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2006年(平成18年) 1月15日(日) 第10回
学習テーマ「葉物野菜」

芦澤先生の講義

作付体系について

■輪作
 輪作は、同じ畑で数種の野菜を繰り返し、順序を変えながら、作ることをいいます。雑草や病虫害の回避、地力の維持増進、忌地の回避のために行い、大体は同一の科に属するものを作ります。トマトを作るとトマト特有の病気があったり、養分の吸収のしかたが違ったりするということがあるので、ナス科のトマトの後に、同じ科のナス、ピーマンを作ると、共通の病気が出てくるので、トマトがすんだらアブラナ科のキャベツや、アカザ科のホウレンソウを作るという形で、各地域で、何の後に何を作ろうという方針が決まっています。どこの地域でも、地域の主産物になるものを中心にしてその他の作物と交代で作って、何年かに1回主作物に戻るという作り方をするわけです。

 輪作の中に入れるのによいのにイネ科があります。野菜の中で、スイートコーンだけはイネ科ですが、そのほかにはイネ科のものはほとんどありません。イネ科は他のものに比べてかなり特殊な生育の仕方をするので、野菜を作って途中にイネ科を入れ、また野菜を作っていくとよいのです。レタスやキャベツなどの大産地では2〜3年に1回、イネ科の作物をすきこんで堆肥にして畑を肥やすと同時に、アブラナ科固有の障害を抑えることをしているわけです。
 長い目で見れば、それが生産力を維持・上げる役割を果たしているのですが、その間お金にならないと、どうしてもそれをいやがる地域もあります。したがって、次々と作っていってやがてだめになるというようなことが起こるわけです。
 昔、畑作地帯では、三年二圃式をしていました。最初の2年は同じ作物を作り、3年目に休んで栽培するというものです。日本ではあまりやらないけれども、特に畑作をする国で行われています。
【三年二圃式】
コムギ、コムギ、休閑
        牧草循還

 ヨーロッパの国々では、休閑するとその間収入がなくなりますが、そのほうが長い目でみるとよいということで使われています。日本の場合、主作物になる米は水田で作るので、障害は少なかったのです。日本では毎年イネを作ってもだいじょうぶだったのですが、畑作をする国は輪作で対処しています。 
 はじめは、コムギ、コムギ、休閑の三年二圃式にしていますが、これではまずいというので、休閑のときに牧草を植えて家畜の飼料にするようになり、コムギ、コムギ、牧草のサイクルになりました。やがて、五年四圃式とか、七年六圃式という形のようなものが次々とできてきて、それぞれの土地に合ったような作付体系をしていきました。
 これが輪作の始まりといってよいと思います。
 なぜ輪作をするかという中で、一番大きいのは、忌地減少です。ある作物の後に、変な物質を出すから作れなくなるという現象があり、それを忌地といっていました。
 忌地を起こす代表的な野菜は、エンドウとサトイモです。根から有害物質を出したりして作れなくなるのが忌地ですが、エンドウとサトイモの忌地は、エンドウでは立ち枯れ性病害が出るためで、サトイモは土壌線虫が蔓延してだめになります。その対策をすれば忌地が起こりません。
 いまでも忌地を起こすといわれている作物は結構あります。
 輪作をとる一番大きな理由の一つは、忌地の回避ということにあっています。
 
 ■連作
 連作は同じ作物を毎年、毎日、次から次へと作っていく栽培方法です。連作をしてもそう問題が起こらない作物と、連絡をすると一発でだめになるものがあります。ナス科などは、連作をすると障害が起こる作物の代表です。連作で一番大きな問題は病虫害です。その作物に特有な病虫害がついて作れなくなるのです。
 連作をできるだけ避けるようにすることが大事です。イネは毎年同じところで作りますが、水が入って病害を抑えてしまうということがあり、連作ができる作物になっています。
 ■混作
 混作は、同じ畑に同じ時期に2つの作物を作るということで、キュウリを植えるときにコマツナを一緒に植えます。キュウリが実をならすころにはコマツナを収穫してしまっているということです。
 混作をいろいろとするやり方もあります。大都市近郊の面積の狭いところではよく行われ、ニンジンとコカブを混ぜて栽培し出荷するといのは東京近郊ではよく行われていました。
 ニンジンは芽が出るのが遅くて生育が早い。コカブは芽が出るのが早くて、生育も早い。ニンジンが大きくなるころにはコカブは収穫してしまっている。ニンジンが大きくなりすぎるのをコカブが抑えているということもあり、ニンジンとコカブの栽培が特に東京近郊では行われていました。しかし、最近はあまり行われなくなっています。

