましたが、リンゴが生産されるまでの過程は厳しく、いろいろな失敗を乗り越えて、新しい品種が作り出されてきました。

 世界中にはおそらく3万〜4万種類出回っているようですが、日本での主力は15品種位で、生産の少ないものまで入れると30品種位あります。

 最近掛け合わせが頭に入らないぐらい多くの新品種が出回っています。生産者に味方するわけではないのですが、既存の品種にばかり頼っていると生活できない、再生産できなくなっているのが現状です。このため他の品目にチャレンジする生産者が大勢いるわけです。新品種を生産することにより、高価格が出て、なんとか生計が成り立つということであれば、既存の品種より優れた品種はなんとか世に出してあげたいと考えます。それで、試験場に良い品種はないですかと伺って、市場に取り寄せ、品種の品評会などを開いて生産量を増やしてもらう手助けをしてきました。ミカンでもデコポンという品種ができ、生育は限られるものの再生産できる態勢に入ってきました。リンゴの場合、とても再生産できる状態ではなくなってきているのです。

 「弘前ふじ」は10年位前から、「シナノスイート」「秋映」などは5〜6年前から出回ってきました。各品種とも13〜16度の糖度があると思います。多少品種によっては違いますが、生産者は無袋栽培でおいしいリンゴを作ることにチャレンジしています。

13)青森・JA弘前市「弘前ふじ」
1984年青森県で発見された「ふじ」の枝変わり。収穫期がふじより一ケ月早い。ジューシーで、ふじに比べ酸味が少なめ。

16)長野・JA信州高森「シナノスイート」
長野県果樹試験場で「ふじ」×「つがる」を交配育成、96年登録。 350g前後と大果、果色は濃赤色で縞状に着色。果肉の硬さは中位で、甘味が強<、高糖度である。中生種の主要品種として期待されている。

長野・共和園芸「秋映」
長野県中野市の小田切氏が「千秋」×「つがる」から育成。93年登録。甘酸適和。

【おいしいリンゴの見分け方】
 リンゴの見分け方は、色がまんべんにのっている、変形していない、リンゴらしい長円形をしていて形状のよいもの、傷がないものを選んで買うのが基本です。

 無袋「ふじ」は持って重いもの。これは蜜が入っている証拠です。蜜が入る品種は「ふじ」「北斗」「紅玉」と限られます。蜜が入りづらい品種を遅くまでならせると完熟から過熟状態に入ってきます。やわらかくなって収穫すると「ふけている」「味が抜けている」とお叱りを受けます。やはり鮮度のある間に収穫して選果し出荷すべきです。

【品質管理について】
 リンゴも呼吸しています。酸素を吸って炭酸ガスを吐き出します。気温が高ければ高いほど呼吸作用もはげしいです。だから、暖かい所に置くとリンゴの傷みも早くなります。青森の場合0℃まで冷蔵庫の温度を下げます。そうすると、リンゴは自由に呼吸ができなくなるので、リンゴの熟度を抑え、いつまでも鮮度のよいものをお客さんに供給できるのです。

 私は弘前生まれなので、子供の頃は雪まき冷蔵というのが行われていました。小屋の周囲に雪を入れて、その中にリンゴを入れて品質管理するのです。ところが、雪では溶けてしまうというので、塩をまいて溶けにくくしましたが、これでもだめでした。次に氷まき冷蔵の時代もありました。貯水池に凍った厚い氷を運ぶ姿も見かけました。

 次に電気冷蔵の時代に入り、0℃まで冷やし、品質管理を遅くまでできるようになりました。それでも一定の時期がくると、果肉がやわらかくなったり、病気が出たりする。そこで、もっと貯蔵管理できる方法を探したところ、アメリカにガス冷蔵があるということが分かり、ガス冷蔵を導入しました。いわゆるCA貯蔵といわれるもので、これにより8月一杯まで管理できるようになりました。

