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2006年(平成18年) 2月19日 (日) 第11回
学習テーマ「霜多ファーム見学会」

■当日行程

茨城県取手市貝塚で、科学的な根拠を示して、安全な野菜作りをしている(株)シモタファームを見学し、いろいろと興味深い話を聞きました。

8:30からTSKビル8Fで受付を開始。塾生と一般の合計72名が参加しました。
つくばエクスプレスの乗車券をもらい、それぞれ電車に乗り、守屋駅下車。4名ずつタクシーに分乗して霜多ファームへ向かいました。

霜多ファームでは3つのグループに分かれ、ベビーリーフを主体にしたハウス、一般のハーブ類を主体にしたハウス、それに、分析をする部屋を見学しました。分析室は小さいので交代で説明を受けました。

各ハウスへは、霜多ファームで働いている女性が案内してくれました。

その後、普段は堆肥集積場になっているハウスで、昼食のバーベキューをしながら歓談し、栽培している野菜を食べながら質問や情報の交換をしました。
最後に日本に来て日が浅いインドネシアの留学生が、希望を語りました。
 

■霜多増雄さんの話

  皆さんお早うございます。本日は、安心できる野菜作りを実際に見ていただきたいと思います。

 現在一般に流通している野菜は、有機栽培という言葉が独り歩きしています。しかし、科学的な根拠が示されているわけではありません。有機栽培は安全を保証するものではありません。細菌の有無、農薬の残留性、有害な重金属類の含有量、硝酸濃度など何も評価がなされていません。

  私の所では、これらの要素についての分析をし、農学としてではなく科学的な目で安全性を考えています。
最初に土壌について、お話します。有効微生物を活性化・増殖を基本にした土壌作りが、細菌・ウィルスなどの有害微生物を駆逐します。堆肥も鶏糞など様々な材料を使用して作っています。これらも定期的に分析し、重金属やヒ素など有害物質を含むものは産業廃棄物として処分します。経験で判断することも良いですが、やはり、分析結果という客観的なデータで判断することが安心な野菜作りには絶対必要です。

  ここにある、堆肥は食べても全く問題ありません。試しに食べても細菌で病気になることはありません。
おいしい野菜とはどんなものでしょう。それは硝酸濃度の低いものです。硝酸濃度が高いとエグい野菜になります。少ないとそれぞれの野菜の持つ本来の味がします。これも、きちんと分析をしています。部位ごとの硝酸濃度を計測してデータ化してあります。

ルッコラのハウス内 土壌検査室内

  また、野菜の収穫時間にも気をつけるべきです。流通では朝穫りが新鮮というイメージを植え付けていますが、実は朝穫りは硝酸濃度が一番高い時間なのです。この時間に収穫したものはおいしくありません。調理しても柔らかくならなかったりします。

  なぜでしょうか。それは窒素同化作用のせいです。窒素同化作用は植物が土中の窒素分を硝酸イオンの形で吸収し、葉の中で硝酸還元酵素と亜硝酸還元酵素の働きでアンモニウムイオンの還元され、さらに、グルタミン酸が結合しグルタミンと言うアミノ酸が生成されます。さらに各種有機酸と結合して最終的に蛋白質や核酸になります。
植物が健康で適度な硝酸を養分として吸収し、日光が十分に当たる状態だと蛋白質合成が進み、硝酸濃度は過度に高くなりません。

  ですから、十分日光の当たった後収穫した方が硝酸の濃度が低いのです。
もし、ここで、窒素肥料を与えすぎたり十分日光が当たらなかったりすると窒素同化作用がうまく行われないので蛋白質に変化しないで硝酸のまま残ります。

  窒素分の多い野菜は、生育も早く、葉の色も緑色が濃く、一見品質がよさそうに見えますが、味はよくありません。原因は、土中分の窒素を多く吸収した植物は、窒素同化作用が活発に行われ、炭酸同化作用によって作られた炭水化物が窒素同化作用を促すためのエネルギーとして消費され、蓄えたグルコースなど炭水化物が少なくなるので糖度は低くなり、うまみも減るわけです。さらに繊維質を機能も低下して野菜が軟弱化します。
 

インドネシアから来ている実習生と、3年前に求人誌をみて面白そうだと仕事に就いた女性の皆さん。作物を育てるのはやりがいがあると話していました。

  さらに、具合の悪いことに、硝酸が人体に及ぼす影響があります。硝酸のみではたいした影響はありませんが、硝酸が口から体内へ入ると口腔内の微生物によって還元され亜硝酸塩に変化し、メトヘモグロビン血症や発ガン性物質であるニトロソアミン化合物が生成されます。

  まだまだ、ありますが、このような事柄をデータとして管理し野菜作りをしてい

 

【シモタファームの概要】
取手市貝塚のハウス実面積5.4ha。 栃木県塩原のハウス実面積3ha。
栽培品種:約120種。毎日出荷は季節に応じて23種類
従業員:常時54名。 地元とインドネシアの研修生。
全ての収穫した野菜を、貝塚の選果場に運び、ここでベテランが選別作業をしてパックに詰めます。選別はベテランでないと品質を維持できません。廃棄する判断が難しいからです。ハーブ・リーフの他、小松菜なども栽培していますが、それらは相対取引です。

 

■江澤先生の話

今日の問題としては、食べるものの安全性と味覚です。安全性については八百屋塾であまり深く追求してきませんでした。味覚についてももう少し突っ込んでも良かったような気がします。どのような点が足りなかったかというと、私も含めて皆さんの味覚の基点は、皆さんの母親の味です。社会人になるまでは母親の味で育ったはずです。ですから、各々の母親が違うように、野菜の味が違うのが当たり前です。味覚については共通点を見つけようとはしてこなかった。こういう中から基準になるものを探して行かなければなりません。

なので、2007年度の八百屋塾からは野菜の安全性とおいしさを追求する形で進めていきたいと考えています。
食べ物を作って仕事にするという農家の人が身近にいて、また、販売する人が身近で現場を見なばら学ぶということは非常に良いことです。いつも言うことですが物品販売業ではなく、食べ物の良いところを消費者に役立てることが八百屋の仕事です。食べ物販売の終点ですから。農家の人が良いものを作って、それが継続できるような価格で販売しなければなりません。

良い生産者と、そうでない生産者を区別することを流通過程でしなければいけないと思います。本来買い物をすることは楽しいことなのです。さらに、おいしい野菜が手に入ることになれば楽しさは倍加されます。そのような役割は八百屋にしかできません。対話で安全性やおいしさを具体的に伝えることができなければ、良い野菜はなくなってしまいます。

そういうことの手伝いをいたしますので、どうぞ来年度の八百屋塾にもご参加ください。