 ■覆下栽培 
 南側に覆をかけ、ニンジンとコカブを混合して作っていくということが江戸川の辺りで非常に行われた栽培です。最近はビニールのトンネルをかけるなどをやっています。こんなことをやるのはだんだん少なくなってきました。
 ニンジンはセリ科、コカブはアブラナ科で、共通の病気が比較的少ないのです。ただし病虫害の中ではやっかいなものがあり、何にでもつく病気があります。そういうものがあると非常にやりにくい。ただ野菜につく病害は、イネ科を入れるとそれを抑えることができるということがあります。
 生育の早いものと遅いものを同じ家の中に作っておいて、畑を高度に利用するというやり方です。しかし、それは畑をやせさせる可能性もあるので、あまりこのごろはすすめられなくなっています。

 ■田畑輪換
 国のすすめている方法ですが、ある一角の水田についてイネを作るのをやめて、畑のように使って、終わったら水田に戻す。それを何年かおきに繰り返すのです。水田雑草と畑雑草は性格が違いますから、畑雑草が抑えられ、病気その他も抑えられるということで、一つの方法として国も推奨しているものがあります。全体として大きなブロックでやらないといけないので、「ブロックローテーション」とも呼びます。
 大きな区域で、今回はキャベツを作る、次はレタスを作るというように、作るものの順番に変えていく、輪作の大きな形式のものもあります。それを水田で利用したものが田畑輪換になるのです。

葉物野菜について

<この後は、葉物野菜について学んだ。>
 ■シュンギク(キク科)
・シュンギクは古くから日本で作られているが、もともとはヨーロッパ、地中海沿岸のもの。野菜として食べるのは中国、韓国、ベトナムなど東アジアの国々で、ヨーロッパでは花として用いている。
・切れ込みの入り具合により、小葉、中葉、大葉「おたふく」がある。小葉は関東でたくさん作られていたが、戦後、臭いが強すぎるということと、収量が上がらないということで減ってしまい、現在関西から関東にかけては中葉になっている。大葉は中国、四国から九州にかけてが主体で、フグ料理は大葉がないと成り立たないというほど用いられている。
・中葉には、株立(主に関東)と株張(関西)がある。株立中葉は、茎が伸びて、茎から摘みながら食べていく。そうすると、また脇目が出て茎から食べていく、株張中葉は、地面に這うように葉が広がるので、それを抜き取って食べる。収量が多い。

 ■ホウレンソウ(菠薐草)<アカザ科>
・ホウレンソウ
 東洋  針葉  剣葉  角種子
 西洋  丸葉  盾葉  丸
 東洋はおひたしに合っている。葉は薄く、収量が上がらない。葉の形から片方は剣葉、丸葉ともいう。最近は切れ込みのあるものも見られるようになった。
 近年はおひたしだけでなく、いろいろな料理に用いられるので、西洋ホウレンソウの方に変わってきた。

西洋×東洋  雑種  F1
雌雄異株
異型花並有

 現在ある品種はほとんど全部F1で、西洋ホウレンソウを母に、東洋ホウレンソウを父に使って雑種にしている。
 また、ホウレンソウの種は日本ではとりにくいので、ほとんど日本でとらず、ヨーロッパの緯度の高いところで種を取っている。
 ただし、東洋ホウレンソウに対する要望がかなりあり、東洋ホウレンソウが増えてきている。

■ツケナ 不結球性菜類
           ハクサイ
 タカナ       カブ
 カラシマ         ノザワナ
              コマツナ
・ツケナ、カラシナの中にははじめから結球しない白菜がある。
・ちぢみゆきな=タァサイ
・寒締めは商標。寒さにあてるとおいしくなる。
・京菜には、いろいろな種類がある。
・ナバナには2種類ある。


東海林講師の商品説明

この後、東京青果の東海林さんより品目一覧表にしたがって、コマツナ(3種類)、ホウレンソウ(2種類)、ちぢみほうれんそう(1種類)、菜の花(3種類)、シュンギク(3種類)、雪菜(1種類)の説明があった。

・種類が違うものについて、露地とハウスがはっきりわかるものをもってきた。

・埼玉県のJAいるまののホウレンソウは「 」で有機認証をとっている。所沢のダイオキシン問題があって以降、特に、ホウレンソウの大産地である埼玉県は安全性に敏感になっている。
 

ホウレンソウ JAいるま 菜食美人

ちぢみほうれんそう JAおやま しもゆたか

・ちぢみほうれんそうは東京青果で力を入れて販売している。ことしはどの地域も寒かったので、長野県、茨城県、栃木県など、どの産地も甘みの差がほとんどなく、甘みが乗っている。ただし、包み方のうまいへたがあり、茎が見えないような包み方をしている産地があるが、露地で黄ばんだものが入ることがあり、問題になった。