 一般にガス冷蔵庫に入れるときは室内を密閉します。温度を0℃に冷やして呼吸作用を抑えた中で、さらに空気中に20%ある酸素を3%まで下げ、0.03%ある炭酸ガスを2.5%位に上げて、リンゴが呼吸したくてもできないようにして長期販売できるようにしました。品種によっては限界がありますが、晩生種の場合8月まで、陸奥などはガス貯蔵すると1年中品質が保てるようになりました。でも、CA冷蔵も今でこそいいものが出回るようになりましたが、いろいろな失敗がありました。それらを乗り越えて、しっかりした品質のリンゴを消費地に送ることができるようになったということです。

【新品種】
 早生種の「つがる」はデビューした当時は素晴らしいといわれましたが、昨今は残暑がきびしいので、日持ちが悪くなりました。買って帰って3日も置くと、脂上がりしてやわらかくなるということで、このリンゴはまずいといわれるようになりました。もう少し日持ちがよく、果汁が多くて、食べてもシャリ感のある新品種がないのかということで、早生ふじが出てきました。

 青森県から出た「早生ふじ」は画期的な品種です。晩生種の「ふじ」は10月下旬からぼちぼち収穫が始まりますが、完熟にするときは有袋で栽培し、色をつけます。完熟の1〜2歩手前ぐらいで収穫しそれをCA貯蔵し4月以降8月頃まで販売します。

 無袋ふじは完熟で蜜が入るぐらいまで収穫を伸ばします。最初は黒赤色をしていますが、消費者が赤い色を好むので収穫をのばしていたら、赤くなりました。葉が一杯つくことによって糖度がのってきます。昔、知らないときは色をつけるために葉をとってしまったものですが、今は葉をできるだけ残し、色がリンゴにのるようにします。そして、鮮明な赤になったときに収穫を始めるのと、「サンふじ」はおいしいといってもらえます。「サンふじ」は糖度のばらつきが少なく、今のところはおいしいといってもらえる品種だと思います。

 「早生ふじ」は「ふじ」の枝変わりですが、晩生種である「ふじ」より1ヵ月も早く出るのはリンゴの中でも奇跡の品種に入ります。「昂林」はふじの枝変わりで、晩生種よりも早く出ます。

 「シナノスイート」も「ふじ」と「つがる」のかけあわせです。長野県の試験場で「味ぴか」という名前を使ったときもありましたが、ミカンの産地で同じ名前を使用していたので、従来の「シナノスイート」に戻しました。

「ふじ」と「つがる」のかけあわせには北海道の「ハックナイン」があります。北海道の試験場で9番目に出た品種なのでこの名前がつき、なんとか世に出そうと道内の落葉果樹研究部会でずいぶん勉強会を開きましたが、結果は道内だけの出回りになっています。

 「ジョナゴールド」はアメリカに視察に行った人たちが枝を持ち帰って秋田県で高接ぎして増やしてきたそうです。

15)岩手・JA江刺市「ジョナゴールド」
ニューヨーク州農業試験場で「ゴールデンデリシャス」×「紅玉」によって生まれた。日本は70年に導入。風味は紅玉に似ているが、紅玉より酸味が少な<ジューシー。
 

17)長野・JA須高「シナノゴールド」
長野県果樹試験場で「ゴールデン」×「千秋」を交配育成、99年登録。 300g〜350gと王林より大きく、果形は長円形、果色は浅黄色。硬さは中位、果汁多<、甘酸適和で旨い食味である。

14)青森・JA相馬村「昂林(こうりん)」
福島で発見。「ふじ」×「不明」とされていたが、遺伝子診断の結果ふじの枝変わりかアポミクシス(単為生殖)で生じた可能性が高い。肉質は緻密で硬<蜜が入り、甘酸適和で食味は良好。

 このように、なんとかおいしいリンゴを作ろうと生産者は努力をしています。私は「つがる」は9月の段階で終わらせ、消費者に喜んでもらえる品種を出したいと思っています。りんご一筋40年、働いている間はリンゴのために頑張っていきます。

(東京青果果実第1事業部)

【質問に答えて】
●ベタベタ(ろう上がり)は、完熟から過熟に向かう段階に入るとき、自分を守るために生理的に生じる現象です。皮が薄いリンゴほどろう上がりが目立ち、「ふじ」などのように皮がざらついている品種は意外に強いです。

 リンゴは新鮮なものほど色が鮮明です。少し完熟から過熟に向かうようになると、ろう上がりによって少し黒ずんできます。鮮度のよいものは手にもって叩いてみると澄んだコンコンという音がし、さわっても固いです。

●大きいリンゴと小さいリンゴの果肉の形成層は同じなので、大きいものほど隙間が出来やすい。したがって、大きいほど日持ちがしないのです。

●蜜が入っている「サンふじ」の場合、日照病という病気にかかっています。でも、完熟になると蜜が入るので、「おいしいリンゴになったよ」というリンゴからのテレパシーにもなるわけです。蜜が入っているリンゴほど遅くまでならせています。ちょっと外なりから内側になるとか、西側の太陽光線が少ない場所は日当たりが少ないから、蜜の入りも少なく、色も悪くなります。蜜が入っているのは外なりが多く、遅くまでならせているということなので、蜜が入っているものは甘いとされているのです。ただし、その分、日持ちはしません。消費者には、「買ったら眺めるのはほどほどにして、すぐ冷蔵庫にしまってください。そうすれば1週間でもおいしいものを食べられます」とアドバイスしてください。

◎江澤先生
●はつあきは色がとてもよいが、酸味が強い。はつあきが親の品種がずいぶんある。

●リンゴは冷たくすると甘味が増すのは、リンゴの中の果糖という糖分が増すから。

●大きいほど呼吸作用が大きいから、ぼけが早い。だから、8月に売るのは日持ちがするように小さいサイズが出回る。私は40玉以下のものを買うようにしている。世界一のように大きなものは、7時間でふけていくらしい。ふつうのリンゴだと室温よりも冷蔵庫に入れた方が日持ちがする。8月位まで貯蔵しているリンゴは完熟よりも若いものをとって保管している。


東海林講師の商品説明

ジャガイモ

ジャガイモの全般的な情勢は、大変豊作で入荷量が多く、各市場とも在庫をもっている状況です。
 
   

1)JA今金「男爵」
原名アイリッシュ・コブラー。作付面積が最も多<、ポピュラーな品種。粉質だが水分が多く、吸油性が高いのでフライより煮物に向く。休眠が長いために貯蔵性は良い。 1600円 一番のブランドです。

2)JAようてい「北あかり」
肉質は粉質、カロチン、ビタミンCが多くヘルシー。デンプン価は15〜17%で高い。色は黄色。 1300円

3)JA芽室「とうや」
大粒で空洞がな<、ビタミンC含有量は男爵・メークインより高い。

4)JA芽室 「メークイン」
デンプン価は低いが、粘りと甘さを持ち、味が良い。病害に弱く、作付面積は少なめだが人気がある。煮崩れせず、糖分が多いので、煮物によ<、フライは不向き。メークインといえばこのブランドです。

5)GM商会「インカのめざめ」
北海道服試育成。原産地のアンデス地域で高値で取引されている小粒種とアメリカの品種の交配から作られた。イモは濃い黄色で栗の風味がある。 北海道農試育成で、もともと原産地のアンデス地域に小粒種がいろいろあったのを日本に合うように改良して作ったもの。色が濃く味も他のジャガイモとは少し違う。2200〜2300円

 

 


きのこ

6)長野 JA須高 「ヒマラヤヒラタケ」
ウスヒラタケの仲間。傘の大きさが5〜1 5cmとかなり大型で肉厚。高温でも発生する。バター炒め、味噌汁など。1パック60円