・雪菜は、仙台では伝統地方野菜として売られている。

雪菜 JA仙台 雪菜

おいしい菜 JA全農ふくれん

・菜の花は、もともと切り花用の栽培したものを価格がおもわしくないので、青果用にしたという歴史がある。

・菜の花は栃木で「かき菜」で産地化されている。在来の栽培があり、地元の人がおいしいから食べていたのを出荷し始めた。栃木の伝統野菜になっている。

・「おいしい菜」の銘柄は福岡で産地化された。NHKのテレビで紹介され、いまやすっかり定着している。

・シュンギクは、摘み取り種「さとゆたか」、根付春菊「中葉春菊」、やわらかな「おたふく」の3種類をもってきた。


江澤先生の講義

<最初に、先生からの質問。八百屋塾へ来るようになって、お客さんへの会話が増えた人が2人いたが、変わらないという人が大半だった。>

・お客さんからみて、買うということは楽しいこと。お店が楽しいか楽しくないかは、まず品物がいいことが大事。お客様の立場になって楽しいかどうかを考える。
・店とお客との信頼関係が大事。
・お客にとっては、店にいって発見したりする楽しみがある。消費者は野菜果物について感覚的に知っているだけなので、八百屋劇場にすると、お客も楽しめる。店が劇場なので、みなさんは演出家と主演を兼ね備えてやらなければいけない。お客さんに楽しんでもらうために、演出をうまくすること。

・消費者が買うところが楽しくないと野菜の消費はのびていかない。


試食した感想

・ゆきな以外はおひたしで試食を行った。

【ホウレンソウ】
*コマツナの群馬と茨城産はやわらかくて甘みが強かったが、東京産は歯ごたえもよく、おいしかった。
*コマツナはどれを食べてもおいしく、歯ごたえがあったので、値段で売る形しかとれないと思った。昔ならばビニール袋に入ったのはかたい印象があったが、ずいぶん変わった。
*群馬は甘く歯ごたえがねっとり、茨城のものは甘くておいしく、歯ごたえもよかった。東京はしゃきしゃきしていた。
*群馬のは甘く、東京は味が薄い。茨城は独特の臭い。
【ホウレンソウ】
*こどものころから好きではない。露地物とちぢみが甘くておいしかった。ハウス栽培のものは味が抜けている。
*ちぢみはうまい。群馬の露地は泥臭い。平均して甘みがあり、おいしい。甘みが少ない。
*ホウレンソウらしいのはちぢみだった。JAいるまのはきれいだけど、今風ホウレンソウで、あまりうまくない。群馬のはおいしそうだが、味、肉質ともに落ちる。
*ちぢみをゆでると青くなるので、おかしいというクレームがきている。あれはクレームが多くてだめ。ゆで汁が青くなるのはアクの成分が出るためなのに、変なものと誤解されてしまう。
*ホウレンソウはちぢみをおいているが、結構売れる。年末はいつもよりも売れた。清瀬はホウレンソウとニンジンがトップクラスなので、地場野菜をなるべく売っていきたい。
*ちぢみほうれんそうはやはり甘かったが、歯触りがあう感じ。清瀬のホウレンソウはやわらかくて薄い、さっぱり。あとは埼玉ホウレンソウは甘い。群馬はあくがあった。
【菜の花、かき菜、おいしい菜】
*かきなはねっとりしていておいしかった。ナバナは苦かった。
調理のしかたによって伝わり方が違う。
*ナバナは食べたことがあまりないが、カキナは繊維が最後まで残った。千葉は食べやすく、一番おいしかった。
*全体に思ったよりもにがみが少ない。千葉の菜の花はもっと苦みがないとからし和えにはあわない。おいしい菜はこれまで人気がなかったが、思ったよりおいしいかと見直した。
*3種とも別の葉のイメージ。千葉が香りとかよかった。後味がよかったのは伊神が違うのではないか。好みによって。カキナは繊維が残る。
【春菊】
*栃木のシュンギクはあくが強すぎる。
*栃木のはあくが強い。シュンギクを食べているという感じがする 東京は柔らかい。
*おたふくはおひたしにいいかもしれない。
*栃木はあくが強いと思ったが、春菊ならばこれぐらいのほうがおいしいかも。東京のはあくがなくて食べやすいが、ほかの野菜と比べられる強さがあったほうがいい。福岡の「おいしい菜」はゆでてしまうとちょっと・・・という感じがした。
*全部おいしかったが、個人的には栃木の香りの強いほうがいい。「おたふく」は食感がすごくよかった。

荒井先生の説明 

青菜をゆでるときに@全く塩を入れないでゆでる、Aゆでるお湯に対して0.5%の塩を入れる。おすましよりも薄いぐらいの塩を入れてゆでる、で味見をしてもらった。

 野菜そのものの性格は塩を入れないほうが感じられるが、塩を入れるとおいしくなる。
 さしすせその順番に調味料を入れるのと、調味料を合わせた煮汁で食べ比べると、さしすせその順で煮込んだほうが料亭の味になる。一度に全部は家庭の味という感じで、さしすせそのほうが味が複雑で深いという感じがした。