7)沖縄 グロワール 「アワビタケ」
黒アワビタケともいう。シコシコした歯ごたえとうまみを持つ。炒め物に合う。190円

8)北海道 スリービー 「タモギタケ」
ヒラタケの仲間。中部以北の深い山や北海道に自生。鮮やかな黄色がポイント。スープ、鍋物などに。70円

9)山梨 はなびらだけ本舗 「ハナビラタケ」
夏に関東甲信越から北海道の高山に生えるきのこで、幻とされていたが、近年人工栽培が確立。Bグルカンがアガリクスの3−4倍含まれているといわれている。炒め物、天ぷらなどに。いろいろな薬効性があるということで、医薬品、健康食品のページに多く出ている。135円

10)茨城 ファングァス 「雪の羽衣」
マイタケの新品種。マイタケのなかでおいしい茎の部分を大き<育てたもの。マイタケより歯ごたえが良い。炒めもの、鍋物など。190円

11)長野 JA中野 「サニーマッシュ」
野生に見られる茶色のエノキを栽培したもの。しやっきりした歯ごたえとうまみがある。別名山エノキ、茶樹茸など。用途はエノキ同様。50円

12)長野 JAちくま 「山伏茸」
山伏の衣装についている丸い飾りに似ていることから、その名がある。ボケ防止に効果があるなどの説がある。スープなどに。45円
 

 

 

りんごはリンゴの話を参照
 


江澤先生の話

・儲けるはお客さんよりも自分のことを考える。儲かるはお客さんのことを考えるという説明をしていたが、それでは分かりにくいので説明したい。

・野菜を植物として知る、それから商品として知る必要がある。

・商品には2つの面がある。あわびたけはいくらという値段があり、あわびに似ていて食べておいしいということがある。これは経済の言葉でいうと使用価値であり、もう1つ交換価値がある。商売をしているとどうしても交換価値が中心になり、経済学の範囲ではないといわれて使用価値はあまり問題にされない。だが、役に立つということがあってこそ社会は発展していく。人間の役に立つことを最初にやろうというのが八百屋塾。

・今日では分業が進んでいる。分業してきたおかげで我々は生きられているわけで、八百屋さんは野菜を小分けにして販売する役割を果たしている。八百屋塾で学ぶ皆さんとふつうの八百屋さんとでは売るという行為では変わりないが、野菜のもつ効用、使用価値をお客さんに知らせるべき。食べるということがどういうことか。使用価値が世の中を結びつけている。八百屋さんがあって、お客さんがいて、互いに信じ合えることが一番大切。店を10日間休んでもお客さんが来てくれてうれしかったというのは、店とお客とのつながりができているからである。

・八百屋塾で野菜について分からなかったことがずいぶん分かってきたと思う。多角的に役に立っていると思うので、私は身体の続く限り続けていきたい。

 


■食べ比べ

【ジャガイモ】
・インカのめざめ、メークイン、とうや、北あかり、男爵をゆでたものを試食

*北あかりが甘みがあってほくほくとしていて食感もよい。
*インカのめざめはおもしろい。
*北あかりは色もきれいで甘みがある。メークインは思ったよりも粉っぽい。とうやは苦手。
*とうやは加工には向く、皮をむいて刻む仕事があるのでとうやばかり使っている。


【きのこ】
・ハナビラタケ、サニーマッシュ、ヒマラヤヒラタケの炒めたものを試食
・やまぶしたけはスープで試食

◎荒井先生
 

 キノコは炒め物に向くという説明があったものを炒め、スープによいというのをスープにした。スープに入れるのは水炊きや寄せ鍋をしている中に入れると香りや歯ごたえがあって引き立つかもしれない。


 このほか、西条柿が参考出品された。関西以西、特に島根、広島県など中国地方で多く見かけるが、東京ではあまり知られていない。日持ちしないので早く販売した方がよい品種。江澤先生は西条柿が一番好きだそうだ。